113 悪者は久々に悪らしくする
下位精霊との戦いは激化する?
なんてこと盛り上がりはなく確実に討伐された。
悪の手によって。
保護団体の方は恐怖(この場合、精霊に襲われる恐怖とワルモーンに襲われる恐怖)で
心が逃亡中になってしまう。
ワルモーンはそれを見て
「この程度か」
と、吐き捨てるように言う。
「しょうがないんじゃない。この手合いは自分がしていることに酔いしれてんだもん。
現実に自分たちが立つと大概壊れるよ。自分たちに向けられる恐怖を知らないからね、
だからいつも強気で攻めてくるんだよ。馬鹿だよね、いつまでも安全で正義を演じれるわかないのに」
蔑む様な目で壊れたものを見るシンラーツ。
他の三人は水の精霊石を集めていた。
「助かりました、ワルモーン殿。まったくコヤツわ何度も警告したのですがね、保護ではなく並び立つことこそが大事だと」
長老は、壊れた同族見てため息を付いた。
「仕方なかろう、この手合いに言葉なのど通じん。なんせ自分の末路すら理解できんのだからな」
「ワルモーン様どうしますか?この手の手合いをこの集落に置いておくと何をしでかすかわかりませんよ」
リーレがこの後の心配事を指摘してきた。
「そうだな、軒並み回収して現地戦闘員にするか。どうだトレイン?」
と、いうとトレインはその場に現れ
「そうですね、ウチは人手不足ですし…」と言いながら壊れた保護団体の人を見て
「今ならちょうどいいかと思います。それにキリサキハンターたちも配置につきました。お客人も到着したようです」
と、報告も欠かさない。
「そうか、ならば移動するか。ここで暴れるのもなんだ、
せっかく舞台も準備したのだヒーローにも華麗な出番とやらくれてやらんとな」
口角が上がり、邪悪な笑みを浮かべるワルモーン。
「ホントに師匠は悪者になり切れませんね。
悪を豪語する割には行動の九割が人助けですし…」
ルトランがそういうと
「しっ!それはあまり言わないように。
あれでも一応気にしてるんだからね、ウチのの組織の総帥みたいに
ガラスのオッサンハートじゃないけどさ。
ワルモーン君は結構責任感強めなんだよ。気にし始めると止まらなくなるから…」
と、シンラーツは小声で制する。
「でも、その行動も結構容赦ないと思いますけど…」
セメットは、前回の青の勇者との戦いを思い出しながら言うと
「それは、手加減が下手なだけ。
前回みたいに魔族戦の後に青を相手にするなんて
連戦するもんだから気分が乗っちゃって手加減できなくなるの。
それも気にしてるから」
と、小声ながら追い打ちをかけるシンラーツ。
悪の大幹部として決めている脇では、身もふたもないことを言いながら脇を固める者たち。
それに気が付きながらも
「さて、悪の祭典を始めようか」
邪悪な笑みで言葉を紡ぐワルモーン。
「そうですね、さっさと片づけてください。
私の部隊のお目当ては次ですから、ワルモーン様がお楽しみの間に
掃除はしておきます」
トレインはマイペースを決め込む。
そして、一礼すると森に消えていく。
「師匠、掃除って何です?なにかありました?」
ルトランは今一つ状況が理解できていないようだ。
「ん?掃除とは保護団体の奴らを全て捕まえてウチの組織に連れて行くだけだ。
何?ちょっと教育してやるだけだ」
悪者らしく言うと
その言葉にリーレは、自身を抱きしめ震える。
「大丈夫だよ、リーレ。君がやるわけじゃないから」
シンラーツが宥める。
「ですが、あの鍛錬法は心を砕きます。その上追い打ちして人格破壊までしてきます」
「何を言っているその程度で。本来ならすりつぶすのが精神鍛錬法だ。そこから強固な精神を組み上げるんだ。だからこそ中途半端にはしない徹底的に行うのだ」
悪者らしく言うワルモーン。
「良いんじゃない。あの子たちはやりすぎたんだから問答無用で。
リーレは今、実地研修なんだから気にしなくてもいいわよ。
それに非道鬼畜は、悪の組織では当たり前でしょ」
と、軽く言うシンラーツに
「やっぱり、先生もずれてますよね」
セメットは、ぼそりとつぶやいた。




