モンスター モンスター
お初です。よろしくお願いします。
晩秋の夜明け前にかじかむ手のヒラに息を吹きかけ身を震わせると、一番鶏が鳴く声を聞きながらそびえ立つ王宮を見上げていた。
「わたくし、君元梅花。改めウメカ・サラン、マケドニア王国ゲルニカ第一王宮、ハッサ厩舎下女として就職しました‼と、今日もお仕事頑張ります。」
そう宣言し今日の労働を向かえるのです。
王族の乗る獣を飼育、管理、育成する厩舎。
ここが仕事場、下女のウメカは掃除や餌やりなどの雑用である。臭い、汚い、辛い、怖い、そして出会いが無いと言う最悪の場所らしく中々人員が無い、と言う訳で巡り回ってウメカの仕事に成った。
ギュウウウウー、ギュウウウウウー。
キュウー、キュウー。
と、可愛い鳴き声がウメカの耳に届く。
「今日も可愛いわね。さあ、今日も沢山遊ぶわよ・・・っ」
後ろから何かが突進して来て、その脚に抱きつくものが在る。
「ウメ!ウメ!遊ぶの~?」
ここにもう一つの獣がいた。
姿は人間なのに、その存在はまさにモンスター。
クラリオン・イスベス殿下、七歳。
金目に金髪の獣、お気に入りは黒髪の下女のウメカ。
「御機嫌よう。クラリオンで・ん・か」
わたしには、浅く広く、細く長く生きたいのよと、波乱の予感に心の中で叫ぶの出会った。




