117 傲慢なる緑の咆哮
グリーンは、立ち上がり様にワルモーンを確認して棍棒をワルモーン目掛けて
振り上げる。
下から来る棍棒をワルモーンは事も無げに踏み抜く。
踏まれた棍棒は、そのまま地面に叩きつけられグリーンの右手を挟み込む。
そして、踏み折られる棍棒と挟みつぶされるグリーンの右手。
痛みに思わず叫ぶグリーン。
そこにワルモーンが膝蹴りをたたきこむ。
吹き飛ぶはずのグリーンは、地面と棍棒に挟まれた右手のせいで吹き飛ばずに
縫い付けられる。
だが、その勢いは彼の右肩を脱臼させる。
更に痛みに悲鳴を上げるグリーン。
ワルモーンは地面にめり込んだ棍棒を蹴り飛ばし、グリーンののどをつかみ持ち上げる。
痛みと息苦しさに悶えるグリーン。
それを見て
「大層な正義だ。所詮は暴力でしかないことに気づけよグリーン。
まあいい、懺悔の時間だ。お前がしてきたことの報いを受けな」
そういうとグリーンを森近くまで投げ飛ばす。
そして、
「待たせたな、お前たちの本科を遂げな」
と声を上げる。
その声に合わせて森から現れる一団。
悪の組織ギャクゾークの幹部が一人、キリサキハンターとその部下達。
昏倒しながらも何とか座り込むグリーンは、見覚えのある彼らふらつきながらも見る。
「キリサキハンター、来ていたのか。懲りない悪め」
「懲りないさ、貴様らの無自覚な…いや、正義の味方気取りの悪意のせいでどれだけの人が悲しんだ。猟友会の一人だったオレは町の人を守るために熊を殺した。
なのにお前たちは、熊を守る為に言葉の暴力に訴え、地元民をないがしろにした。
そのために人死にも起きた。それすらも自業自得と吠える貴様らに。
ここにいるのは、その被害者たちだ。自分のしてきたこと理解しろとは言わん。
だが、報いは受けてもらう。わかろうが、分かるまいが知らん。
オマエのやったことがお前に帰るだけだ、ただそれだけだ」
そういうと、キリサキハンターとその部下達は、ナイフを片手にグリーンに襲い掛かる。
すでに抵抗できるだけの力のないグリーンは痛みと罵声を上げるだけしかなかった。




