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黒の執行者‐BLACK EXECUTER‐  作者: 黒陽 光
Chapter-03『オペレーション・スノーブレード‐Operation Snow Blade‐』
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第三章:Nobody Does It Better/02

 真っ昼間の都会を、黄色いフェラーリが駆け抜ける。

 F12ベルリネッタ。こんな煌びやかな大都市のド真ん中だと、黄色い派手なスーパーカーも街並みによく馴染む。福音のような甲高く甘美な音色を奏でながら、助手席に戒斗を乗せたフェラーリは香華の運転で街を駆けていく。

「にしても、なんでまた君が俺を迎えに?」

 そんな車の助手席で、戒斗は何気なしにそう訊いてみた。

 香華はそれに「だから、さっきも言ったけどマリアさんに頼まれたのよ」と答えて、

「ちょうど私お店に行ってたからね。遥ちゃんは琴音ちゃんを迎えに行かなきゃだし、私なら車が使えるから」

「……ハマったんだな、メイド喫茶」

「そういうわけじゃないの、近くに用事があったからたまたまよ、たまたま」

 口先ではそう言うが、表情はなんとなく綻んだ感じだ。

 確実にハマったな……と戒斗は内心で思いつつ、助手席の本革シートに深く身体を預ける。

 と、そうしている内に香華の運転するフェラーリは秋葉原の街に入っていった。

 厳密に言えばその手前、妻恋坂(つまこいざか)交差点の辺りだ。蔵前橋通りの手前にあるそこで右折し、昌平橋(しょうへいばし)通りへと入っていく。

 そうして交差点を折れて程なく――歩道を歩く、見知った少女二人の背中が目に留まった。

「あら、あの二人って……もしかして!」

 そんな少女二人の背中を見つけるや否や、香華は彼女たちのすぐ傍に車を停める。

「琴音ちゃん、遥ちゃんっ! こんなところで偶然ね!」

 ハザードランプを焚いたフェラーリを路肩に停めて、開けた窓から顔を出して声を掛けた香華。

 それに反応した少女たちというのは……他でもない、琴音と遥だった。

「あれ、香華ちゃん!?」

「これは……偶然ですね」

 急に車道から声を掛けられて、更にそれが香華だと気付いて二度驚く琴音たち。

 それに香華は「戒斗も一緒よ!」と笑顔で返して、

「二人もこれからマリアさんのお店に行くの?」

「うん、そだよー。っていうかすっごい高そうな車だね……」

「例の一件について、改めて話があるとのことでしたので。やはりお二人も?」

「ええ! 私は戒斗を迎えに行ってたの! 戒斗ってば携帯の充電切らしちゃうお間抜けさんだったからね」

「何も言い返せねえのが辛いところだ。……二人とも、先に行っててくれ。俺たちは車を停めなきゃならん」

「ん、分かったー。じゃあ後でねお兄ちゃんっ」

「では、また後ほど」

 琴音は元気に手を振って、遥は小さく会釈をして歩いていく。

 そんな彼女たちを横目に見つつ、どこかご機嫌そうな顔になった香華はまたフェラーリを走らせ始めた。

 ……ちなみにバッテリー切れを起こしていた戒斗のスマートフォンは、この車のUSBポートを借りる形で充電させてもらった。ベルリネッタぐらいの時代の車になると、標準でこういう装備が付いているからありがたい。

