表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/167

156 悪者は副官といちゃつく



ワルモーンたちは、しばらく街に留まることになった。


ワルモーンの力を簡易的ではあるが再封印するためもあり、

留まることになった。


街の外とは言え荒らしてしまった後始末もある。

そのために片づけもお行うことになった。


本来、常駐する部隊の到着も遅れており、トレインの部隊も一時本部に帰還することになったのも影響している。


街の状況の立て直しも図らないといけないので

手間が多い、さらに領主であるヘイト枢機卿は悪の組織との会談もあり

輪をかけて大変になっていた。


仲間たちは降ってわいた休日に各々が動いていた。



ノータの案内でルトランとセメット街を回る。


リーレは街の情報収集と整備に


レベリットは物見雄山に出かけた。


トレインたちは、一度本部に帰還し、ネットたちが代わりに動く事となる。


後は、ワルモーンはへばっていて、その看病でシンラーツが、ついている状況だ。


「ねえ、懐かしいね。ワルモーン君がウチに来た時みたい」

と、遠くを見るような目で彼女は語る。


「そうかもな、あの頃は左足をなくし、エース計画で精神も病んでいたからな」

ワルモーンは静かに語る。


その顔には思い出すような感じはなく、ただ語るだけだった。



「そうだよね。でもさ、ここまでぶっ飛んだ考えになるとは思わなかったよ」

少女らしい笑顔を浮かべる彼女に

普段は見せない優しい笑みをワルモーンは向ける。



「それは・・・オレも思わなかった」

その言葉に思わず吹き出すシンラーツ。



「なにそれ・・・」

ケラケラと年相応に笑う彼女に



「まあ、これでだいぶと勢力を伸ばしたし、

状況整理にはいいタイミングなのかもしれんな」

安心したのか、ワルモーンは少し気持ちを緩めていた。



「そうだね、会談もうまくいくといいけど・・・」



「大丈夫だろ、あの二人はゴクアーク様とアクラーツ殿に似ている。

意気投合しても破談することはないだろうさ」



「そうかも…でも、あのタイプが増えるのか…」

彼女は少し考えに耽った。



「嫌なのか?」

不思議そうな顔を浮かべるワルモーンに

慌てて両手を振る。


「違うのよ、熱愛美女野獣系が増えると

近くでいる人間は割とその熱に充てられて疲れるの。

特に身内だからね」

彼女の心配事は、ただ年甲斐もなくラブラブな美女と野獣を

至近距離で見せられることだった。



あの姿を至近距離で、しかも自分の両親がイチャイチャしていると

割と困るのだ。



でも、憧れてもいた。

自分もそうなりたいと、自分の子供は困ることになるとも思いつつ。



「そうだな、仲いいものな」



「ホント、嫌になるくらい」



「いいじゃないか、悪いよりは」



「そうなんだけどね…」

と答え、顔を外に向ける。



『私もああなりたいんだけど…こいつ不器用爆走してるもんな』

と、考えた。

自分の思いに気を回せない表情筋ぶち壊れ不器用朴念仁を

恨めしそうに見るのであった。



と、世間話をする二人を横で寝ているふりをする蒼月は、

『いい加減くっついて欲しいぞ、ご主人様。

そして自分たちも同じような熱をまき知散らしていることに気づいて欲しい』

と、思うのであった。



さらにさらに

部屋をのぞき込むワルモーンの旅仲間たちは、

女性陣は興味深々で男性陣は困り果てていた。



気づいていないの当人たちだけ、という事である。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