1 偽りの仮面
さて、始まります。世にあふれた歪んだ正義に立ち向かう悪のお話です。
断罪戦隊ジャッジメントの6人は、悪の組織ギャクゾークの本部近くで幹部と交戦状態に入った。
6人の前に立ちふさがるは、エンザーイ・ツインズのネットとトレイン、そしてミツーグ・レディ、キリサキ・ハンターの四人。
そしてその部下たる戦闘員たちだ。
その立ちふさがる悪の組織に対して断罪戦隊ジャッジメント達は、
「貴様らの悪事もここまでだ、ギャクゾーク。ここでお前たちの罪を償わせる、行くぞみんな!!」
ジャッジレッドこと陣まっすぐが、力づよく吠える。
他の5人もそれに合わせて「おう!」と答え、正義の信念に燃える瞳を目の前の敵に向ける。
そして、左腕につけられた手甲を構え、
「変身っ!!」と声高らかに叫ぶ。
6人がそれぞれのカラーに輝き、ヒーロースーツをまとう。
男性がレッド、ブルー、グリーン、シルバーに女性がイエロー、ピンクに。
そして、変身後。
「断罪戦隊ジャッジメント」と声をそろえ、ポーズをとる。
「ふん、貴様らごときが、我に勝てるつもりなのか。片腹痛いわ!」
エンザーイ・ツインズのトレインが、断罪戦隊ジャッジメントに指をさし、煽る。
「悪の栄えることはない。ここで正義の審判を受けるがいい!!」
とノリノリでジャッジレッドが吠える。
「君たちの心を蒼穹のように浄化してあげよう」
ジャッジブルーがニヒルに言う。
「アナタたちの暗い心を温かく照らしてあげる」
ジャッジイエローが色気のある仕草で言う。
「自然癒しを君たちに与えよう」
ジャッジグリーンが、真面目な言い方で言う。
「愛は、いつも救いの手を差し伸べているよ」
ジャッジピンクが、かわいらしいポーズを決めて言う。
そして、ジャッジシルバーは、無言で構える。
「行くぞ、みんな!!」
信念に燃える熱い声を上げ,ジャッジレッドが号令をかける。
「「「「おう!!」」」」
それに答え、4人が返事をして立ちふさがる悪の組織に向け走り出す。
手には、ジャッジガンナーと呼ばれる銃型のガジェットをかまえる。
そして、銃声が複数響く。
吹き飛ばされる断罪戦隊ジャッジメント達。
撃たれたのは、後ろからで5人は前のめりに倒れる。
「くそ、後ろに回り込まれたか」
と言いながら、振り向くジャッジレッド。
そこには、悪の組織の人間はおらず、煙が上がるジャッジガンナーをかまえるジャッジシルバーがいた。
他のメンバーも振り向くが、後ろには敵はいない。
状況を素早く飲み込んだジャッジレッドが叫ぶ。
「何をしているシルバー。撃つべき相手が違うぞ」
「どうしたんだい、珍しいミスじゃないか」
「緊張したのか」
「もう、失敗しちゃったの?」
「慌ててしまいましたか?」
と寛容な言葉を言うメンバー。
そのメンバーにジャッジシルバーの凶弾が突き刺さる。
今度は、無防備な正面からの攻撃を受け、後ろに吹き飛ぶ。
「なぜだ、シルバー。なぜ僕たちを撃つ」
ジャッジレッドの驚嘆の言葉に
「フハハハハハ!!もうヒーローごっこはここまでだ」
今まで沈黙していたジャッジシルバーが口を開く。
「な、何を言っているシルバー。ま、まさか洗脳されたのか!!」
と見当違いの回答を口にするジャッジブルー。
「バカなのか、何でそれ以外の答えにたどり着かない!もっとカンタンな答えに」
「どういう意味だ」
ジャッジグリーンが静かな口調でたずねる。
「答えをもらわないとわからないのか?もともとオレはお前たちの敵なんだよ」
そういうと、更に引き金を引く。
放たれた弾丸が容赦なくヒーローたちに降り注ぐ。
ヒーロースーツは、致命傷を防ぐのだが、攻撃されたダメージまでは防げない。
その為、撃たれた衝撃は体に突き刺さる。
だが、あまりの衝撃にヒーロースーツは変身状態を維持できずに変身は解除された。
変身システムの許容衝撃を超えたための安全対策なのだ。
もちろんしばらくすれば変身は可能となる。
「そんな、嘘だと言ってよ。今なら冗談で許してあげる」
ジャッジイエローこの期に及んでまだ理解できていない。
「バカなのか、それとも都合の良いことしか聞けないのか、貴様らは。ならわかるように見せてやろう、大罪武装」
そうジャッジシルバーが叫ぶとヒーロースーツが吹き飛びその中から黒く禍々しい鎧を身に着けた騎士が現れる。
そして、手甲が地面に落ち砕け散り、シルバーのヒーロースーツが紙吹雪のように降り注いだ。
「どうしてだ、シルバー!!!」
ジャッジレッドの嘆きのような咆哮を上げる。
「オレは、シルバーではない。ギャクゾークの3大幹部の一人、ワルモーンだ!
貴様らの一方的な正義を振りかざす愚か者どもを駆逐する【悪】なんだよ!」
と声を上げ高らかに叫ぶ。
「何を言っているシルバー。悪なんて断罪されて当たり前の存在だ。
彼らは悪いことをしたんだ、何をされても仕方ない存在なんだぞ」
ジャッジレッドが声を荒げる。
〇そうこれは、悪の組織の人間が正義を気取る人間に事の意味を理解させる物語である。・・・・・たぶん。