西亜口さんVS教室に押しかける幼なじみ
☆ ☆ ☆
帰りのホームルームが終わる。
あとは帰るだけだが――。
「たまには一緒に帰ろうよー!」
なんと里桜が教室にまで入ってきて俺に声をかけてきた!?
「えっ、ちょ、部活は? というか、なんで、そんな教室まで」
「たまには休む! あたしフリーな立場だからさ! アイアムフリーダム!」
当然、俺たちは教室で注目の的になる。
これまで里桜は俺と一緒に帰るということはなかった。
そもそも俺たちが幼なじみだということを知ってる人間はいないはずだ(少なくとも俺は誰にも言ってない。里桜はわからないが)。
「……っ!?」
顔面の左側に視線と寒気を感じてそちらを見ると、西亜口さんから冷たい視線が向けられていた。こ、怖い……! 暗殺される!?
「ほら、行こっ! たまには幼なじみにも時間割いてよー!」
「ちょ、待っ、うぁあっ……!」
里桜は俺を無理やり立たせると、そのまま廊下へ引きずっていった。
一方で、西亜口も立ち上がり鞄を手にして廊下へ向かっていく。
いったい、これはどういう状況だ!?
「ちょ、わ、わかったから、自分で歩くから」
ようやく引きずられている状態から普通に歩ける状態に戻ったが。
今度は西亜口さんがツカツカと早足で迫ってくる。
「……これはどういうつもりかしら?」
西亜口さんが里桜に訊ねる。
「たまには幼なじみとして親交を深めようと!」
「……わたしの下僕を勝手に使われては困るわ」
そのまま西亜口さんと里桜は視線をぶつけあい、静かに火花を散らす。
というかクラスの連中も廊下に顔を出してなにごとかと覗きこんでいる。
これは、まずい。
「と、ともかく帰ろう、三人で。……みんな見てるし……」
まさか里桜がこんな積極的な行動に出るとは思わなかったし西亜口さんがクラスメイトから注目されるのも構わず俺を追いかけてくるとは思わなかった。
俺の言葉で冷静さを取り戻したのか、三人は俺に従って廊下を早足で歩き始めた。




