それでもボクはキミを守る【vsマイナー】
『1』
世界は混沌に陥った。一人の少女の存在によって。
空気感染する新種のウイルスを持つ少女。
感染した者は気が狂い、周囲を破壊し始める。
最初の一ヶ月で感染者は一億人。
少女は泣いた。最初の感染者である父、母、妹、弟を亡くしてしまったから。
少女は自らの命を絶とうと、首に縄を括り付ける。
「さようなら、ごめんなさい」
椅子から足を踏み出して首を吊ろうとした――。
「ふざけるなっ!」
怒声と共に少女は縄から開放された。顔を上げるとそこには、愛する彼氏の泣き顔。
『2』
ボクの彼女は世界の敵。69億5000万人。
彼女の振りまくウイルスは人を狂気の虜にする。それはボクも例外ではない。
ボクは彼女の側にいつもいる。彼女を守る為に。
けれど、ボクは彼女を殺してしまいたくなる。
それがこのウイルス。狂気に囚われる。それを必死に振り払う。
ボクは殺さない。彼女を殺さない。
ある時、彼女は自殺を図った。自分を犠牲にし、世界を守る為に。
その時、ボクは彼女を助けた。世界を犠牲にし、彼女を守る為に。
ボクは誓う。全世界を敵に回しても、それでもボクはキミを守ると――。
三ヵ月後、ウイルス感染者は十億人を突破した。最早誰も止められない。狂気に満ちたこの世界を。
『3』
私は生きていて良いの? 沢山の数え切れない人々を犠牲にしながらも?
もう、死にたかった。生きているのが辛かった。
だけど、彼がそんな私に希望の光を見せるから、死ぬ事が怖くなった。
周りがどんどんおかしくなっていく。それは彼も例外ではなかった。
ある日、私は彼に首を絞められた。私は彼に殺されるのならと、抵抗しなかった。
「ふざけるなっ!」
彼が突然叫んだ。私が目を開けると彼は泣いていた。
一年後、ウイルス感染者はいなくなった。
ウイルスは死滅したのだ。
地球には平和が訪れた。狂気のかけらもない平和が訪れた。
お花畑で私は誰もいなくなった世界で笑ってみせた。
本家作家vsマイナー作家の作品第一号が投稿された。それは意外にもマイナー作家からであった。
第一号と言う事もあり、アクセス解析を見てみると、かなりの数に上っていた。
こりゃ、マイナー作家にとって夢のような数字だろう。それにしても、一作目の作品はどのような
評価なのだろうか。
俺は、感想欄を読んでみる事にした。
投稿者: J [2011年 07月 29日 (Fri) 08時 01分 08秒] 50歳~59歳 女性
▼良い点
なんというか、色々な意味に取れる作品で色々考えさせられました。
▼悪い点
もっと具体的に物語にして欲しかったです。まぁ、3000文字という制限では難しいかもしれませんね。改定版でそういうの書くのでしたらぜひ読みますよー。
投稿者: 権兵衛 [2011年 07月 29日 (Fri) 00時 40分 48秒] ---- 男性
▼一言
うむ! まずは一番最初に投稿したという勇気を褒めよう。ウイルス死滅したのは、人間が死滅したからってことだな? でも彼女は生きているようだ。何故最後に笑ったのか。わからない。
というか、笑ってみせたってことは誰か他にいたのか? 彼氏か!? それならある意味
ハッピーエンドだな。ふむふむ、まぁとにかくおつかれさまだ!
投稿者: raou [2011年 07月 29日 (Fri) 01時 28分 55秒] 18歳~22歳 男性
▼良い点
独特の世界観が良かった
▼悪い点
やっぱり詩っぽいんで、物語としてしっかり読ませて欲しかったですね。
▼一言
この作品を基準に今後の作品の優劣を決めていこうと思っています。
感想はまだまだ付きそうな勢いだ。最初のマイナー勢の作品としては、まぁこんなもんだろう。
傍観して楽しもうと思っていたが、やはりこうやって実際に祭りが始まると自分もマイナー作家として何かを書きたくなってくる。
もう少し様子を見てから、何か書こうか。そう考えていると今度は本家作家が負けずと作品を投稿してきた。
その作品は――。
つづく