表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気分と機嫌と私と  作者: るり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/9

第1話 スイーツ3点盛り合わせ

どもどもー今回のテーマは30代前半のOLです!

よかったら見ていってください!

 今日は朝から、なぜかうまくいかなかった。

 寝坊したわけでも、遅刻したわけでもないのに、最初から歯車が合っていない感じ。シャツのボタンを一つずつ掛け違えて、そのまま一日を過ごしてしまったみたいな、あの感覚。

 仕事は問題なく終わった。むしろ早かったくらいだ。

 でも「問題なく」って、達成感とは違う。三十代前半のOLになってから、私の一日はだいたいこの「問題なく」に回収される。失敗はしないけど、成功もしない。減点されない代わりに、加点もない。

 定時でパソコンを閉じたあと、少しだけ席に座ったまま動けなかった。帰ろうと思えば帰れる。でも今日は、まっすぐ家に帰る気分じゃなかった。こういうときはだいたい、財布が犠牲になる。

 駅前のコンビニに入る。もう何度目かわからない動線。

 スイーツコーナーの前に立つと、冷蔵ケースの中で甘いものたちが整列している。期間限定、数量限定、新発売。どれも私を急かす言葉ばかりだ。今日は誰にも急かされたくなかったはずなのに、なぜかここではその感じが心地いい。

 プリン、シュークリーム、チョコレートケーキ。

 一個でいいはずなのに、気づいたら三つカゴに入れていた。理性が負けたというより、話し合いの結果という感じだった。今日はそれくらい、ちゃんと話を聞いてあげた日だから。

 レジで合計金額を見て、一瞬だけ現実に戻る。

 まあまあする。

 でも戻ったのは一瞬で、すぐにまた「今日の自分」の側に戻った。叱る役は今日は休み。慰め役だけでいい。

 家に帰って、コートを脱いで、手も洗わずにプリンを開ける。行儀はよくない。でも誰にも見られていない。スプーンですくって口に入れると、甘さがじんわり広がる。美味しい、というより、安心する。

 今日は誰にも評価されなかった。

 役に立たなかったわけでも、迷惑をかけたわけでもない。ただ、透明だった。そんな日が続くと、人は自分がちゃんと存在しているのか不安になるらしい。少なくとも私はそうだ。

 二口目で少し元気が出て、シュークリームに手を伸ばす。

 クリームがこぼれそうになるのを慌てて受け止めながら、思う。こういうときの私は、意外と必死だ。仕事より集中している。

 最後にチョコレートケーキを食べ終えた頃、ようやく一日が私の中に着地した気がした。

 今日という日を、ちゃんと回収できた感じ。

 出費は止まらない。

 でも、今日の私は止まらなかった。

 通帳の数字が減るたびに、少しだけ不安になる。

 それでも私は、今日を乗り切るために甘いものを選んだ自分を、そこまで嫌いじゃない。

 推しは自分。

 自分の機嫌は自分で取らなくっちゃね!

主人公ちゃんは今日もご機嫌のようです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