第1話 スイーツ3点盛り合わせ
どもどもー今回のテーマは30代前半のOLです!
よかったら見ていってください!
今日は朝から、なぜかうまくいかなかった。
寝坊したわけでも、遅刻したわけでもないのに、最初から歯車が合っていない感じ。シャツのボタンを一つずつ掛け違えて、そのまま一日を過ごしてしまったみたいな、あの感覚。
仕事は問題なく終わった。むしろ早かったくらいだ。
でも「問題なく」って、達成感とは違う。三十代前半のOLになってから、私の一日はだいたいこの「問題なく」に回収される。失敗はしないけど、成功もしない。減点されない代わりに、加点もない。
定時でパソコンを閉じたあと、少しだけ席に座ったまま動けなかった。帰ろうと思えば帰れる。でも今日は、まっすぐ家に帰る気分じゃなかった。こういうときはだいたい、財布が犠牲になる。
駅前のコンビニに入る。もう何度目かわからない動線。
スイーツコーナーの前に立つと、冷蔵ケースの中で甘いものたちが整列している。期間限定、数量限定、新発売。どれも私を急かす言葉ばかりだ。今日は誰にも急かされたくなかったはずなのに、なぜかここではその感じが心地いい。
プリン、シュークリーム、チョコレートケーキ。
一個でいいはずなのに、気づいたら三つカゴに入れていた。理性が負けたというより、話し合いの結果という感じだった。今日はそれくらい、ちゃんと話を聞いてあげた日だから。
レジで合計金額を見て、一瞬だけ現実に戻る。
まあまあする。
でも戻ったのは一瞬で、すぐにまた「今日の自分」の側に戻った。叱る役は今日は休み。慰め役だけでいい。
家に帰って、コートを脱いで、手も洗わずにプリンを開ける。行儀はよくない。でも誰にも見られていない。スプーンですくって口に入れると、甘さがじんわり広がる。美味しい、というより、安心する。
今日は誰にも評価されなかった。
役に立たなかったわけでも、迷惑をかけたわけでもない。ただ、透明だった。そんな日が続くと、人は自分がちゃんと存在しているのか不安になるらしい。少なくとも私はそうだ。
二口目で少し元気が出て、シュークリームに手を伸ばす。
クリームがこぼれそうになるのを慌てて受け止めながら、思う。こういうときの私は、意外と必死だ。仕事より集中している。
最後にチョコレートケーキを食べ終えた頃、ようやく一日が私の中に着地した気がした。
今日という日を、ちゃんと回収できた感じ。
出費は止まらない。
でも、今日の私は止まらなかった。
通帳の数字が減るたびに、少しだけ不安になる。
それでも私は、今日を乗り切るために甘いものを選んだ自分を、そこまで嫌いじゃない。
推しは自分。
自分の機嫌は自分で取らなくっちゃね!
主人公ちゃんは今日もご機嫌のようです!




