142 悪者たちの進撃
翌日、
ワルモーンは配置を指示した。
まず囮役としてワルモーンとシンラーツが領主館に向け進軍する。
それに伴い寄ってくる騎士団を始末しつつ、本部から来ている司祭たちを排除する。
ルトランとセメットは、この孤児院の防衛に回る。
ここには、ヘイト枢機卿の直下でもあるので防衛は必要となるので
二人に行ってもらうことになる。
他の孤児院に関してはトレイン貴下の部隊が対応する。
リーレとレベリットは遊撃部隊として露払い、
防衛のこまごましたことに回ることになる。
指示を出して各員が早々に動く。
今回は早さを求められるため、作戦不備や対応漏れは無視している。
なので孤児院の子供たちも動くことになる。
要は連絡係である。
比較的街の住人が協力的なので
住人にも対応してもらうようにしている。
要はぶっ飛ばした騎士団の捕縛をお願いしていたのだ。
街ぐるみで本部司祭たちと騎士団の排除に動いている。
なので相手にとっては周囲は敵だらけという事になる。
そんな状況でワルモーンたちは進軍を開始する。
時間もあまりないので邪魔者を早々に排除することになった。
ワルモーンたちは、領主館に向け進軍する。
勿論、その怪しい進軍を騎士団もほってはおかない。
戦力として利用できる冒険者の確保という点でも無視できない存在だ。
なので街中での捕り物が発生する。
挑む…というか阻む騎士団、突き進むワルモーンたちの構図だが、
二人を止めるには力不足を否めない騎士団。
まず十人の騎士団がワルモーンたちを取り合込み警告するが、そんなことに応じるはずもなく実力行使となる。
だが、もちろん相手にもならない。
剣を抜いて斬りかかる騎士団員たちだがワルモーンたちは素手で投げ飛ばすことで無力化していく。
無力化された団員たちは、もちろんその場で放置。
放置された団員たちは、街の住人たちに縛り上げられることになる。
集まっては、斬りかかる団員たち。
そのたびに無力化され、街の住人たちに縛り上げられる。
ワルモーンたちが歩いた後には、騎士団員たちが縛り付けられ転がるという変な絵が出来上がる。
まあ、平和的ではある。
死人が出ていない。
街に被害が出ていないという点では。
ワルモーンたちの行く先に立ちふさがる団員たちは、領主館に進むにつれ、
人数が増えるのだが、結果は変わらない。
正面から挑むものたちは、全てワルモーンたちの餌食となり、
奇襲を仕掛けようとした連中と孤児院の子供たちを盾にして捕まえようとした連中は、リーレたちに叩き伏せられる。
トレインの部隊に潰される者もいた。
その軒並みが全員が最後は縛り上げられていた。
ワルモーンたちが領主館に着くころには、騎士団の約七割は捕縛されることになった。
騎士団の残り三割の戦力の内一割がヘイト枢機卿のいる孤児院に向かい、
残りが、迎え撃つために集結していた。
本部の司祭たちは、混乱状態である。
数では圧倒しているのに押されている。
しかも相手はわかるだけで二人。
負けるはずのない状況である。
それがさらなる混乱を招く。
さらにさらにヘイト枢機卿のいる孤児院を制圧に向かわせた騎士団が返り討ちとの連絡まで入る。
相手は若い男女、もう何が起きているのかわからない状況で迎え撃たなければならない。
異世界人を召喚してから天下は自分たちにある。
そう思っていた司祭たちにとって誤算であった。
この大陸の王都をうまく巻き込み、拠点も出来たのにそれ以上が失敗続きだ。
この王国の勇者が行方不明になってから何もかもが上手くいかない。
そして、知らぬ間に追い込まれる始末。
疑念にまみれた彼らは、必死に挽回に努めるのだが、
全て裏目に出る。
で、現在進行形で問題に直面している。
あと一日あれば、聖勇者がくるのだが、それの間に合わないほどの劣勢だ。
ワルモーンたちからすれば知ったことではない。
なので、ワルモーンたちの進撃は止まらない。




