エピローグ:My Dear
エピローグ:My Dear
――――あれから、随分と刻が流れた。
プリンセス・オブ・アズール号の襲撃事件から一週間以上が過ぎたこの日の早朝、ちょうど戒斗は制服に着替えている最中だった。
ネクタイを締め、ブレザージャケットに袖を通す。後は用心のためにいつものP226を身につけるのが普段通りのルーティンワークだ。
制服を着たあとは洗面所の鏡でとりあえず身だしなみを確認してから、大して中身の詰まっていないスクールバッグを肩に担いで玄関へ。学園指定の安っぽいローファー靴を履いて、玄関ドアを開ける。
ガチャッとドアを開けて、するとその先に見えたのは。
「おはようございます、戒斗」
玄関のすぐ目の前、廊下で待っていた彼女の――長月遥の、小振りなシルエットだった。
見上げてくる彼女の格好は、戒斗と同じ神代学園の制服姿。首元には今日も白いマフラーが揺れている。
「悪い、ちょっと待たせちまったか?」
「いえ、今来たところですから。……なんて、ありがちな台詞ですよね」
ふふっ、と薄い無表情の上でほんの僅かに微笑む遥。
こうして彼女が朝に迎えに来るのは、なにも今日に始まったことじゃない。琴音の護衛のために学園に潜入し始めてから、いつしか彼女がここまで迎えに来るのが習慣になっていた。
まずマンションの部屋前で彼女と合流し、それから琴音を迎えに行く。
それが、いつの間にか自然になっていた平日の朝のルーティンワークだった。
「んじゃあ、琴音の奴を迎えに行くとしようぜ」
「ええ、参りましょうか」
玄関ドアを施錠し、待ってくれていた遥と一緒に歩き出す。
外階段を降り、エントランスを通ってマンションの外へ。ここから琴音のマンションまではそう遠くない。多少は歩くことになるが、十分に徒歩で行ける程度の距離だ。
そんな道のりを、遥と横並びになって歩いていく。
朝早いだけあって、空気はなんとなく澄んでいる感じだ。それに通勤通学ラッシュの時間にはまだ早いからか、通り過ぎていく車の数もそう多くない。聞こえるのは小鳥のさえずりぐらいな、そんな静かな早朝の道を二人並んで歩いていた。
「……香華さん、元気にしているでしょうか」
と、すぐ隣を歩いていた遥が何気ない調子で呟く。
それに戒斗は「多分な」と返し、
「ただまあ、後処理にてんやわんやなのは確実だろうな」
「船のこともそうですけれど、例のデータの件もありますからね……」
「ま、でも大体は片付いたってマリアが言ってたぜ。首謀者の――反西園寺派だっけか。例のデータを証拠に、智里の協力でほぼ吊し上げ終わったってよ」
「つまり、財閥内にもう敵は居なくなった……と?」
「そういうことらしいぜ。アイツの……暁斗のデータでってのは癪だが、アレが決め手になったのは間違いないな」
小さく肩を竦めて、戒斗は複雑な顔をして呟く。
――――プリンセス・オブ・アズール号での襲撃事件、その首謀者とされた反西園寺派。
西園寺財閥の主導権を握るべく、幾度となく香華の身を狙った彼らだったが、結局は事件に関わった全員が逮捕されるという結末で事件は幕を閉じていた。
つまり、財閥から不穏分子は一掃されたというわけだ。
その結末に至るに当たって、一番の決め手となったのが例のデータ――暁斗がプレゼントだと言って香華に渡した、あのUSBメモリに記録されていたデータだった。
端的に言えば、メモリの中身は動かぬ証拠の詰め合わせだったのだ。
いわゆる反西園寺派とされている、財閥の幹部クラスの人間が一連の事件に関わっているという証拠の数々が、例のUSBメモリにはびっくりするほど大量に記録されていた。
