31 悪者、手早くかたづける
ワルモーンの進軍は早い。
本来なら拠点である山小屋で一拍なんて当たり前の所を彼は休憩で済まし、
目的地に向かう。
お供は、女魔法使い、男剣士、シアンウルフの蒼月である。
戦力にならない二人でその護衛にシアンウルフがいる状態であるが、不安要素は軽減できる。
彼らの進軍を阻むように
魔物が群れで現れるのだが、それをワルモーンがつぶしていく。
それも殴る蹴るで片付けるのだ。
魔物の頭を吹き飛ばし、体や右胸に風穴を開け、数はいるが、彼を阻むことが出来ない。
立ちふさがれば魔物たちは、元の形すらわからない肉片に変えられ、血だまりを作るだけとなる。
お供の役目は、魔石を回収し、肉片を集め燃やすという作業を行うだけである。
魔物はオークであり、自分たちが苦戦した相手だ。
それをワルモーンは、こともなげにこなしていく。
まるで工場で単純作業をこなす作業員のように、工業機械のように淡々と機械的に。
ただ邪魔なものを排除するという作業を行い続ける。
彼らから見れば、恐ろしい限りだ。
彼に疲れなどない、むしろ後片付けをしているお供が疲弊しているくらいだ。
これによりさらに力の差を痛感していたのだ。
自分たちは彼の足元にも及ばない事を。
そして、ソレは彼らに決意を与える事となる。
まあ、ワルモーンは、そんなことなどつゆ知らず、ただ目標を倒すことにしか興味がないのだが・・・これはコレである。
彼らは、目的地に着く。
それまでには三桁に達しようかというほどの魔物が吹き飛ばされていた。
本当に人なのか、と疑うほどである。
彼が常に豪語する【悪】を認めてしまいそうになるほどだ。
今の彼の・・・ワルモーンの姿は【悪】の魔人に見えるほどだ。
敵であれば脅威以外の何者でもないが、今は少なくてとも味方であり
頼もしき仲間である。これほど自分たちが安心できる存在はない。
その彼の言葉ならわかる。
奴らを潰す、普通なら世迷い言にしか聞こえない。
だが、それを・・・世迷い言を現実にする者がいる。
それも目の前に、確実に立っている。
今から進む鉱山の中に彼に立ちふさがるほどの相手がいるのだろうかと思えるほどに、
彼は強大で、凶暴で、脅威だ。
でも、それは彼の人柄があるからこそ、それも認めることが出来るのだ。
不器用で不愛想、誠実、お人好し、これだけでも人柄としては十分すぎるほどである。
その彼が今まさに鉱山に踏み入る。
相手は、封印されていた何か。
それも勇者たちが、解いた封印だ。
魔物を駆逐して、新たな魔物を解き放つ。
ホントに勇者なのか、と疑う行動だ。
【正義】を歌い、その名のもとに行動する者たちの後始末を
【悪】を名乗る者が行う。何の因果であろうか。
〇これは悪を気取ったいい人たちが、悪いことしているつもりで周囲に感謝されるコメディーである。