 と、琴音たちと一旦別れた香華は再びフェラーリを走らせて……手近なパーキングに車を停めてから、改めてマリアの店を訪れる。

 L字型の外階段を昇って、いつものように店の中へ。

「お帰りなさいませご主人様、お嬢様ーっ♪」

 カランコロンと来客を告げるベルが鳴る中、ドアを潜った二人を店のメイドさんたちがいつものように出迎えてくれる。

「ん、お出迎えありがとね」

 そんなメイドさんたちに香華は笑顔で答えつつ、戒斗を引き連れて店のバックヤードへ。

 従業員専用エリアにいくつかある部屋の中で、一番奥まった場所にあるのがマリアの私室だ。

「マリアさん、今戻ったわよ! ちゃあんと戒斗連れてきたわ!」

「ああ、おかえり香華ちゃん。……カイト、充電はちゃんとしておいて貰わないと困るよ」

「悪かったよマリア、俺としたことがとんだポカやらかしちまったな」

「ま、君が変に抜けているのは今に始まったことじゃないけれどね。……ささ、二人とも座りなよ。今日は人が多いから、どうしても手狭になっちゃって悪いけれどさ」

 出迎えてくれたマリアに手招きされて、戒斗と香華は部屋の隅から適当に引っ張ってきた丸椅子に座る。

 ちなみに琴音と遥はもう部屋に居て、同じように丸椅子に腰掛けていた。

「さて、あとはもう一人か……」

「なんだよマリア、まだ誰か呼んでるのか?」

 呟いた彼女にきょとんと首を傾げて戒斗が言い、マリアがくるりと椅子を回しながら「ん、ちょっとね」と頷いた、その直後だった。

 ガチャっと外側からドアが開いて、また別のもう一人がこの部屋に入ってきたのは。

「――――邪魔するよ、マリア……って、もう皆揃ってるんだ」

 入ってきた彼女もまた、少女だった。

 栗色のショートボブの髪を揺らして、茶色いダスターコートの裾を翻しながら入ってきた少女。それは戒斗にとっても、つい先日に会ったばかりの顔だった。

「ああ、やっと来たね紅音ちゃん。君でラストだよ」

 勝手知ったる顔で入ってきた彼女を、マリアは小さく笑んで出迎える。

 ――――深見(ふかみ)紅音(あかね)

 ついこの間も一緒に仕事をした、同じスイーパーの少女。マリア譲りの二挺拳銃と羽織るダスターコートがトレードマークな、部屋に入ってきたのはそんな昔馴染みの彼女だった。

「なんだ紅音、お前も呼ばれてたのか?」

「この間ぶりだね、戒斗。聞いてなかったの?」

「なーんにも、一言もな」

「紅音さんだっ、久しぶりーっ」

「ん、琴音ちゃんは今日も元気そうだね」

 紅音は首を傾げた戒斗に答えた後で、笑顔で手を振る琴音にもそう返す。

 彼女はプリンセス・オブ・アズール号での一件の折、不在だったマリアの代わりに琴音の護衛をしていた二人のうちの一人だ。だから彼女たちが顔見知りなのは、ある意味で当然のことだった。