それを武器に、桐原智里――つまり公安の特命零課が動き、関与していた人間の全員を逮捕したことで事件は収束したのだが……決め手になったのが暁斗のデータだったというのが、戒斗としてはどうにも複雑な思いだった。
「戒斗の弟さん、ですか……難しい話になってしまいましたね」
と、微妙な顔を浮かべる戒斗をチラリと横目に見上げながら、遥がポツリと呟く。
それに戒斗は「……まあ、な」と頷いて、
「だがまあ、なるようになるさ。これでまたひとつ、ミディエイターと戦う理由が増えた……今はまだ、それでいい」
わずかに目を細めながら、そう呟いていた。
「……ここで、降りてもいいんですよ?」
そんな彼を見上げて、遥はポツリと呟く。
「血の繋がった相手と戦う苦しさは、私にもよく分かります。ですから……ここで降りたとしても、私は貴方を責めはしません。失望もしませんし、恨んだりなんかもしません。もし辛いのでしたら……無理せずに、降りても構いませんから」
その言葉は、遥なりの優しさ、彼女なりの気遣いだった。
戒斗は、偶然といえ弟を敵に回すことになってしまった。その苦しみは……同じく兄を追う彼女は、誰よりも分かっているつもりだった。
自分はいい、自ら望んだことだから。
でも彼は……違う。この戦いには自分が彼を巻き込んだようなものだ。その上で実の弟とまで戦ってくれなんて、とてもじゃないが遥には言えない。
だから遥の今の言葉は、嘘偽りのない本心だった。
「いんや、降りやしねえよ」
しかし戒斗はそう言って、すぐに首を横に振る。
「血の繋がりだけが全てじゃない。アイツもまた琴音を狙っているのなら……俺が食い止めるまでのことだ」
「ですが、戒斗……」
「ありがとよ、気ぃ遣ってくれたんだろ?」
言って、戒斗は遥の頭にポンっと手を置く。
「でも、いいんだ。確かに暁斗の件で思うところは、まあ無くはねえが……それが運命なら、受け入れるしかあるめえよ」
「……本当に、いいのですか?」
見上げて問うてくる遥に「いいんだ、俺が決めたことだから」と戒斗は頷く。
「そういえば、零課の連中も無事だったんだってな」
頷いた後で、遥の頭から手を離した戒斗はそう、わざと話題を逸らすようなことを言う。
それに遥はええ、と答えて。
「私もマリアさんから聞いています、皆さん無事だったそうですね」
「あんなフラグ立ちまくりの中で生き残るとはな……あの旦那に犬っころ、俺が思うよりずっとタフガイだぜ」
「ふふっ……かも、知れませんね」
――――二人が話しているのは、別れた佐藤たちのその後のことだ。
仲間のために船に残ると言って、ヘリポートで別れた佐藤一輝と野上遼一、零課のあの二人。かなり厳しい状況だったはずだが、どうやら彼らも無事に生き延びたらしいことは、智里から連絡を受けたマリアを通じて戒斗たちも知っていた。
あの後しばらく孤軍奮闘した彼らは、やっと乗り込んできた海保のSSTが船を制圧した後で、他の零課の生き残りと一緒に保護されたそうだ。
何にしても、無事で何よりだった。彼らが言い出したことといえ、船に置いてきてしまったことの引け目もあっただけに……その報せを受けたとき、戒斗はホッとしたのをよく覚えている。
「さてと、そろそろ着いちまうが……待ち合わせの時間、まだ少し早いかな」
「いいんじゃないでしょうか、早めに着く分には。私は待つのはあまり苦にならない方ですし」
「ま、それもそうだな。俺も待つのは気にならねえタイプだ」
と、そうこうしている内に琴音の住むマンションがもう目の前にまで迫っていた。
自動ドアを潜ってエントランスへ。そこにあるコンソールに部屋番号を入れて呼び出す方式だ。オートロック式のマンションだから、さっき遥がしてくれたように部屋の前で待つ、ということは出来ない。
『――はーい。あっお兄ちゃん、おはよー』
