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21 いざ、他の村へ

いろいろな準備が整い、ワルモーン、シンラーツ、商人のバー・ヌーシ、その従者である馬車の乗り手ジョー・ツキの四人で

他の村に旅立つことにした。


四人の目的地である村は、ボーの村の一番近いハーメ村である。

先の勇者たちの被害を受けたところでもあるのでこちらからの要件にのってくれやすいとワルモーンは判断したのだ。

断られたとしても無理やり制圧するつもりなので問題ないと判断しているようだが・・・。


商人のバー・ヌーシの話では、かなり深刻な状況になっているらしい。

もともとは、鉱山の採掘者の集まりだったそうだ。

なので今も採掘はされているのだが、流石にそれだけでは生活が立ち行かない。

その為、農業も行われている。もともとやせた土地が多いので作物の実りも少ない。

幸い森が多いので狩猟が現在は盛んにおこなわれているそうだ。


そこに魔物が発生し、勇者がそれを討伐するために来たそうだ。

見事に魔物の討伐は済んだのだが、そこからが問題だった。


村側はお礼をしたのだが、それだけでは足りないと言われ、村の有り金全てを力づくで持ち去ってしまった。

このため、村の運転資金がなくなり、維持管理などが出来なくなったのだ。

当面は、食料はあるのだが狩猟に必要な消耗品が圧倒的に足らず、その金を作るために鉱山の採掘に力を入れたのだが無理に採掘穴を広げた為に崩落事故が多発。その上洞窟内に魔物が住み着く羽目になり、更に問題が増える始末。

冒険者を雇おうにも金がなく、勇者に頼むことはできない。頼めば今度こそ村が干上がってしまうからだ。


なので村で何とかしようと動いたがケガ人が増えるばかりの状態になっているそうだ。

バー・ヌーシも取引先の一つなので何とかしようとしているのだが、何分先立つものがない。

なので手の打ちようがなく歯がゆく思っていたそうだ。


ワルモーンたちの提案は渡りに船だったのだ。

彼らの実力は折り紙付きであり、バー・ヌーシ自身も目の当たりしているので疑いようはない。

早く行動してもらいたいと思ってはいたのだが、ボー村の村の事を考えるとそうもいかない。


だが、彼らの行動はバー・ヌーシが思うよりも早く動いてくれる。

この事がバー・ヌーシが彼らに寄せる信頼を爆上げすることにつながっていた。


そんな状況でのハーメ村訪問である。バー・ヌーシの期待は半端ないものになっている。

村の入り口についたところで村人たちに止められる。

不審者として扱われたようだ。


確かにマスクはしていないが、纏う鎧は禍々しいので警戒されるのは仕方がない。

しかも勇者たちにひどい目に会わされているので疑いの目はさらに加速するものになる。


そこに顔見知りのバー・ヌーシが間を取り持つ。

彼は商人としてあちこちの村との信頼関係を築いている。

なので村に入ることと村長との面会を取り付けることも容易かった。


四人が通された村長宅には長老もおり、家の周りには村人が集まる。

得体のしれないよそ者が、また村に何か悪さをするのではないかと警戒しているのだ。

その警戒とはよそに、彼らが村側に提示した内容は、驚きのモノだった。


ワルモーンが、自分たちは【悪の組織】の者だと熱く語るのをシンラーツが黙らせ、

改めて彼女が説明しなおす。


歪んだ正義の被害者集団である悪の組織ギャクゾークの一員である自分たちが、

村の問題を解決して見せようという。


彼らは、村に対して組織の傘下に入り同志になれと迫る。

その対価として村側に提示する条件は以下のものだ。


 村の問題を解決する。

 村の安全と発展に協力する。


といいものである。


村側に求める対価は、同志になることと食料の提供を求めていた。


提示された条件は村側にとっても利がある。あるのだが、いかんせん先の勇者の一件でよそ者を信用できないでいる。

それが、顔見知りのバー・ヌーシの紹介であってもそれが信頼できるかといえば別の話になる。


それに今日であった見ず知らずの人間をいきなり信用しろとはいえない。

それが例え顔見知りのバー・ヌーシから全幅の信頼を持たれている相手であってもだ。


しばらくの平行線の話し合いの中で、それを揺るがす問題が起きる。

魔物の襲撃が起きる。


場所は、鉱山への道だ。

鉱山に巣食う魔物の一部が村に襲来したのだ。


その状況で一人の若者が立ち上がる。

「信用できないのであれば、実力を示そう。オレが勇者を倒した実力を見れば考えも変わるだろう」

ワルモーンの言葉が膠着状態の話し合いの空気を一変させる。


「それは、今まさに村に攻めてきている魔物を撃退して見せるということかい」

村長が冷淡に静かに言葉を紡ぐ。


「そういう事になる。オレがどのように戦うか見てくれればいい」


「じゃあ、私は森に向かうわ。猟師さんたちを迎えに行けば早く事がすむしね」

と会話にシンラーツが参戦する。


「そうしてくれ、他の村にも向かわないといけないからな。魔物何ぞサッサと始末しないと時間がない」

表情を変えず淡々と話す。


その状況に村長はあっけにとられていた。

村長は、思案していた。

彼らの言葉は、本当なのだろうか?

もし、本当だとしても彼らの提示した条件は自分たちをだますための嘘なのではないか?


勇者の一件で不信感が前に出ている。

彼らの言葉の真偽を確かめるべく村に迫る魔物をどう対処するかを見届ける事に決めたのだ。




〇これは悪を気取ったいい人たちが、信頼を得るために力を示し周囲に感謝されるコメディーである。


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