84 青の断罪
高台の下でボロキレのように転がるブルー。
うめき声をあげ、息があることが分かる。
彼自身は何とか仰向けになり、眼を開く。
空の光が瞼を開けた彼の目に差し込む。
だが、それは木漏れ日のような光。
それでも彼の視線はぼやけている。
何者かが彼を覗き込んでいるのが分かる。
誰がとはわからない。
「どうやら、まだ生きているようね。よかったわ」
彼の身を案じる言葉に、ブルーは安心する。
味方だと安心したのだ、安直に考えた。
視点が戻り始め、彼を覗き込んでいるのが誰か理解できるようになった。
黒い服装に変わった仮面で顔の半分を隠している女性だ。
彼には見覚えがある。
以前、彼が会ったことのある女性だ。
それが誰かまでは理解できないでいた。
「やっと目が覚めたみたいね。ブルー、これで始められるわ…」
「誰だっけ、オレのファンなのか?今は…後にしてくれないか」
「ダメよ、今じゃなきゃ。そうじゃないと、アナタすぐ逃げるじゃない自分の罪から」
その言葉に慌てるブルー。
自分が置かれている状況に気が付き始めた。
彼女は…彼女たちは味方じゃないのかもしれない、と。
「あら、気が付いたみたいね。そうよ、私たちはアナタの詐欺の被害者よ。
特殊詐欺、結婚詐欺をやり倒してきたくせに司法取引で逃げたものね…ア・ナ・タは・」
その言葉にブルーは顔を引きつらせる。
その顔に満足気になる女性。
「そうよね、詐欺の主犯格のくせに仲間に責任押し付けて正義の味方ごっこ?素敵ねアナタは、それでも飽き足らず正義の味方の副業で詐欺を続けている大悪党だものね」
ブルーの顔が引きつるだけではなく青くなり始める。
「よかったわね、これで罪を清算できるわよ。それまで生きていればね」
彼女たちは、手に持つナイフを振り上げる。
「ちゃんと罪の意味を理解させながら刺してあげてね。彼はバカだからわかりやすくね、順番にするのよ致命傷は避けてね。すぐに楽になんかさせたらまるで許したみたいになるから…」
冷たい視線に凶悪な笑みを浮かべる。
それが彼を取り巻く男女の全てから向けられる。
「貴様ら、人としてこんなことしてただで済むと思っているのか」
「あら、何言ってるの?ここは異世界で私たちは悪の組織なのよ。
どんな残虐な事をしても別にいいじゃない。
なんせ悪なんだもの」
嘲笑を浮かべる彼女の瞳は、深い黒に満ちていた。
戦隊ヒーローの裏の顔、断罪をしてきた彼が今度は断罪されるのだ。
自分の罪と後悔に刻まれながら。




