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悪の組織劇場 第6幕 悪の総統、村視察記 2


復活したガラスのオッサンハートこと【悪】の総統。

にこやかに村の視察をする。


ゴクアークなりに周囲を和ませるために村人たちに笑顔を振りまくのだが、

本人は優しい笑顔を振りまいているつもりなのだが、受け取る側の村人たちのはそう映らない。

何やら恐ろしい顔の人が、更に恐ろしい顔で周囲を見渡しているのだ。


もう恐怖そのものである。威圧されている様にも思える。

ゴクアークの努力は瓦解したおしである。


頑張って笑顔作っているな、と思うのは悪の組織の関係者だけである。

付き合いが長いためでもあるのだが、初対面の、ゴクアークのイカツイ顔に免疫の無い人からすれば

威圧されて、威嚇されている状態での不気味な恐怖を振りまく笑顔はもう怖くて仕方がないのだ。


出会う村人たちは、こぞってドン引き状態である。

子供たちに至っては、目が合った瞬間に親の後ろに隠れたり、子供によっては泣き出す始末。


これには大の子供好きのゴクアークは、被弾しまくりである。


そんな中、部下から連絡が入る。

大型の魔物がボー村に向かって進撃を開始したことだ。


原因は、どこかで膨大な魔力があふれまくり、それが大型の魔物の眠り邪魔したようなのだ。


もちろん原因は、ワルモーンである。

魔族の出していた魔力は大したことはなかったのだが、ワルモーン自身が放つ魔力と妖力のケタ違いなため

その影響が大型魔物を呼び起こすことになったのだ。


ゴクアークたちにかしづく組織の戦闘員。

それに対して、ヘフェヌが回答を求める。

「閣下どうなさいますか」



「そうね、その魔物は一体だけなの」


「ハイ確認されているのは一体だけです。魔物の系統等カメタイプであるとの報告もあります。

ただあまりにも大きのでお時間をいただければこちらで処理いたします。

・・・どういたしましょうか?」


「ワシがやろう」

唐突にゴクアークが言葉を紡ぐ。


「そうね、ここに来て気分転換の予定が、凹みっぱなしだものね。いい八つ当たりのネタが向こうから来たのだものいいんじゃないの」

とアクラーツはしれっと了承する。


「なんと恐れ多い、閣下自ら手を汚さずとも」

ヘフェヌは、ゴクアークが自ら動くことに苦言する。


「いいのよ、ヘフェヌ。たまには運動させないと、この人下っ腹がでるからやらせとけばいいの」


「あのな、人を中年太りのオッサンみたいに言い追って・・・

まいい、さっそく片付けに行くとするか」

とゴクアークが動こうとすると


「その前に他の村に連絡を入れておいてね、衝撃波が来るので防衛をするように、と」

アクラーツが、戦闘員に指示を出す。


「は、早急に」

と戦闘員は、答えると早急に行動を起こす。


「そうか、ワシがやれば衝撃波が出るな。見事な配慮だ、他の村の対処準備ができ次第そのデカガメを潰しに行く」


「できれば、デカガメも回収してくださいね。死骸でも使い道はあるようですからお願いしますね」

と村の入り口に向かうゴクアークに言うと


「そうだな、ちゃんと持って帰ってくるぞ」

と言いながら村の入り口まで行くと、そこから目的にまで高く飛びあがる。


ゴクアークは弾丸のように目的地であるデカガメの所に着く。

目の前に立つデカガメは高さは十メートルほどあり、全長は三百メートルほどあるようだ。


大柄のゴクアークと比べてもでかすぎる。

だがゴクアークは、凶悪な笑みを浮かべる。


「ただ、デカいだけか。つまらんな、さっさと仕留めるか」

と言うと、ゴクアークはデカガメの顔の正面まで飛び上がり右手で殴る。

殴られたデカガメは膝をつく。

そして、ゴクアークはデカガメの首根本に先ほどとは比べ物にならないくらいの力を込め、拳を叩き込む。衝撃波がデカガメを貫き、カメは口から血を吐き絶命する。

カメの吐いた血は、下のいたゴクアークに降り注ぐ。


「しまったな、服を汚してしまったか」

と言うと軽く服についた血を払い、デカガメの甲羅を掴み軽々と持ち上げる。


「まあ、土産もあるしいいだろう」

と言うとそのままボー村に向かって歩きだす。


ちなみにゴクアークが打ち出した衝撃波は、強力過ぎて波紋のように周辺に広がる。

ボー村はアクラーツが、メツハ村はワルモーンが、ハーメ村は戦闘員たちがそれぞれ衝撃波から守っていた。


ボー村では、近づく地響きに村長以下村人たちが戦々恐々となっていた。

悪の組織の方々は何とも思っていない。

彼らはゴクアークが負けることが想像できないからだ。


村の入り口から大きなカメの甲羅が地響きとともに近づいてくる。

ゴクアークが村入り口まで来ると村の外にデカガメを置き村に入るのだが、村人たちがドン引きする。


凶悪な顔のデカい親父が血まみれで村に入ってくるのだ。

どこの魔人かアンデットなのだろうと思い悲鳴や鳴き声が響く。


正に阿鼻叫喚である。

ゴクアークはその状況に凹み、服を汚したことを嫁さんに怒られ、村の外囲いの塀のところで体育座りして泣きそうな顔をして凹んでいた。


悲しいかな、悲しそうな顔も凶悪に見えるゴクアーク。

救われないまま、アクラーツに連れられて本部に帰っていったのであった。



この後、子供の躾けように悪い子には血まみれの凶悪顔の魔人が来るよ、という戒めが広がることになる。


更に、彼が倒したカメがいた穴は、湖となり水源となる。

その湖の名は、極悪の泉と言われ、その泉でお祈りすると極悪顔の強いオッサンの加護があるという言い伝えが残ることになる。




〇これは悪の組織の方々の普段を描く一幕です。

何でしょうか、悪の総統の暴走が激しくなってしまいました。

ホントは渋いおじさんの予定が、ああ壊れていく壊れていく。

やっちまったものはしゃあない。このまま突っ走ります。

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