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73 若者の特訓


森の中で彼はスライムと戦う。

それは、彼を一人の男として、戦士として認めてくれた人との約束であり、決意でもある。


一匹のスライム相手に最初は何本もの剣を無駄にした。


認めてくれた人はこうも言っていた。

「剣の使い方を工夫しろ、相手は確実にお前より格上だ。剣を振り下ろす角度、速さを変えろ。

相手に斬りつける場所を変えろ、やり方も考えろ。オマエに合った剣の使い方見つけろ。

それがお前が手に入れるべき強さにつながる。考え続けろ」


その言葉通りに実戦した。

頭では理解できてはいたが、体がついてこない。

相手は、強敵のスライムだ。


ほぼ物理攻撃が通用しないし、魔法でもなかなか倒せない。

どこかの冒険者がスライムなんてザコとか言っていたがとんでもない。

油断すれば、一瞬で体を溶かされる。


池の水を切り裂いているみたいだ。

切ってもすぐ元に戻る。

でも相手は魔物。


核となる物があるはずだ、そう自身を奮い立たせた。

一日目は、ただ剣を無駄にして終わる。


認めてくれた人は、彼の野営地に結界を張ってくれていた。

魔物を寄せ付けない結界を、そのおかげで彼は安心して疲れをいやすことが出来た。


そして彼が目を覚ますと野営地に食料と新しい剣が数本置かれていた。

その剣を携えて、また戦いに挑む。


自分の、自分なりの強さを見つけるために、目標の一日スライム十匹を目指して。


その特訓が三日目に入ったころ、やっとスライムを一匹倒すことに成功した。

粘液と魔石が残っただけになったからだ。

粘液は薬の原料として使われる、高級な薬剤扱いだ。

それを回収し、魔石を野営地に持ち帰る。やっと倒したことで疲れが出たために時刻は早いが戻ることにしたのだ。



ココで無理をして無残な結果になれば認めてくれた人に顔向けできないと彼は判断した。


「死んだ奴に次はない。みじめでも情けなくても生き残れ。カッコ悪くても勝てないと思うなら逃げろ。逃げて生き残った奴が勝者で次がある、次を考えることが出来る」


この言葉が彼の脳裏をよぎったからの撤退である。

疲れが出た為か彼は、そのまま野営地で眠りこけた。


翌朝目が覚めた時いつも通り彼の野営地に食料と数本の剣があった。

だが、それとは別に紙切れがあった。


そこには、


よくやった、そして良く生き残った。

オマエには次がある。


と書かれていた。


それを見た彼は、あまりの嬉しさに獣のように大声で叫ぶ。

己を鼓舞するように、己の判断が間違っていない事に。


認めてくれた人が、褒めてくれたことに。


自分のやり方を認めてもらえたように思えたからだ。

それからは早かった。


倒せるスライムの数は増えていき、無駄になる剣も減っていった。

目標の十匹に近づいた時に思わぬ来訪者がやってくることになる。


〇これは悪を気取ったいい人たちが、なぜか修行モードに入り作者が戸惑うコメディーである。


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