「えっとマリアさん、こちらの方は……?」

「私も知らない顔だわ、訊かせてもらっていいかしら?」

 が、遥と香華は初対面だ。

 そんな二人が問いかけると、マリアは「ああ、二人は初対面だったね」と頷いて。

「簡単に言えば、助っ人だよ」

 続けてそう、簡潔に答えた。

「助っ人……ですか?」

 首を傾げる遥にそうだよ、とマリアは返し。

「流石に、君とカイトの二人だけだと今回はキツいと思ってね。だから追加の戦力に来てもらったんだ」

「なるほど……」

「僕があれこれ言うより、本人が直接名乗るのが筋ってものじゃないかな?」

 と言って、マリアはチラリと紅音に目配せをする。

 紅音はそれにコクリと頷いて、初対面の二人に――軽くだが、自己紹介をした。

「私は深見紅音、戒斗と同じスイーパーだよ。前に琴音ちゃんの護衛をやってたから、その縁で加わることになったの。よろしく……って、言っておいた方がいいかな」

「……ああ、以前そんなことを仰っていましたね」

「よく分かんないけど、まあいいわ。私は西園寺香華……って、間違いなくマリアさんから色々と聞いてるわよね」

「では私も改めて。長月遥と申します。宗賀衆は上忍、忍名は『雪華(せっか)』……以後お見知りおきを、紅音さん」

「ん、香華ちゃんに遥ちゃんだね。二人のことはマリアから聞いてるよ」

 なんて具合に、初対面の三人の面通しが済んだところで――紅音はまた戒斗の方に視線を流し。

「それにしても、皆とびっきりの美人ばっかりだね。両手に花っていうか、両手に花束って感じ。思ったよりいいご身分みたいだね、戒斗?」

 と、ニヤニヤしながら皮肉っぽく言う。

 それに戒斗は肩を竦めながら「茶化すなよ」と参ったように返して、

「そういえば、千景はどうした? 今日は一緒じゃないのか?」

 と、彼女に別の質問を投げかけた。

「千景には別件でちょっと動いてもらってるの、だから今回は手を貸せるのは私だけ。……だよね、マリア?」

 それに短く答えた紅音が目配せをすると、マリアも「そうだね」と頷き返す。

「事情を知らない遥ちゃんたちに説明しておくと、千景ちゃん……神谷(かみや)千景(ちかげ)ちゃんは彼女のパートナーさ。前に護衛の代役は一緒にやってもらったから、琴音ちゃんは知ってるよね?」

「あ、はい。それはもちろんですよーっ」

「……ふむ。マリアさんが琴音さんの護衛を任せた方でしたら、信頼できる相手ということですね」

 琴音がいつもの間延びした声で頷く傍ら、遥が納得したように小さく唸る。

 ――――神谷(かみや)千景(ちかげ)

 まさにマリアが今説明した通りだ。紅音の相棒たるスイーパーで、以前はマリアに代わって琴音の護衛に付いてもらっていた。

 それと、これは余談だが――紅音と千景の二人は、実はマリアの懐刀としても知られている。

 日本でも有数の大物フィクサー・成宮マリア。そんな彼女が最も信頼する三本の懐刀が、深見紅音と神谷千景。そして『黒の(Black)執行者(Executer)』こと戦部戒斗――――。

 今はその内の二人が、この場に居合わせているのだった。

 ――――閑話休題。

「ふーん……ま、これからよろしくお願いね?」

 と、席を立った香華がスッと手を差し出す。

「私こそ、貴女と会えて光栄だよ。プリンセス・オブ・アズール号でのことは聞いてる、色々と大変だったみたいだね」

 それを紅音は握り返して握手を交わし、彼女に挨拶をした後、壁際に背中を預けてもたれ掛かった。

 腕組みをしながら、マリアの方をじっと見つめる紅音。どうやら彼女は座るつもりはないらしい。どのみち人が多すぎて、この狭い部屋だともう座るスペースなんて無いのだが。

「よし、じゃあ全員揃ったところで――――ブリーフィングを始めようか」

 戒斗と遥、琴音に香華、そして紅音。

 そんな皆を一度ぐるりと見渡した後、マリアは肘掛けに頬杖を突きながら……そう言って、本題に入っていくのだった。





「まず結論だけ先に言っておくと、彼女はアラスカに囚われている」

「アラスカって……またエラい話になってきたな」

 なんとも言えない表情の戒斗に「ま、話は最後まで聞きなよ」と言って、マリアは言葉を続ける。

「葵瑠梨ちゃんが囚われているのは、アラスカ北部の山中にあるミディエイターの秘密研究施設『エルロンダイク』。そこで彼女はプロジェクト・エインヘリアル……特にサイバーギアの開発に協力させられているらしいんだ」

「……それも、例のサイファーって奴の情報か?」

「うん、カイトの言う通りだ。このエルロンダイクって施設は、元は冷戦時代に合衆国(ステイツ)が造った施設だったらしいんだけれど……東西冷戦が終わって、要らなくなったその施設をミディエイターが買い取って、自前のラボに仕立て上げたって感じらしいよ。もちろん目的はプロジェクト・エインヘリアルの為だろうけどね」

