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36 悪者は侵略した村への帰還する


とりあえずワルモーンたちは、ハーメ村を配下たちに任せ、ボー村に戻る。

因みに、新規加入として女魔法使い改めセメット、男剣士改めルトラン、そしてシアンウルフの蒼月そうげつを連れている。

治療中の冒険者は、そのまま村に残り、残りのシアンウルフたちは、調教の為居残り組になる。


彼らは道中魔物が出れば倒し、野生のイノシシが出れば狩るということを繰り返す。

そして、見覚えのない風景が広がる村が見える。

ワルモーンとシンラーツはさほど驚かず、感心はしていたが、バー・ヌーシとジョー・ツキは驚きを隠せない。

というか、ここどこ?的な視線で見まわしていた。


それもそうである、村が様変わりしていたのだ。

村の周辺と村を十字に割るように流れる水路。しかもレンガできちんと作られており、橋もかけられている。

更に外側の水路を囲むように畑が広がり、以前見た畑の約20倍の数がある。

建物も以前見たボロ家ばかりだったのが、綺麗な木造建築になり、公園なども中央にある。


村の北側には何やら長屋風の建物があり、村人たちが討論しながら畑を作っている。

更に北側にある森は、木が半分ほどなくなっているのだが、それに合わせて新たな苗木が植えられているのだ。

更に植樹されているところと長屋風の建物の間にはハーケンボアがたくさんいるのだ。

それを世話する村人の姿も見える。


最早以前見た村の景観ではなく、別の村と言われてもそん色ない状態になっていた。

ココは以前来たボー村ですと言われても、以前の姿を知っている人には信じられない光景である。

確かに予備知識として【悪】の組織の方々が開発するとは聞いていたが、ここまで様変わりすると

タヌキやキツネに化かされているのか、と思えるほどである。


でも、確かにボー村である。

バー・ヌーシには、見覚えのある村人たちがいる。

間違いないのだが、村が余りのも変わってしまったのだ。


「あのここはどこですか?」

と尋ねてしまうほどだ。


「何を言っているのだ、開発が進んでいるボー村ではないか。疲れているのか村に着いたら早めに休むことを薦めるが・・・」

とワルモーンは端的に当たり前のように答える。


それに対して慌てて

「いや、そうではなく・・・ここまで様変わりするとは思っていなかったもので・・・何が起きたのか理解が追い付きません」

バー・ヌーシが混乱気味に言葉を探していた。


どういえばいいのやらわからなくなっていたのだ。


「そうよね、いきなり開発が進み過ぎて理解出来なくなってるのね」

とそのことに気づいたシンラーツが助け船を出す。

変化の速さについていけていないのだ、と理解したからだ。


現代人からすればこの程度の変化ならば、感心してすごいなあで済ます人も多い。


だが、異世界の人たちから見ればあまりにも非常識に見えるのだ。

開発スピードが速すぎて理解がついていけないのだ。


彼らが驚くのはこれからだった。

村の中央に位置する会館、それは村の公民館兼役場になっていた。

そこに彼らは通され、そこで村長とリノウナンバーズ・シュトと合うことになった。

村長からは深く礼を言われ、その後でシュトが現状の報告を聞くことになる。


まず、水路を建設し村の水不足を補いそれに伴って農業用水としてまた、魔物よけの堀として使うことにしたこと。

畑の増設とそれに伴って肥料の改善を行うため、畜産を開始し不足分を補えるような環境を作り上げること。

更に林業を始めるとともに植林をスタートさせたこと。

村の建物を立て直し、それにともなって区画整理を行い、村の居住環境を整えること。

森近くで農業、畜産の授業を行い村人たちに知識を解放したこと。

が、報告された。


それに対してワルモーンは腕を組み目を閉じて聞いていた。

隣で聞いていたバー・ヌーシは感嘆の声を上げ感心して聞いていた。

報告が一通り終わり、ワルモーンは目を開き、

「オマエ達らしからぬ見落としがあるな」

と苦言をとなえた。


その言葉に村長とバー・ヌーシは驚く。

ここまでのことをしてくれたのに見落としがあるなんて思えなかったからだ。


「申し訳ございません、なにかやり残しがありましたか」

シュトは真摯に助言を聞こうとしていた。


「いいか、シュト。教育が抜け落ちている。村人はもとより子供たちに知識を持たせることが大事だろう。

そうしなければ、いくらこちらが説明しても理解が追い付かない可能性がある。

そうならないようにするためにも村人たちには基盤となる知識を教育する必要性があるのではないか」

と指摘する。


「た、確かに。見落としていました、それは必要ですね。理解できていなければいくら農業や畜産について指導してもついてこれない可能性があります。申し訳ございません、すぐに取り掛かれるよう準備いたします」

といって、頭をさげる。


それを見たワルモーンは、

「それ以外は見事にこなしてくれた。無理をさせてすまなかったなシュト。

そしてこれからも頼むぞ」

と言葉を紡ぐ。


「ありがとうございます。さらに努力させていただきます」


その会話を感心しながら見る村長とバー・ヌーシ。

彼らは、今を見ていない。先を見ていることに驚いた。

村をここまで発展させてくれたのに、その更に先を考えてくれている。それがうれしくもあり頼もしくもあった。

ただこれで【悪】を語るのはいかがなものか、と思いはしていた。

なんか、善政する名君とその配下にしか見えないからだ。


【悪】を名乗る悪い人にはとてもだが見えない。困ったものであると苦笑いを浮かべていた。

その様子を嬉しそうに見るシンラーツ。


そして、新たな問題が発生する。

シュトが、竹とビニルを何とか都合できないかという申し出が出たのだ。

竹は防水に優れ、加工しやすい建材として、また器などに使える万能資材として手に入れたいそうだ。

だが、ボー村周辺には自生しておらずどこかで入手したがっていた。

その議題に対して、竹の形状を説明してみるとバー・ヌーシは見覚えがあると言ったのだ。

それは、これから向かう予定のメツハ村の近くに会ったかも知れないという情報を手に入れ、

村を訪問時に探すこととなった。

もう一つの問題は以外な解決を見ることとなる。


それは村長から新たな問題が語られることとなる。

最近と言っても、先日村人からの報告が入ったそうだ。

以前、ワルモーンが討伐したゴブリンの巣穴跡に黒い水のようなものが染み出ているとのことだ。

匂いも臭く、周辺に植物も生えない為、魔族の呪いではないかという話である。


そのことにワルモーンは、ある人物に確認を取ることを薦める。



〇これは悪を気取ったいい人たちが、悪いことしているつもりで周囲に感謝されるコメディーである。


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