呼び出して少しすると、スピーカーから琴音の間延びした声が聞こえてくる。向こうのインターホンではこちらの顔も見えているはずだ。
「悪い、ちょっと早かったか?」
『ううん、だいじょーぶ。ちょっと待ってて、すぐ出るからっ』
「……だそうだ」
「待ちましょうか」
そうして待つこと数分、琴音がエントランスまで降りてくる。
「二人とも、お待たせ―っ」
エレベーターから降りて、内側の自動ドアを潜った琴音が遥に飛びついてきた。
わっ、と驚きながらも彼女を受け止めて、遥は「お、おはようございます」と抱き着かれながら挨拶する。
「ん、おはよー遥ちゃん。今日も可愛いなぁ」
「……そろそろ離してやれ、遥が困ってるじゃないか」
「えへへ、お兄ちゃんもおはよっ」
ぎゅーっと抱き締めていた遥を離し、改めて挨拶をする琴音。
そんな彼女にやれやれ、と戒斗は肩を竦めつつ。
「そいじゃあ、行くとしようぜ」
彼女たちを連れて、学園まで歩き出すのだった。
学園までの登校ルート、早朝の道を三人並んで歩いていく。
いつもと変わらない、ごくありふれた日常の風景だ。特に二人の素性が琴音にバレて以降は、朝はああして堂々とマンションまで彼女を迎えに行っている。
無論、その理由はひとえに琴音の安全のためだ。
一時的に手を引いたといえ、未だミディエイターに狙われていることに変わりはない。そんな彼女を守るために、戒斗か遥のどちらか……あるいは両方が朝は迎えに行き、放課後はマンションまで送り届ける。それがここしばらくの、三人にとっての日常だった。
「でねー、その時お兄ちゃんってばさー」
「おい琴音、その件は言うなってあれほど……!?」
「えー、いいじゃんいいじゃーん。子供の頃の話だよー?」
「やめろって!」
「ふふっ、気になりますね……それで琴音さん、戒斗がどうしたんですか?」
……そう、あくまで安全のためのことだ。
でも同時に、朝のこうした時間をどうにも楽しんでいる自分が居た。遥や琴音はどうか知らないが……少なくとも戒斗は、そう感じていた。
思えば、こうして人並みに学園に通うことなんて無かった気がする。
ずっと昔は――小学校ぐらいは行っていたのかも知れないが、それもずっと前の話だ。少なくともあの飛行機事故からこっち、マリアに引き取られてからは……そういう経験は、無かったように思える。
だからこそ、マリアは言ったのだろう。一度でいいから、普通の学生生活ってのをやってみて欲しい……と。
彼女がそう言った意味が、今になってやっと本当の意味で分かったような気がする。こうして彼女たちと、何気ない時間を過ごしていると……その言葉の意味が、戒斗はやっと分かったような気がしていた。
「――――わわっ!?」
と、そんな風に三人でおしゃべりしながら歩いていた時だ。
もう学園の校門が目の前にまで迫っていたその時、戒斗たちのすぐ傍に一台の車が滑り込んできたのだ。
驚いた琴音が思わず声を上げて、小さく後ずさる。
戒斗と遥も、何事かと思い視線を向けてみると――どうやらそれは、リムジンのようだった。
黒いロールスロイス・ファントムのリムジン。三人の目の前に滑り込んできたのは、どこかで見覚えがあるような超高級車だ。
「……おい、まさか」
それを目の当たりにした戒斗が、何かを察して微妙な顔を浮かべたとき。運転席から降りてくるのは……また、見覚えのある執事の顔で。
「おはようございます、戦部様」
「高野のじいさん……ってことは、やっぱり!?」
そう、運転席から降りてきたのは高野進――あの西園寺家の執事だ。
ともすれば、スモークガラスで覆われた後部座席に誰が乗っているのかはもう明らかで。戒斗や遥、それに琴音が呆然と見つめる中、高野が開けたドアの向こうから降りてきたのは――――。
