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111 悪者は精霊と会う


ワルモーンたちは長老の案内で水の精霊がたむろする泉に向かうことになった。


泉は、ヒョウタンの様な形をしている。

大きい方の泉には、集落の生活用水と利用しており、そこに下位精霊が多くエンカウントしている。


小さい泉は、精霊との交信や祭事に使われるので集落の人間はほとんど近寄らない。


長老が案内したのは、小さいほうである。

そこでワルモーンたちに会ってほしい相手がいるそうなのだ。


泉の周辺は澄んだ空気に見ている割に温かく感じた。

そして、長老は泉の方に体を向け

「精霊様、案内してまいりました」

と、いうと何もない泉の中央から水が竜巻のように立ち上り、

それが人の形を取り始める。


そして、女性の姿になるとそれは話始める。

「来たわね、放浪者たち。待っていたわ、私はウンディーネ。水の上位精霊よ、精霊たちのまとめ役みたいなものだけどね」


その姿を見たルトラン、セメット、リーレは驚きを隠せない。

シンラーツはその姿を見て、キレイと感動しワルモーンは無反応だった。


「なるほど、貴様が呼びつけていたから長老との話が割と簡単に済んだわけか」

と、分析までしだす。


「えっ?それだけなの?もっと他にないのキミ以外は割といい反応なんだけど…」

と、たじろぐウンディーネに対し、


「何をしている?貴様は今の現状の説明のためにオレたちを呼びつけたんだろ。

早くしてくれ、集落にきな臭い感じがする。早々に準備せんと集落と村をオレが消し飛ばすことになる」

淡々とこれから自分が起こすであろう被害を言い始める始末。


その言葉に「…自覚はあるんだ」

と、シンラーツは薄ら笑いを浮かべ、他は苦笑いを浮かべる。


「なんか、思ったより自身を現実的に見てるわね。まあいいわ、そのつもりだし…」

釈然としない感じのままウンディーネは説明を始める。


下位精霊は、本来あそこまで狂暴化しないそうだ。

何匹かに一匹は、狂暴化するがこれほどまでの数は今までなかったそうだ。


理由は、教会本部が行った異世界人召喚魔法の影響と地脈の乱れだそうだ。

それの影響で狂暴化が激しく起こった。

その為、彼女は、狂暴化した下位精霊の討伐を長老に命じたのだ。

狂暴化した下位精霊は、霊力や魔力を過剰に取り込んでしまい暴走しているので理性を取り戻すことは不可能なのだという。


つまり、討伐するしかないそうだ。

狂暴化した下位精霊は他の下位精霊も襲うのでもう害悪でしかないそうだ。


で、彼女はワルモーンたち異世界からの放浪者に頼ることにしたらしい。

彼女は、それと集落の精霊守護者気取りのバカ者どもにお灸をすえてほしいそうだ。


彼らは、自分の立場に酔いしれて他を見下し始めた。

それどころか精霊を守るなんて言いながら、実際の所、精霊を道具にしか見ていないところも不満だそうだ。


さらに地脈の乱れも調査してほしいそうだ。

乱れの原因を探し、できれば何とかしてほしいそうだ。


「それだけでいいのか?では貴様が下位精霊を倒してもいいと許可を出すんだな」

ワルモーンは動じない。


「そ、そうよ。特にアンタはそれが容易にできるでしょう。その対価として精霊石は自由にしていいし、他の精霊が集う場所も教えるわ」


「わかった。それからこの辺りで派手に暴れてもいい場所はないか。そうだな山にか囲まれた盆地なんかが理想なんだが…」

ワルモーンが言うと


「それならばいいところがございます。後で案内いたします」

と、長老が手を上げる。


「そうか、そこで暴れても集落や森に被害が出にくい場所なら助かる」


「ええ、そういう場所です。ただあまり派手に暴れられると困りますが…」

長老が釘を刺した。


暴れすぎないようにと。


「それは、相手次第だな。精霊保護団体の出方でこちらも対処が変わる」


「そうね、そうなるかしら。でもたしかあの子たち教会になんか連絡付けていたから厄介ごとになりそうだわ」

ウンディーネは顎に手を置き思案する。


「ええっ教会に。また勇者が来るのかな、ワルモーン君」

と、露骨に嫌な顔をするシンラーツに


「それはそれで好都合だ。あとは誰が来るかさえわかれば連絡しやすい」

と、通常運転のワルモーン。


「それならば、緑のようですワルモーン様」

と、森の中から歩みでるトレインが報告してきた。


「そうか緑か…。まあ厄介な奴しか残ってないからな」

ワルモーンは驚きもせず返事をした。


「我々としてピンクに出てきてもらいたいんですがね。あのくそアマ、どうやらこの大陸の教会統括支部にいるようで始末に悪い」

と、毒づくトレイン。


「その言い方だと猛威を振るってるんだ」

シンラーツは困った顔で言うと


「そうなんだよ、本当は我々だけで始末に行きたいんだけど…そうすると問題が多いからね。できればワルモーン様に来てもらいたい。向こうでも抵抗している人もいるんだけど立場が危うい、ねじ込まれたらどうしようもないだろう」


「へえ、そんな人たちもいるんだ」

正義の勇者に抵抗する人がいることに感心するシンラーツ。


「と・に・か・く!まずわ、ここでの問題をかたずけてね君たち。問題を片づけるのは得意でしょ」

ウンディーネは、腰に手をやりふんぞり返る。


「得意というわけではない、単に巻き込まれ安いだけだ」

ワルモーンのこの言葉に


「違うでしょワルモーン君。君が問題に飛び込んで行くんでしょ、おせっかいなくせに」

二ヒヒと笑みを浮かべながらシンラーツが言うと


「心外だ」

ワルモーンはそう答えた。



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