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87 悪者は聞きたくない話を無神経にする



領主の執務室に呼び出された場違いな服装の三名。

黒い鎧の若者、カジュアルな服装の若い女性、そして旅人風の壮年の男性。


統一感の三人は、領主である彼女の前に立つ。

彼女から語られる言葉は、決意と覚悟を秘められていた。


悪の組織の同志なるというものだ。


黒い鎧の若者は反応はなく、カジュアルな服装の若い女性は喜びを体で表現している、そして旅人風の壮年の男性は、三人を代表して領主と硬く握手をする。


ミゾレ町は、悪の組織に参加することになった。


「ホントよかったね。本気出したかいがあったじゃない」

とカジュアルな服装の若い女性は嬉しそうに語る。


その言葉に黒い鎧の若者は何?みたいな感じを出し

旅人風の壮年の男性は、


「あのな、シンラーツ。ワルモーン様が本気を出したらあそこのにある山は削られるどころじゃない、更地になっているよ。あれで40%くらいですよね」


「そうだな、そのくらいだと思う。実際50%以上はリミッターをかけられているからな現在の最大値は50%だ。ゴクアーク様でも30%までしか出せないようになっているはずだ」

その言葉にシンラーツはあきれる。


「もう一人で王国とか滅ぼせるじゃない」


「出来るがやらない。関係ないものまで巻き込むのは悪の美学に反する」


「煽るなよ、シンラーツ。頭痛の種が増える」

と頭を抑える旅人風の壮年の男性。


「とにかく先に進もう。後は任せるトレイン」


「いいの?任せて?」


「まだ先は長い。それにヒーローどもがまだいる。レッド、ピンク、グリーンが健在だ。それにブラックとブラウンがいる」


「初めて聞く名前があるよ。ブラックとブラウンっていたの?」


「ああ、この二人は下手をするとオレやアーバレルに匹敵する」


「そんなのいたの?知らないよ」


「表には出ないからな。オレも何度か潜入中で手合わせしたが、倒せるかわからんくらいに感じた」



「さすがはヒーローか、簡単には勝たせてくれないか」



「それにレッドとは決着を付けんといかん。あのバカを止めるのはオレの役目でもある」


「ああ、勝手な言い分でまわりを巻き込んで不幸を振りまく熱血男が残ってるね。ワルモーン君もあいつのせいでひどい目に合ってるもんね、私だってあいつを許せないでいるよ。ワルモーン君が苦しんでるのを近くで見てきたもの」


「そんな事はしらん」


「また、そんなこと言って。あんまりそういう態度取ると…また私泣くよ」

その解答に体ビクッと震わせるワルモーン。


なぜかというと、青の勇者との戦いの後でシンラーツに死ぬほど泣かれながら怒られたのだ。


それも約2時間ほど…

普段は明るく元気なのだが、極端な心配性でもある。

そうなったのには理由もある。

ワルモーンが原因である。彼の幼少期に彼の傍で励ましていたんがシンラーツである。

それも献身的に。


なのでワルモーンの手綱の握り方も心得ている。

その上での心配性。


しかもその状態になられるとワルモーンは強く言えない。

自分の事を献身的に心配している状態だと理解できているからだ。


彼にとってはゴクアーク一家は、恩人そのものだ。

だからこそ気楽に話せるし、頭も上がらない。

ワルモーンの唯一のウイークポイントでもある。


何のでお目付け役には最適なのだ。

これはアクラーツの指示でもある。


つまり母親からの指令なのだ。


「いい加減にあの天然朴念仁信念爆走野郎を落としなさい。

もう色仕掛けでもいいから、ほんとにウチの人に憧れるあまり予想の斜め上を蛇行しながら進み続けるのは見ていて将来が不安になるもの」

とのこと。


割と過激な事を言ってくるあたり悪の大幹部である。


まあ、シンラーツものぞむところなのだが、

なんせ信念暴走超特急無自覚朴念仁は手ごわいのだ。


実際に話。


兄二人も「そろそろ、昔の素直なあいつに戻ってくれないかな?」

なんてぼやき始めている。


父は、相変わらず被害者たちを猫や犬を拾ってくる感じで集めてくるし、

実際は国からの承諾を受けて作られた悪の組織だし、いいんだけど。

これは、カルト団体や犯罪組織対策として、何だよね。

国が表立ってつぶせないところを悪の組織が潰すという名目で行動するのだ。


正論よろしくで憲法、法律に隠れる輩を力技で叩き潰す組織だそうだ。

それなら悪じゃなくてもよくね?


と思うのだが、悪いことする人達ほど正義を語る。

それが、面倒になり悪になったそうな。


で、対面が悪いと口だけの評論家と司法や政治家どもが正義の戦隊を立ちこちにこさえたから話がややこしいのだ。


しかも、正義の団体さんは、悪を確実に潰したいから、力があれば誰でも彼でも仲間に引き込む始末である。


その末路的な戦隊が断罪戦隊なのだ。

もう訳が分からない状況である。


そんな中、シンラーツは、燃えていた。

家族に背中を押されただけでなく、自身のために

あの厨二病拗らせ色恋無頓着暴走驀進悪野郎ことワルモーンを陥落させるため

まずは、謝らないと。


あれで筋さえ通せば、まともな人なのだ。


考え方はアレなのだが、割と常識的なところもある。

どうも考え方の境目がおなしなことになっているようだ。


決意を新たにシンラーツは、進む。



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