「皆、ごきげんよう。久しぶりね?」
スラリと長い足を翻して、リムジンから降りてきた金髪の少女。
当然、それは西園寺香華に他ならなかった。
しかもどういうわけか、彼女も遥たちと同じ神代学園のブレザー制服を着ているではないか。
「ちょっ、おま……どういうこったよ、こりゃあっ!?」
「えっ、香華ちゃん……だよねっ!?」
「私には皆目見当もつきませんが……これは、一体」
あまりに唐突で予想外な彼女の登場に、戒斗や琴音、遥は一様に驚いた反応を見せる。
そんな三人の反応を見た香華はくすっとおかしそうに笑い、
「どういうって、私も今日からここに通うのよ?」
なんて突拍子もないことを、さも当然のように言ってのけた。
「今日から通う……って、何考えてんだよ!?」
「あら、来たかったからじゃ駄目かしら?」
戸惑い、混乱した様子の戒斗に、香華はふふっと悪戯っぽく笑いかける。
「前々から興味があったのよねー、普通の学園生活ってのに。だから思い切って通ってみることにしたの。戒斗や遥ちゃんが居るなら安心だって、お父様も許してくれたしね。あーそうだ、ちなみに皆と同じクラスにして貰ったから」
「……はぁぁっ!?」
「それに……私、すっごく貴方が気に入っちゃったからさ」
と言って、香華は戒斗の傍まで近づいて。
――――そのまま、頬にそっと唇を触れさせた。
「っ!?」
「えーっ!?」
「なっ……!?」
突然、頬にキスをした。
そんな香華のあまりに突拍子もない行動に、された本人の戒斗は当然として……琴音や遥も驚き、思わず声を上げてしまう。
「これはほんの挨拶代わり、この間のお礼も兼ねた……ね♪」
すると香華はそう言って、ふふっと悪戯っぽい笑顔を浮かべると。
「私、戒斗のことが気に入っちゃったの。もっと近くで貴方を見ていたい、もっと貴方のことを知りたい……それがここに来た、もうひとつの理由よ?」
と言って、ふふっと微笑みながら……香華は改めて三人の顔を見渡す。
「それじゃあ皆、今日からよろしくね?」
小さくウィンクなんかしてみせて、悪戯っぽい笑顔を浮かべる香華。
そんな彼女を前にして、三人はもう言葉も出ないといった顔で呆然としていた。
……一難去ってまた一難、というのはこのことだろうか。
ただひとつ、分かることがあるとすれば。
「こりゃあ、泣けてくるぜ……」
また厄介事が増えたこと、それだけは間違いなさそうだった。
場所は変わって、秋葉原のメイド喫茶『カフェ・にゃるみや』では。
「ああ、ああ……うん、今回はご苦労だったね。これからも琴音ちゃんの件で色々と手助けして貰うことになるかもしれないから、千景ちゃんにもよろしく伝えておいてくれ。じゃあ紅音ちゃん、次も頼んだよ?」
店のバックヤードにある私室で、マリアはちょうど電話を終えたところだった。
用の済んだスマートフォンをデスクの傍らに放り、すっかり冷めてしまったコーヒーを少しだけ口に含む。
……と、一息ついた時だった。
つい今まで使っていたスマートフォンが、また着信でプルプルと震え始めた。
「なんだ、紅音ちゃん……じゃないな。非通知とは珍しいね……」
マナーモードにしているから、着信音は鳴らずにバイブレーションだけが響く。
画面に映し出された着信相手は非通知表示。少なくともマリアの知る相手ではなさそうだ。
マリアは怪訝に思いつつ、少し警戒しながらその電話に出る。
「……で、非通知の君はどこの誰だい?」
『――――私よ、久しぶりねマリア』
左耳に当てたスマートフォンから聞こえてきたのは、透き通った少女の声。
落ち着いた声音の、理知的なその声は……どこか懐かしい、聞き覚えのある声だった。
「っ、君は――――!」
