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12 初めての仕事と大泉地区

今日で1話掲載から1か月ですね。

 指定された待ち合わせ場所の校門前に急ぐと、すでに海色さんがそこに立っていました。


「すみません…待たせてしまいましたか…?」

「ううん、私も来てすぐだから」


 私はその返答にほっとしながら、同時にどこか聞いたことのあるようなやり取りに少し笑ってしまいました。

 海色さんはそんな私を見て不思議そうにしながら、肩に下げていたカバンから一枚の紙を取り出します。


「じゃー、ちょっとこれ見てね」

「はい」


 取り出された紙は、この町全域の地図でした。ところどころ赤色のペンで書き込みがされています。


「えっと、これ全域の地図で…今私たちがいる学校がこのあたり…」

「…ふ、ふむふむ?」


 海色さんが指したのは、地図の下の方…。


「学校がほぼ南部…この前言った治安のいい方の中心で、北部はそうだなぁ…」


 うーんと海色さんは地図をじっと見つめて考え込みます。

 …下の方が南部ということは、上の方は北部。境目は大体、私の――


「舞香の家あたりかな」

「そうですね…。私の家って案外危ないところにあるんですか」

「いや…一人で住まわせるのにそんな危ないところにはしないと思うよ」


 海色さんはそう言って笑います。


「まだ舞香の家のあたりは平和だよ。この…道が集まってる所あたりがちょっとやばいかな?って感じでね」

「そうですか、よかったです…。それで、今日行く場所はどのあたりなんでしょう」

「それはね~」


 次に海色さんが指した場所は…


「…端っこ…?」

「うん。今日行くのはこの町の北端…正式な名前だと大泉区だよ」


 指さした地図のあたりは、道も少なく緑色…山でしょうか…が多い感じで…。


「えっと、ここには何があるんでしょうか」

「うーん、そうだなぁ…。ひとまず出発しよっか。歩きながら説明するよ」

「そうですね」


 さすがにずっとここに立ちっぱなしというのも目立つ気がしますね。人通りは全くと言っていいほどありませんが…。

 それに、まだ4月ですが今日は晴天。直射日光を浴び続けるとさすがに暑いです。


「それで、大泉地区なんだけど…ほとんど何もないんだよね」

「な、なにもないんですか」

「うん。ところどころ小さな倉庫…それこそ変な奴らがたむろっている場所くらいで、あとは…お寺?」

「お寺、ですか」


 海色さんは「そうそう」と、少し楽しそうな表情をして話し始めました。


「名前は私も知らないんだけどね。確か、古式の人が根城っぽく使ってた気がする」

「古式…お札を使う人たちですよね」

「だね。この町に宗教集団がいない関係で、代わりにお寺を管理しているみたいで、お役所側も見逃してるみたい」

「なるほどです。…この町って宗教禁止なんですか?」

「あー、いや」


 今度は、ちょうど右辺りの山の方を指します。


「神社も普通にあるし…多分、町の外の組織とかかわるのがダメなんだと思うよ」

「そ、そうですか…」


 なんというか、とても厳しい感じというか…。


 そうして黙り込んでしまった私を見て、海色さんは苦笑しながら少し説明してくれました。


「私も、なんでそんなに厳しく外と分けるの?ってお父さんに聞いたことがあってね…」

「あ、既に」

「うん。それでお父さんが言ったのは…」


『少し窮屈に感じてしまうかもしれないけれど…この町の制限などの類は、すべてこの街の住人、能力者(アクセサー)を守るためにあるんだよ』


「…住人(・・)を守るため、ですか?」

「…そう」


 私たちを守るため…外の人間を危ない能力から守るため、とかではなく…。


「まあ、確かにそこらに変な力を使う人がいたら、危ない組織に拉致されて解剖とか…されそうですね」

「へ…?」


 私の言葉に、海色さんはきょとんとして…


「…舞香って、結構危ないこと考えるんだね」

「あ、危ないことですか!?」

「うん…。だって、普通拉致とか解剖とかいう発想ないでしょ…?」

「いやそれは、その…!」


 小説とか、アニメとかであるじゃないですか! 結構メジャーな設定だと思うんですけど…。


