63 教団との戦い1
黄色の勇者後日編です。前回でも記述しましたが
改めて注意点が一つ。ココよりの残虐なシーンを多用しております。
話しの流れ上必要な事なのでご了承願います。
戦場は、ツカ村がある地方側にある中央の山脈とミゾレ町の中間あたり。
そこはだだっ広い荒野になっていた。ミゾレ町周辺は森になっており、その森に入る入り口辺りにミゾレ町の関所があり砦にとなっている。
この砦は、魔物対策として建てられたもので山脈から来る魔物群れの防波堤になっていた。
そこからならば荒野は見渡せることが出来るのでミゾレ町領主ミゾレ町領主(壮年の女性)と護衛、教団側の司祭長と手下の司祭及び騎士が数名、そしてワルモーン側の代表としてエンザーイ・ツインズのトレインとネットと彼らの部下が数名、そしてツカ村の村長とその護衛にセメットとルトランがいる。
荒野には、騎士団二百五十名と魔術団が二十名とセカンドイエローたち四名。
その一団と向き合うはワルモーンとシンラーツの二名。
最早、生贄か公開処刑に見える。
この状況で勝利を確信するなと言うほうが無理なのかもしれない。
「さて、トレイン殿。そちらの反乱者を処分してこちらに勝ちを譲るのだ、貸し借りは無しでいいのかね」
司祭長は、視線を荒野に向けたままで静かに語る。
その言葉にトレインとネット、そして部下以外に動揺が走る。
この戦いが仕組まれたものだと思ったのだ。
「何を言っているのかわからんな。それに神職者とは思えん発言だね、司祭長殿」
「今更とぼけるのかね、貴殿はあの二人を処分するためにこの状況を利用したのではないのかね。
我らとのパイプをつなげるための行動だろう」
にやけた口が、卑しく見える司祭長。
「司祭長殿、何を勘違いしているのかわからんがキチンと話してやろう。この戦いで貴殿に勝ちなどやらん、正確には貴殿らが勝てる確率などない」
その言葉に司祭長は、うわべだけでも強気に見せているものだと考える。
もはや考えが、安直そのもの。
「そうですか、ですがあの若者二人で騎士団が相手できるとも思えませんな」
「そうか、司祭長殿。貴殿はうわべしか見ないのだな、ならば言おう。あそこに立っておられるのは我々上司である。貴殿の自信の元となる騎士団程度では相手にもならんよ」
「そういいますか、いや言わざる負えませんな。ハハハッ」
とまるでわかっていますよ、ていの笑いを浮かべる。
その笑いに対してセメットとルトランが言い返そうとした時に
トレインは咳ばらいを一つつき、二人の視線を自身に向け確認したところで自身の口に人差し指を当て、沈黙を指示する。
それに気づいた二人は、言葉を飲み込み司祭長をにらみつけるだけにとどめる。
「司祭長殿、どう話しても貴殿には理解できないようだ。何、すぐに答えは出る。貴殿の考えがどれほど甘いかを」
「そうですか、ではそういうことにいたしましょうか」
司祭長は自身優位がすでに崩れていることに気づかない。
これはトレインが仕掛けた教会に媚びを売るための茶番だ、という姿勢を崩さなかった。
それがいかに愚かな考え化も理解できずに。
そんな中、ため息を一つつきミゾレ町領主は戦いの開始の指示を出す。
すると、甲高いラッパが音を響かせる。
開始の合図である。
ワルモーンのその音を聞くと
「さて、片付けてくる」
その言葉を残し、踏み出す。
「じゃあ、いってらっしゃい」
笑顔で送りだすシンラーツの言葉には、歩き出すワルモーンの敗北を考えられてはいない。
ごく自然に送りだしている。
ワルモーンはその言葉に振り向かずに左手を軽く振る。
その行動にも悲観した考えは見られない。
それに対して彼を見つめる騎士団の方々にはこの人数差で負けるハズなどないという確信が映る。
今、各自の思惑が絡む戦いが始まる。
〇コメディー要素に戻りたいが、戻せなくて困っているコメディーである。




