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5 悪者、村へ進撃する

二人は村までの道中で馬車の主であるバー・ヌーシから話を聞いていた。

向かう村の名はボーと言うらしい。


薬草が豊富にとれる森のそばにあり、更に村でも栽培しているところだ。

観光はあまりなく、静かで落ち着ける場所らしい。


だが最近はハーケンボア(イノシシもどき)が旅人を襲ったり畑を荒らしたりして困っていることを聞いた。

本当は、バー・ヌーシが雇った冒険者たちで討伐してもらうつもりだったらしいが、さっきの騒ぎで逃げ出したそうだ。


そこに運がいいの変わるのかワルモーンたちが通りかかったわけである。

バー・ヌーシは、見た目と言動がおかしいワルモーンと人当たりのいいシンラーツを見て思う。


『悪い人ではない。ただひねくれいているだけの人だ』と判断していた。

これもうまく話をまとめたシンラーツの手柄と言える。

真面目と不器用なワルモーンだけでは、話はこじれていたところである。


「だけど助かりましたよ、お嬢さん。腕利きのあなた方に出会えたのはもう神の思し召しだと思います」

馬車の中でバー・ヌーシは、浮かれ口調で言う。


「そうですか。でもあまり神の思し召しとか、正しき事とかは言わないでくださいね。ウチの偏屈君はそういうの嫌がるんで」

と注意を交えながら答える。


「余程ひどい目に会われたと見える。そうですな、気をつけるとしましょう。なんせ恩人のお言葉ですからな」


「助かります、それでさっきの話ですけど・・・そんなに村は困っているのですか?」


さっきまでの明るさから打って変わり視線を落とすバー・ヌーシは口調も重く暗いものに変わる。

「ええ、さっきのハーケンボア(イノシシもどき)もそうですが、ゴブリンも相当な問題です。

何とかしたく冒険者を雇いましたが・・・・」


「依頼者を置いて逃げ出したわけですか」


「そうです。ですがここであったのも何かの縁。お助け願いませんか、お嬢さん」


目をそらし、頬をかき「えっと・・・」と言葉に困る。


「何か問題でも?依頼料は払います。逃げだした冒険者たちには依頼不履行の扱いになりますので罰金が出ますし、

アナタたちのランクも上がります。問題にはならないと思いますが・・・」


「正確に言うとね、オジサン。私たちはまだ冒険者じゃないの、だからさっき言っていた登録もまだなのよ」

とごまかし笑いを浮かべる。


「なんと!それであの強さですか!見事ですね、なら依頼料にギルドに推薦も入れます。

お願いします。」


「多分、大丈夫だと思うけど・・・。ワルモーン君がどういうか・・・かな」


「あの黒い鎧の御仁ですか。やはり気難しい方なのですか?」


「そうじゃ無いよ、そうじゃないんだけど・・・彼が出す条件次第なんだよね。

性格は真面目で一本気なんだけど何分ひねくれてるからどうなることやら・・・彼の説得には自信ないんだよね」


「では、まだ交渉の余地はあるんですね。では、さっそく・・・・「待った!」」

バー・ヌーシがさっそくワルモーンに交渉しようしたときにシンラーツは待ったをかける。


「今はこの馬車の護衛中だよ、彼は。その最中に違う依頼を言っても受け付けてくれないよ。順序と優先順位をきちんとしないとへそを曲げるの」


「気難しい方なのですか?」


「違う違う、単に不器用なだけだよ。それにいましていること全力でこなしたいだけなんだ、彼は。

ホントに不器用なんだよ」


「なるほど、ますます気に入りました。一つの事を愚直にこなす方なんですね、ホントに信頼に値する方ですね」


「そうなのかな・・・・、ただの不器用男なんですけど・・・」

と話が進むことに困り果てるシンラーツ。


でもワルモーンの評価が上がることはうれしくも思っている。

そうこうしているうちに馬車な目的のボー村に到着する。




〇悪を気取ったいい人たちが、悪いことしているつもりで周囲に感謝されるコメディーである。

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