 少し慌てて説明しようとする私に、海色さんは何ともおかしそうに笑ってから、「冗談だよ」と言ってごまかしました。


「むう…素で思いついたわけじゃないんですよ?」

「う、うんっ…わかってるってば」

「本当に…ただそういうアニメを先生に見せられただけですから…」


 私の弁明に、海色さんは今度は不思議そうな表情を浮かべます。


「アニメ、って何?」

「へ…? アニメですか…うーん…」


 私も、先生に「これいいよ!!!」って言われてみただけなので、詳しいことは知らないんですよね…。


「…なんというか、動く絵?」

「絵なの?」

「はい…。それに、声や音楽がついていて、基本は物語、ですかね?」

「なるほど…映画みたいなもの?」

「…そうですね。映画の風景や人を全部絵を動かして作ったもの、みたいな」

「ほええ~」


 私の説明に、海色さんは感心したような声を上げ…


「なんとも、面倒なことをするもんだねぇ」


しかし、何とも身もふたもない感想を漏らしました。




 それから、海色さんの家、私の住んでいる家の前を通り過ぎ、ずっと歩くと先ほど海色さんが言っていた道の集まっている場所につきました。


「確かに集まっている感じですね?」

「うん。ここからは、ちょっと周り警戒してね。突然襲われるなんてことはないだろうけれど…私はちょっと面倒くさい人扱いされているから、道に変な仕掛けがされてるとかはあり得るから…」

「わ、わかりました」


 そういわれて周りをぐるっと見渡すと、少し奥の山際に古びた建物が見えます。


「海色さん、あれがあの…お寺ですか?」

「そうそう。…今日は門しまってるね…。何かやってるのかね、気になる…」

「海色さんは、古式の方たちとお知り合いなんですか?」

「うーん、まぁそうだよ。古式の人たちというよりは、古式をまとめてる立場の人と少しかかわったことがあってね。暇なときたまにここにきて術札について色々と」

「な、なるほど…」


 海色さんは少し表情を硬くして「けど…」と続けます。


「ほかの人たちは、よくは思ってないんじゃないかなぁ…」

「……そ、そういえば、神社があるじゃないですか」

「へ? あぁ、うん。初めて会ったとこね」

「はい。あそこは誰かが管理していたりするんですか? あの時行ったきりですが、ブランコもあったような気がしますし、公園だったりするんですか?」

「神社は一応私…名義的にはお父さんが管理してるよ」

「あれ、そうなんですか?」

「うん。…いやぁ、境内のあのでっかい陣には私も驚いたよ。結局何かわからなかったけどね…」

「結局何だったんですかね…誰がやったのかもわからないんですか?」


 そう聞くと、海色さんはため息をつきました。


「残念ながら、近所の目撃情報とかもなく、足跡もなく…。陣の癖も少なかったから、多分複数人で描いたんだろうけど…足跡がないってもの、なんかなぁ」

「普通の土でしたし、つかないのは不思議ですね…」

「そうだね…。足跡つかないようにする術札って、めっちゃ作るの面倒くさいんだけど…ほかにも作れる人いたのかなぁ…っと」


 気が付くと、細い道に入り…


「…舗装されてないんですね」

「まぁ、ここら辺は昔のままじゃないかなぁ。…変な倉庫は除いて、だけどね」

「昔…ですか?」

「あー…目的地もうすぐだし、町についてはまた後で」

「わかりました。…この先、ほとんど山にしか見えないんですけど…」

「だよね…でも、あるんだよね、ここにも倉庫っぽいもの…」


 奥に進むと、どんどん壁に近づいていきます。一応壁は川にあるので、たどり着くことはありませんが、この先は壁の折り返し地点らしく、かなりの迫力です。

 そしてすぐ先には河原がありますが…。


「道、途切れてますね…この先なんですか…?」

「…うん」


 春ですし、虫も多いんでしょうね…。

 少し、帰りたくなってきました。

町の描写、あいまいですいません。後々付け足すと思います。

地理に関してですが、実際にあるとある地区をモデルにしています。そのうち地図も載せますね。


挿絵製作中です。お楽しみに?


誤字等ありましたら報告お願いします。

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