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116 緑の勇者との激突



騎士団と保護団体は、勝ちを意識していた。


相手は、八人。

こちらは、八十名以上。軽く見積もっても十倍の戦力差。

その上、異界の勇者までいる。


負けるはずがない、そう思っていた。


だが、押されていた。

歳若い三名が、蹂躙するはずの自分たちを蹂躙していた。


若い男に二人がかりで剣を振るう。

一人目の剣をよけ、二人目を蹴り倒し、さらにもう一人が殴りかかる。

殴りかかる者に風が纏いかかり空へと吹き飛ばされる。


他の者たちも波状攻撃のように押しつぶしにかかるが、若い男と魔法使いの連携に振り回される。


それどころか、若い女性のトリッキーな動きに翻弄され、混乱し始める。

突然、集団の中に現れたら、周囲にいる者たちに足払いを仕掛け、倒していく。

ただコケさせているだけなのだが、周囲にいる人間にはコケた人間が邪魔になり、

動きが制限される。


そのすきを見逃さず、若い女性は確実に一人ずつ戦闘不能に追い込んでいく。

あるものは意識を刈り取られ、あるものは腕と足を折られ、あるものは投げ飛ばされ、

落ちた先にいる者たちを巻き込む。


相手は少ない戦力差をうまく利用して相手を翻弄する。


そんな中ワルモーンは、人間アスパラガスと対峙していた。


シンラーツは長老たちの護衛に回し、ワルモーンはかつての同僚を見据える。


「シルバー、何をしている。断罪すべき動物虐待者に与するなど、正義を掲げるオレたちがすべき事じゃないぞ」

人間アスパラガスことダンザイグリーンは、見据えながら言う。

彼の身長は二メートルあり、体格にいいワルモーンを見下ろすように見ていた。


「相変わらずだな、グリーン。さっきの言っていただろう。

野生動物に保護なんて必要ない。自然の中ではむしろオレたちがエサなんだよ。

それなのに保護すべきなんて、おこがましいと思わないのか?」


「思わんね、元の世界でも言っただろう。

熊を殺すなどとバカのすることだ。熊がいるところから引っ越せばいい。

彼らの生態系を乱しているのは我々だ。彼らは守るべき存在だ」


「ダメだな、熊を守る?引っ越せばいい?

バカなのか?さぞ自分たちが正義の味方を気取って楽しいだろうよ。

その裏で金をむしり取り、まるでお布施のように奪い取る。

やってることは、いじめやカツアゲだ。どうキレイな言葉を並べ立てても本質は何も変わらない」


「言っても無駄のようだ、折檻して教育し直してやるぞシルバー」

そういうとグリーンは持っていた棍棒を振り上げ、ワルモーンに向け振り下ろす。

叩きつけられた棍棒は、衝撃波を生み、周囲の見方を吹き飛ばし、土煙を上げる。


土煙が収まると、体を半身動かして棍棒を避けるワルモーンがいた。

一番近くで衝撃波を受けたはずの彼は涼しい顔でグリーンを見据える。


「何で、よける。受けろよ、これは教育だ。道を誤ったお前に対するバツだぞ」

声を荒げるグリーン。


「やっていることが、どれほどバカな事かもわからないのか。

異世界に来てもバカはバカか」

そういうとワルモーンは体をコマのように動かし、グリーンに裏拳を叩き込む。


殴られ吹き飛ぶグリーンは、保護団体と騎士団を巻き込む。


仲間をクッションにして、巻き込んだ者たちの事すら気にも留めずグリーンは立ち上がる。


踏み詰めた仲間を蹴り飛ばし、棍棒を構えワルモーンを見据える。


「正義の味方のする事じゃないな」

ワルモーンにあきれが見える。


それに対して

「オレの為に体を張ったんだ。光栄だろう、それで貴様に教育的指導ができれば本望と思えるだろうさ」


「相変わらず、身勝手だな。だから思い上がれるわけだ」

そういうと、グリーンに向かって駆け出すワルモーン。

そのワルモーンを棍棒で右から横凪にするグリーン。


その棍棒を右手の平で受け、軽く飛ぶ。

棍棒の勢いに乗り、右から左に飛ばされる。その勢いを利用して足で相手の延髄にケリを入れる。


棍棒の勢いがプラスされ、前に倒れこむグリーン。

そのまま転がり、近くの仲間をさらに巻き込む。


ワルモーンは、相手の数を減らすために巻き込む様な攻撃をする。


いくらワルモーンの仲間が強くても、数の差は大きい。

いずれ、疲労という新たな敵も出てくる前に数を減らすように戦う。


対してグリーンは周囲を気にも留めていない。


巻き込まれた仲間を気遣いもしない。

自分の為に自分さえよければ主義が出る。


完全なお山の大将だ。


ワルモーンは、転がったグリーンに向かっていく。


それを阻む騎士団員を捕まえては、ぶん投げる。

斬りかかる者の剣をよけ、胸に掌底を叩き込み、吹き飛ばしそれに巻き込まれる団員達。


何人も斬りかかるが、そのたびに掌底を叩き込まれ、他の団員を巻き込むように吹き飛ばす。


吹き飛ばす方向も気にしながら器用に倒していく。

ワルモーンは、仲間に当たらないように敵を殴り飛ばす。


不器用だと言われる割に周囲をきちんと把握し、仲間の位置を確認しながら

仲間がピンチならその近くの敵を吹き飛ばすように殴り飛ばすを繰り返す。


そして、立ち上がるグリーンの所まで歩み進む。




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