悪の組織劇場 第2幕 悪の筋トレ
ゴクアークは、トレーニングルームで筋トレに励んでいた。
イカツク顔に似合うゴツイ筋肉達磨である。
彼は新しく入ったルームランナー2に乗る。
乗ったのだが画面が見えにくいのか、目を細め距離を変化させてみようとしている。
「なに?老眼が激しいなら眼鏡かけなよパパ」
とタオルを首にかけたシンラーツがゴクアークに話しかけた。
イカツク、ゴツイ筋肉姿のゴクアークとボーイッシュだがスレンダーな体のシンラーツ。
とても血のつながった親子に見えない二人である。
「何を言う。この筋肉を誇るワシが老眼などになるか」
とポージングをしながら返答する。
「筋肉は関係ないと思うけどね。無理に強がっても仕方ないんじゃないの?人間あきらめが感じだよパパ」
「強がってなどいない!ワシの筋肉を見よ!この若々しさを。ワシに老いなど無縁なのだヌワハハハハッ!」
とポージングを変えながら返答する。
「何ごまかんてんのよパパ。無駄に若作りしてもダメだよ。年取るのは当たり前でしょ、なら往生際をきちんとした方がいいよ。
かっこいい年齢の重ね方した方がいいよ。無駄にあがくとカッコ悪いだけじゃなくてみぐるしいだけだよ」
と言いながらペットボトルをラッパ飲みする。
「あがくことは悪いことじゃない。抵抗することが美しいのだヌワハハハハッ!」
さらにポージングを変えながら返答する。
「ハイハイわかりましたよ。じゃあ、頑張ってね~」
と軽く手を振りながらその場を離れる。
娘の後姿を見つめながらポージングを続けるゴクアーク。
軽快な動きとは別に表情は涙目になっていた。
そう、彼は結構凹んでいたのだ。
それも立ち直れないくらいに。
必要以上に強がっていたのだが、娘の口撃には耐えきれなかったようだ。
涙を振り切るようにルームランナー2に没頭する。
その姿は哀愁さえ感じられた。
〇これは悪の組織の方々の普段を描く一幕です。




