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80 乱戦に悪者は踊る

戦いは熾烈を極め、大地が血に染まる。

魔物の死体が足のふみばもないほどに転がり、

返り血と疲労にまみれる騎士団が、あふれる。


青の勇者は、前線とはいえ後方より攻撃を加えるため、

まだ精神的には消耗していない。


ただ、直接魔物と対峙する騎士団はそうもいかない。


絶えることのない魔物の猛攻。

気を抜けば一瞬で刈り取られるであろう自身の命。


気を休める間も撤退することもかなわない戦場にいるのだ。


精も根も尽き果てようとしていた。

踏ん張っているのだが、それでも均衡はいつ崩れてもおかしくない状況だ。


「ブルー様、相手を押し戻す一手が無いとまずいと思いますが…」

青の勇者と同じ青の装備を付けた部下が勇者に進言した。


「そうだな、勢いがありすぎる魔物どもの動きを抑えないと全滅必死か…

それはまずい。どのあたりを潰せば勢いを消せると思う?」


「そうですね、やはり魔族を潰すしかないですね。

アレに魔物どもは煽られているようなのでそれが確実だと思われます」


「そうなんだよな、一人は何とかできるが、あの首謀者は難しいな。

力が強すぎる、オレが相手しても倒せるかわからない」


「そうですね、アレは以上です。他の勇者様を呼ばれますか?」


「それでもつらいだろ、着くまでにここが持つと思うか?」


「無理ですね、やはりブルー様が相手するのが妥当ですな。残りは我らが相手をしますので」


「しゃーないな。やるか」

と言うと青の勇者と部下は素早く行動を開始する。


部下である青の一団は魔族を囲むように攻撃を仕掛ける。


勇者は、矢を射りながらけん制し、動きを単純化させてから必殺に一撃を撃つを繰り返す。

青の勇者は、キチンと自分に有利な距離を保ちつつ攻撃を繰り出す。


だが、それでも数の差は埋められず騎士団は押し切られる。


その間魔族も一人仕留めるが、被害も大きく青の一団は相打ちとなり戦力は激減したことも押し切られる要因の一つとなる。


あふれ出る魔物たちに瓦解される騎士団。


その魔物たちが突然爆発する。


元の形がわからないほどに吹き飛ばされる魔物たち。

煙が立ち上り、勢いをつけていた魔物たちも動きが止まる。


その煙の中から黒い人影が現れる。

ソレは黒い鎧を纏い、稲妻ををまき散らし、近づく魔物を焼き払う。


「所詮は、畜生か。数で押し通すだけか、つまらん」

と、つぶやきながら魔物の一団を押しとめるだけでなく、押し返している。


「シルバー!やっと会えたな。ここで貴様を連れ帰り戦隊の立て直しに協力させる」

と、ブルーが吠えると


「勝てるつもりかよ、ブルー。確かにからめ手ではお前に勝てんが、正攻法ではオレが優位だ。この状況であろうとも貴様に勝ちをやるほどオレの悪としての信念は軽くない!」


不敵な笑みを浮かべ、ワルモーンが乱戦に参入する。


〇これは悪を気取ったいい人たちが、悪いことしているつもりで周囲に感謝されるコメディーである。

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