表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/168

100 悪者たちが、嵐の山の現れた



悪者たちは、嵐の山の麓に現れた。

彼らは山を見上げている。


山は、雷鳴轟き、暴風が舞い上がる魔境と化していた。

それも麓からすでに強い風と稲妻が発生している。


頂上付近では想像したくない状況になっているのが想像できるくらいである。

それを見たセメットは、山を指さし

「これ上るんですか?ここって人が立ち入っちゃいけないところでは?」

顔を引きつらせなら、やめましょうオーラ全開でワルモーンとシンラーツを見てきた。

それに気が付いたシンラーツは、

「だ、大丈夫だよ。た、確かに目的地は頂上だけどキミたちの目的は精霊石だから。

それを手に入れて、さらに戦闘経験を手に入れる事だから」

と、コレマタ顔を引きつらせて、若干慌て気味で答えた。


「その通りだ。頂上に用があるのはオレだけだ。

お前たちはこれから先に進むための力を手に入れる為に行くんだ。

今のお前たちなら力に飲まれたり、振り回されたりはせんだろう。

力は所詮、力でしかない。道具として使うモノだ、必要な時に使うモノだ。

今からそれを取りに行くだけだ。ビビる必要ない」

ワルモーンは、淡々と語る。

通常運転である。


「実は私も一度挑んだことが、有ります。

勇者とともにですが…」

リーレは、申し訳なさそうな顔で山を見上げながら言う。


「その時はどうだったんですか?勇者様が居たんですから問題はなかったんでしょう?」

セメットの顔色はまだ青い。

それでも気にしないように気持ちを奮い立たせながらたずねた。


「いえ、もう入口で惨敗です。実体化した下位精霊にも太刀打ちできませんでした。勇者も同じです。もう自分の無力さを痛感しましたよ。

それでも傲慢のままでしたけど」

力なく笑うその顔には、恥ずかしさがにじむ。


「でも、今は違うだろう。

己の嫌な部分や弱い部分は認めるのが大変だ。

だが、それを認めてからの人間は強い。

間違いを認め、弱さを認め、嫌な自分を認め、それができてこそ先を目指せる。

それができてこそ踏み出せる。できない人間は過ちを重ね、力に飲まれるだけだからな」

ワルモーンは、静かに語る。


「そうだね、嫌いな自分と向き合ってきたから心も鍛えられるもんね。

アクラーツ式精神鍛錬術でも最初に心を折られるもんね…いや、すりつぶされるかな?」

遠くをみながら、乾いた笑いを浮かべるシンラーツ。


その姿を見た

ルトラン、セメット、リーレは、思う。


この人でもビビる鍛錬術。

絶対、経験したくねぇ(ない)



「何を言っている、シンラーツ。

悪の組織の者として、ゴクアーク式肉体鍛錬術とアクラーツ式精神鍛錬術は基礎だ。できて当たり前だろう」


「いや違うから!

アレをまともにできるのは異常だから!

あんなのまともにできるの大幹部だけだから!

普通の人は、鍛錬術の初級を50倍くらい薄めて初めてできるんだから!

アレは、異常なのが普通なんだから!」

と、シンラーツは必死に訴えてきた。


もう周囲がドン引きするくらい。


その言葉に

「そうですよね、アレおかしいですよね!

何で組織の方々は、出来るんですか?

化け物の巣窟かと思いましたよ!」

リーレが全力で同意した。


その姿を見たルトランとセメットは

『『何があった!』』

と、何か恐ろしいものを感じた。


組織の人間でさえも恐れるソレって、いったい?


「そうなのよ!わかってくれる!

なんせ脳筋とドSが考えた鍛錬法だよ!

精神異常者が常識を経験せずに作ったもんだから

異常が基準となったんだよ!誰かに相談しろよって話だよ!」


「そうですよね!私も鍛錬法をやった時、何度意識を持っていかれて精神をゴリゴリすりつぶされたか!異常ですよね。アレが正しいなんて言う人は変態なのか!って思いましたよ」


と、同意できた被害者の会が出来ていた。


「いろんな意味で悪の組織何だね」

と、セメットは呆れ果て


「だが、その非常識が強さに還元されるなら変態でも異常者でもいい。

オレは、弱いんんだ!強くなる為なら変態だろうが、変質者だろうがなるんだ」

と、強い決意を見せるルトラン。




…ソシテ、



その横で精神的に大ダメージを受けているワルモーンが、茫然と遠くを見ていた。


非常識、異常者、変態、と立て続けに自身の常識?を叩き壊されたワルモーン。

そのワルモーンの足の甲に優しくそっと前足を置く蒼月。

置いた前足をポンポンと優しくたたく。


まるで気にするなよ、とでも言いたげに。


放心状態の彼の明日はどっちだ?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