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35 枢機卿の野望1



あるところの豪奢な一室。

片側の壁には本が並び立ち、反対側には高価な置物が今所の取り合いをするように並べられている。

それにはさまれるように威厳が溢れ出る机といすに座る仰々しい服を着る男が一人背中にある窓を見ていた。



彼は教会で枢機卿の地位におり、教皇に次ぐ立場にいる。

世にあふれる魔物たちに対抗すべく勇者を送り出してはいるが、評判が悪く戦果も芳しくない。

その為に異界より勇者を召喚した人物でもある。



現在、その勇者は六人おり、訓練とこの世界の常識を勉強中である。

だが今まで送り出した勇者たちとは違い、【正義】をなすことに意欲的である。

それに能力も高い。



異世界召喚の副産物として召喚された者たちは、その召喚時に当人たちの能力の底上げをされ、

言語理解もできるようになるのだから当たり前か、と考える。



だからこそ異界より勇者候補を召喚するのだ。

世界を渡ることにより増幅される力。

本来なら自身が欲しい力なのだが、世界を渡る時、狭間に飲み込まれ消えていくものも多いと聞く。

そんな危険なことはしたくもない、これが彼の答えでもある。



ならば、危険なことは別の人にやらせればいい、よその世界の人間に。

と考えるのだ。



勝手な言い分だ。でもそれが人間でもある。

誰もが自身にとって都合のいい言い分を言うのだ、

でもわが身は可愛いので自分では危険に近づきたくもない。

それは彼にも言えることなのだ。



今回召喚した勇者候補たちに世に散らばる【悪】と【魔】の眷属を狩らせる。

本来の【悪】と【魔】の眷属は、もちろん我々にとっての都合の悪い者たちも

その対象に入る。


その成果は、呼び寄せた自身の手柄となる。

そうなれば、いいこと尽くめだ。



失敗しても予備はあるし、自身に危険が来るわけでもない。

うまくいけば、各国に対する自分の影響力は増大するし、貴族どもに対する発言力も上がる。

教会での自身の立場も上がる、いいことづくめである。



いずれ次期教皇に座ることも可能になる、ウハウハである。

そんな都合の良いことを考えるが、それはまだ先である。



今いる勇者候補たちを使い物になるようにしないといけない。

面倒ではあるが、それが最短の道筋なのだ。



そんな事を思いながら外を眺める。


彼が召喚したのは、勇者候補だけではないことも知らずに。



度重なる身勝手でご都合主義の召喚が次元の境界に不具合を起こし、

召喚魔方陣の暴走により目的の勇者だけでなく、違う者たちも引き入れてしまったことを。

それが自身に刃を突き立ててくるかもしれない事を気づいてはいない。




〇これは悪を気取ったいい人たちが、正義の名のもとに行動する人たちと争う予定のコメディーである。

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