「なるほどな、ありそうな話だ」

「このエルロンダイクだけど、施設の大部分は雪山の中にある。要は地下施設だね。一応は(ふもと)までの私道は通っているけれど、一本道だし警戒は厳しい。だから乗り込むなら空から直接……しかもある程度離れた場所で降りる必要がある」

「つまり、このクソ暑い真夏に雪山でハイキングってわけか……最高だな、嬉しすぎて涙が出てくるぜ」

「ま、そう言わないでよカイト。確かにラボに行くまでは大変だけれど、いざ内側に入り込んでしまえばこっちのものだ。なんてたって僕らの手元にはエルロンダイクの内部図面があるんだからね」

 言って、マリアは手元のパソコンを操作し……デスク上のモニタに何かを表示させる。

 それは見取り図のようなもので――簡単に言ってしまえば、施設内のマップデータだった。

 普通のビルとかならまだしも、それはミディエイターの秘密研究施設のものだ。

 だから戒斗は「マジかよ……」と、遥も「これは……」と驚いていて。香華は「へえ……?」とどこか興味深そうに、琴音は「な、なんか凄いみたいだね……?」と戸惑いがちに。そして紅音は「……ふぅん?」と、こちらも興味ありげな顔でそれぞれ反応を見せる。

「ねえマリア、これもサイファーって依頼主が送ってきたの?」

 続けて紅音がそう問えば、マリアはああと頷いて肯定する。

「……いよいよキナ臭くなってきやがったぜ、そのサイファーって奴は」

「ま、その点に関しては心配無用だよ。僕が全面的に信頼を寄せる相手だ、という点で今は信じてくれ」

 その後で戒斗が怪訝そうな顔で言えば、マリアはそうキッパリと答えてみせた。

 ……正直言って、不審といえば不審だ。

 こんな内部マップデータなんて、一体全体どうやったら入手できるのか。サイファーの正体が分からない以上、疑問は尽きないのだが……しかしマリアがここまで言う以上、信じるしかない。どちらにせよ戒斗たちには、他に取れる手段なんて無いのだから。

「……話を続けるよ」

 とりあえず戒斗が納得した様子なのを見て、マリアは説明を再開する。

「で、瑠梨ちゃんが軟禁されているらしい場所はここ……(ノース)ウィングのラボラトリー区画にある研究室だ。エルロンダイクでもかなり奥まった場所にあるから、潜り込むのは厳しいだろうけれど……でも、不可能じゃない」

「ふむ……それでマリアさん、プランはどうされるのですか?」

 遥の質問にマリアはコクリと頷いて、

「まず、僕がヘリコプターで君らを空から現地に送り込む。降下地点はこの辺り……エルロンダイクは少し離れた場所にしようか。その後は施設に潜入し、どうにか敵の目を掻い潜って瑠梨ちゃんと接触する。それまでは可能な限り、こちらの存在は敵に気取られない方が良いだろうね」

「隠密潜入、ってワケかい」

「ふふっ、それって私たちの得意分野だよ?」

 壁際で小さく笑う紅音に「ま、言えてるな」と戒斗は小さく肩を揺らして返しつつ、

「それで、お姫様を無事に助け出した後は?」

 と、続けてマリアに問う。

「もちろん脱出だよ。君らには瑠梨ちゃんを連れてどうにかエルロンダイクを脱出してもらって、その後は僕がヘリで回収する。可能であれば施設そのものを破壊できればベストだ」

「……敵の、想定される戦力はいかほどでしょうか」

 ふぅ、と小さく息をつくマリアに、遥がそんな質問を投げかける。

 するとマリアは「これが、意外に厄介なんだよね」と溜息交じりに呟いて、

「エルロンダイクだけれど、元が米軍の秘密基地だけあって色々と充実してるんだよね。考えられる可能性としては装甲車やスノーモービル、下手をすれば戦車や……戦闘ヘリも出てきかねない。もちろん単純な人間の数だってかなり多いだろうね。それともうひとつ、最悪の可能性として――――」

