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53 ボー村に戻る旅路


メツハ村の開発は、組織の者たちに任せボー村に向かうワルモーン御一行。

もちろん途中で出会う魔物は冒険者二人が露払いである。


その途中、バー・ヌーシは魔族との戦いの内容を執拗に迫っていた。

なんせ、危ないから村に留守番だったからだ。

魔族討伐後も何かと忙しいワルモーンとシンラーツ。

それに冒険者二人は、ヘロヘロ状態で話も聞けない。

その反動で質問攻めとなった。


好奇心旺盛なあきんどバー・ヌーシ。

この世界ではまともな部類と思われがちだが、彼もなかなかぶっ飛んでいるようだ。


だからこそ【悪】であるワルモーンたちに見事になじんでいるのだろう。

今は、道楽中のように見えるがやるべきことはしているらしい。


自身の商会の切り盛りをジョー・ツキに指示しては、対応しているらしい。

現在は、完全な野次馬である。


と言っても彼がお世話になった村を助けたい気持ちは本物である。

助けるだけで済んでいないから大変な状況なのだが・・・あまり気にしてはいないようだ。

むしろ、村が発展すれば彼の商会も利益が上がるのでいいことずくめらしい。


ワルモーンたちは体よく使われているようだが、バー・ヌーシ曰くお互い様らしい。

彼はさらにこう言う。

「彼らといれば退屈しません。数日離れたくらいで村は数年先の姿に変わってしまう。それも絶望していた村人を笑顔に変えてしまう。口だけで人を不幸にする正義よりもよっぽど人々のためになる【悪】は面白い」だそうだ。


シンラーツは思う。こんな人だからワルモーンと意気投合するのだろうと。

ひょっとしたらゴクアークとも意気投合しそうな人だと。

そして、ボー村にあるデカいカメを見たらバー・ヌーシはどうなるのだろう。


彼の楽しみは尽きない、【悪】に魅入られたせいでもあるのだろう。


「さて、バー・ヌーシさん。そんなに関心を持ってもらえるのならいずれウチの組織の総帥に面会できるように調整しますよ」


「本当ですか?それは興味深い。アナタやワルモーン殿が慕う組織のトップ。会いたいですね、楽しみで仕方ないですね」

とシンラーツに笑顔で圧をかけるように近づくバー・ヌーシである。


「もうそれくらいにしておきな。オレは今回何でボー村に呼ばれたんだ?何も聞いていないのだが・・・」

ワルモーンが不思議そうに確認してきた。


「えっとだね、ゴクアーク様が倒した大亀の解体をしてほしいんだって。硬くて手が出せなくて困ってるって言ってた、早くしないと腐るから何とかしてほしいんだって」

と顎に指をあて、答えるシンラーツ。


「そうか、魔物とは言え生き物だからな。死骸になれば腐る、使い物にならなくなる前に何とかしたいわけだ」


「そういうこと。それに面倒事はもう一つあって・・・こっちの方が問題かな」

と露骨に嫌な顔をするシンラーツに何かを察するワルモーン。


「その問題事とはアレが駄々をこねているのか?ボー村で」

その言葉に顎に置いていた指を額に移す。


「そうなのよ、アレが来てるの。あの脳筋自分にも何かさせろってことらしいよ。シュトさんとヘフェヌさんは対応に困っているの。部署は違うけど一応上司だし、エグーミも抑えきれなくなったみたい」


「あいつは・・・大幹部の割に行動がガキか」

とワルモーンは珍しく額に手を付けて頭を抱える。


「どうされたのですか、珍しいですね」

バー・ヌーシは何かをかぎつけたのか、話に加わる。


「そうですね、ボー村に戻ればわかりますよ。そうですねバー・ヌーシさんでも手を焼くことになるでしょう」


「それは楽しみですね、その方は私にどんな景色を見せてくれるのかを」

バー・ヌーシはわくわくしていたのだが、後でそれを後悔することになる。



〇これは悪を気取ったいい人たちが、悪いことしているつもりで周囲に感謝されるコメディーである。




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