だからマリアは思わずガタッと椅子から立ち上がってしまったが、しかし声の主は『待って』と彼女を制すると。
『何も言わないで。今はただ、サイファーとだけ名乗らせて頂戴』
と、冷静そのものな声で諭すようにマリアに言った。
「サイファー……意味するところはゼロ、ってところか。ふふっ、なるほど……実に君らしい名前だね」
その一言で我に返ったマリアは、椅子に座り直しながら小さく笑い返す。
「なるほど、これで全ての合点がいったよ。そうか……君隆くんをけしかけたのは君なんだね?」
『流石、察しがいいわね。香華ちゃんの件を解決するなら、あの子が一番だって思ったのよ。それに……あの二人は、いずれ出会う運命だったから。これは丁度いい機会だと思ったの。この件にミディエイターが関わっていることは、最初から分かっていたから』
「なるほどね、全ては君の手のひらの上だったってわけか」
小さく笑いながら、マリアは言う。
すると電話越しの少女――サイファーは『買い被り過ぎよ』と笑い返す。
「……で、今は敢えてサイファーと呼ばせて貰うけれど。今まで連絡ひとつ寄越さなかった君が、こうしてわざわざコンタクトを取ってきたんだ。何かしらの理由があるんだろう?」
マリアの言葉に、サイファーはええ、と頷き返し。
『助け出して欲しいのよ、とある女の子を――――ミディエイターからね』
と、静かな語気でマリアに言った。
「女の子、ね……それは一体どこの誰かな?」
『その娘の名前は葵瑠梨。簡単に言えば天才少女よ。まあ私には劣るけれど』
「その言い草、ホントに変わらないね。……で、どうして助けて欲しいんだい?」
『彼女そのものというより、彼女が関わっている計画の方が問題なのよ。たった今、貴女のアドレスにメールを送っておいたわ。そこに添付していある暗号化ファイルを開いて頂戴。私があれこれ説明するより、それを見て貰った方が早いと思うから』
「オーライ、ちょっと見てみるよ」
通話中のスマートフォンを耳と肩の間に挟みながら、マリアは目の前のパソコンを操作する。
言われた通りに私用のメールフォルダをチェックしてみると……あった。確かにサイファーを名乗る少女からのメールが届いていた。
そこに添付されていたファイルを開く。高度な暗号化が施されていたが、マリアならすぐ解けるような仕掛けになっていた。
暗号化処理を解いて、ファイルの中身を開く。
すると、その中に格納されていたのは――――。
「これは……『プロジェクト・エインヘリアル』……?」
謎の計画の、恐らくはミディエイターが秘密裏に進めていると思われる計画のデータだった。
それを読み進めるにつれて、マリアの顔はだんだんと青ざめていく。そこに記された恐るべき内容に……彼女はただただ、戦慄していた。
「自立稼働のロボット兵士『スレイヤー』に、完全義体のサイボーグ兵士『サイバーギア』だって……!? なんだ、なんなんだこれは……っ!?」
『嘘みたいな話だけれど、でも事実よ。現に計画は第二段階まで完了しているわ。そして最終段階……計画を完成させる要となる存在が、あの子が守っている少女……折鶴琴音なの』
「……なるほど、話は分かった。でもどうして、その葵瑠梨って子を助け出す必要があるんだい?」
『簡単よ、今はその子が関わっているもの。スレイヤーにサイバーギア、プロジェクト・エインヘリアルの根幹に……ね』
「……オーライ、分かったよ。その依頼、この成宮マリアが引き受けた」
――――プロジェクト・エインヘリアル。
運命の歯車は今、確かに音を立てて回り始めた。謎めいた秘密結社……ミディエイターとの戦いが今、本当の意味で始まろうとしていた。
(Chapter-02『宿命の二人‐Double Executer‐』完)