「……サイバーギアのご登場、ってわけか」

 そういうことだよ、とマリアは先読みして呟いた戒斗にコクリと頷き返す。

「現状、サイバーギアは僕らにとって一番の脅威にして、想定しうる最も最悪な敵であることは間違いない。出てこないに越したことはないけれど、でも対策は考えておく必要がある。ミディエイターとこのまま戦い続けるのなら、遅かれ早かれ……対峙することになる敵だからね」

「ま、確かにな……」

 戒斗が静かに呟く傍ら、マリアは小さく息をついて。改めて皆の顔を見渡すと――続けて、こう言った。

「……今回の救出作戦は、ここに居るメンバーで実行する。現地にはカイトと遥ちゃん、後は応援に紅音ちゃんも一緒に行ってもらう。僕はヘリで、琴音ちゃんにはいつも通り遠隔でサポートに当たってもらう。日本とは時差があるから、琴音ちゃんにはちょっと辛いかもしれないけれどね」

「あはは、私なら大丈夫ですよっ」

「ん、なら結構だ。……ああそうだ、これは救出作戦とは直接関係のない話ではあるんだけれど」

 マリアは琴音の方を見たまま、何かを思い出したように言うと……こう言葉を続けた。

「サイファーの掴んだ情報だと、プロジェクト・エインヘリアルは既に第二段階まで完了しているそうだ。そして最終段階……これが何なのかは分からない。けれど計画を完成させるための要となる存在が、どうやら琴音ちゃん――君みたいなんだ」

 そう、唐突に――でも話自体は予想通りな、そんな言葉を。

「……やっぱり、そうなんだ」

 それを聞いた琴音は、特に驚いた様子もなく静かに頷く。

「おや、驚かないのかい?」

 と、そんな彼女を見たマリアが不思議そうに訊き返す。

 すると琴音は「驚いては、いますけれど」と細い声音で返し、

「でも、菫お姉ちゃんがそうじゃないか、って話はしてましたから。狙われているのは私自身なんじゃないか、って」

「ふむ……そこまで見当をつけていたか。流石はあの月詠菫ってことかな」

「っていうかよマリア、そこまで聞いてたなら先に教えてくれよ」

 戒斗がそう言えば、マリアは「君らのために、敢えて言わなかったんだよ」と小さく肩を揺らす。

「プロジェクト・エインヘリアルとか、ただでさえ情報量が多かったからね。琴音ちゃんがどうして狙われているのか、その件まで一気に教えたら君たちの頭がパンクしちゃうだろう? だから話がある程度まとまって、頭の整理がついたころに話すつもりだったのさ」

「ったく……ところで、肝心の琴音が狙われてる理由は分からないのか?」

 やれやれと肩を竦めながら訊いた戒斗に、マリアは「それは分からないね」と同じく肩を竦めて返す。

「サイファーですら、あくまで目的は琴音ちゃん自身だってことまでしか分からなかったようだ。ミディエイターがどうしてこの()を欲しがるのか、計画の要とはどういう意味なのか……肝心なところはまだ闇の中なのさ」

「……結局、最後は俺らが自力で突き止めるっきゃねえってわけか」

 戒斗がまた大きく肩を揺らすと、マリアもそうだねと静かに頷く。

「まあ、後は月詠博士からの連絡待ちだね。サイバーギアと交戦する可能性がある以上、対抗しうるための情報は欲しい。だからエルロンダイクに潜り込む日取り自体は、それが分かってから決めることになるね」

 そう言いながら、マリアはまた皆の顔を改めて見渡すと。

「……そういうわけで、今回は特に難しい案件になる。だが瑠梨ちゃんを救出できれば、確実にミディエイターに大きな打撃を与えることに繋がるはずだ。だから皆……今回も、気合いを入れて挑んでくれ」

 最後にそう言って、この場を締めくくるのだった。

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