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8 悪者、夜の迎撃戦をする

悪者、夜の迎撃戦をする



村の端、森との境目にかがり火がたかれ、柵がおかれ村人が十人ほど見張りに立っていた。

そこに村長とバー・ヌーシがワルモーンとシンラーツを連れてやってきた。


村長は見張りの村人に差し入れをする。

暗い表情には、若干の安ど感が出ていた。


「ワルモーン殿、本当に倒せるのですか?」

バー・ヌーシは、たずねた。

彼の力はバー・ヌーシ自身が見ていたので大丈夫なのは理解できていた。

だが今度の相手は数が多い。

とても一人で相手するものではない。


「大丈夫ですよ。むしろきちんと手加減してね、ワルモーン君。じゃないと森自体が吹き飛んじゃうから」

となかなか怖いことを軽く言うシンラーツ。


「そうだな、聞いていた話通りなら3割くらいで済ます。その代わりオレ一人でいい。他の人間を巻き込むかもしれんからな」

森を見据えるワルモーン。

彼の言葉が真実かどうかは測りかねていた。

でも村長はかけることにしたのだ。


このままではどのみち村は全滅だ。

それに彼はあの大きなハーケンボア(イノシシもどき)を仕留めている。

期待は出来るはずだ。どこまでできるかわからないが・・・


村長の説明を受けていた見張りの村人も半信半疑だ。

そんな中、ワルモーンが

「どうやら、来たようだな。40匹か、少ないな」

と言う。


その言葉に、見張りが森を見る。だが暗闇にいる魔物には気が付かない。


「じゃあ、お願いね。ワルモーン君。他の人はここで待機ね、邪魔だから」


「お前も、残れよ。邪魔だから」

と一言の残しワルモーンは漆黒の森に向かう。


「一言余計よ。ああ一匹くらいは持って帰ってきてね」


「魔石とやらを回収すればいだろ。ここに来た小物どもは面倒なんで消し炭にする」


「それでもいいですか?」


「え、ええ。それで充分です」

村長は、勝てることが前提の会話についていけていない。


「なら、しばらく待っていろ」

と言うと、ワルモーンは漆黒の森に踏み込んでいく。

漆黒の鎧が暗闇に飲み込まれていく。


彼が森に入って10分後、森から光が漏れる。

目も眩むほど光が、そして地鳴りが響く。雷が落ちたような音だ。


それは、一瞬であり見張りの村人は、光に目を背けていた。

さらに10分後、ワルモーンが何かを引きずりながら森から出て来た。


人ほど大きさの何かの片足を持ち引きずっていた。


「すまんな、わけのわからんのが一匹混じっていた。始末してしまったが問題ないか」

と言うと村人に前に放り投げた。


それはゴブリンの上位種のホブゴブリンだった。

ホブゴブリンは絶命しており、体のあちこちが焦げていた。

そして、村長に一つの袋を手渡す。

その袋はズシリと重かったのだ。


中を確認するとそれは魔石が詰まっていたのだ。

「もう生体反応はない。今夜は大丈夫だろう、巣穴は明日かたずける」

と言うとワルモーンはその場を去る。


「ごめんなさいね。彼不器用が服着てるような人だから。もう大丈夫ですよ、今夜の襲撃はありません。彼が根こそぎ退治しましたから。残りは明日ですね。信用できないならついてきてもいいですよ」

とシンラーツが言い残し、その場を後にした。


「すごい」と村長がつぶやき、

見張りの村人たちは、「本当か」と半信半疑だった。


だが目の前にあるホブゴブリンの死体と袋に詰まった魔石が真実を物語っていた。


彼の言った通り、その日の襲撃はなかった。



〇これは悪を気取ったいい人たちが、悪いことしているつもりで周囲に感謝されるコメディーである。

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