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13 悪者は勇者と遭遇する

勇者御一行が村の入り口でたむろっている。


勇者御一行は、男性勇者、女性戦士、女性魔法使い、男性僧侶とお決まりの組み合わせである。

だが、勇者と戦士は苛立ち、魔法使いは我関せず、僧侶は村人と交渉をしていた。


壮年の僧侶は、まとめ役らしく交渉をうまく運んでいるようだが他の三人は違う。

若者らしくこらえ性が見当たらない。


遠目で見ている悪の組織の二人は呆れ気味で見ていた。

「ねえ、何よあれ。ヤな感じだよ」と露骨に嫌悪艦を全開にするシンラーツに「そうだな」同意するワルモーン。


「申し訳ございません、私は勇者様をお出迎えしなければなりませんので失礼します」

と一礼し、慌てて現場に向かう村長を見送るとバー・ヌーシが話しかけて来た。


「あの方はハトタハト王国認定の勇者である。まだ若いせいか、血気盛んで視野が狭いことで有名です。

彼らのせいで村が三つほど廃村寸前まで追い込まれたと聞きます。ここもそうなって欲しくないので村長には頑張っていただきたいところです」

ゲンナリしていた。


「何で村が壊されるのよ、あいつら村とかを守る勇者なんでしょ」

と憤慨するシンラーツを見て苦笑交じりになるバー・ヌーシは、


「なんでしょね、あなた方と話しているとちょっと混乱します」

二人を見ながら言う。


「なにかオカシイの?」

その視線に疑問符が頭に浮かべ不思議そうにしているシンラーツに


「歳は勇者方と同じくらいなのに【悪】を自称されるあなた方と【勇者】として認められる彼ら。行動がお互いに肩書とまるで正反対です。混乱するなと言うほうが難しいですな」


「そんなにひどいのアイツら」


「ひどいですね、言うことがほぼ言いがかりで相手の言い分など聞きません。

責任や失敗は人の所為で手柄だけかっさらうそうです。ハトタハト王国認定されている為、実力は折り紙付きですが素行不良が否めません。それに権力乱用が目立つそうです」


「それって・・・まずいのと出くわしちゃったかな」


その言葉を不思議そうに聞くバー・ヌーシがたずねる。

「どういうことです?」


「あのね、以前もいったと思うけど・・・ウチの組織ってその勇者様みたいな人に被害を被った人たちの寄り合いみたいなところなの。

だからああいう手合いがすこぶる嫌いなの。だから・・・」

と言いながら横に立つワルモーンを見る。


マスクで顔はわからないが、彼の体からにじみ出る圧力が周囲を黙らせる。


「抑えてくださいね、ワルモーン殿。彼らに逆らえば村に迷惑がかります、お願いしますね」

と念押ししてきたのだ。


「わかっている。今は抑える。だがあの勇者たちの接待が終わったら村人を集めてくれ話したいことがある」

そういうと踵を返してその場を去る。


それを追いかけるようにシンラーツも動く。

その場を去る二人の姿を忌々しく横目で見る勇者がいたのだ。

彼は、自分に向けられる嫌悪の視線に敏感に反応していた。


〇これは悪を気取ったいい人たちが、悪いことしているつもりで周囲に感謝されるコメディーである。

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