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鋼の光   作者: イカ大王
第二章 フェアファックスの砲火
15/57

特別認定個体“アスラ”[仮称]出現に関する考察報告書(火危生研発行No.117)

 

 ➖MARS BUREAU OFRECLA MATION➖



〔対火危生生態報告書–第 1 1 7 号–A.D.2078.5.12〕


地球連合政府人類地球外移民計画推進委員会。

火星開拓局司令部隷下火星危険生命体研究所発行極秘思案資料。


[クラスA5以下の人間が当資料を閲覧することを禁止す]



 ────────────────────────



  火星危険生命体(以下火危生と呼称)の活動が活発化している事実は、ここ半年間の各部署からの報告書にて確認されている。

  いくつかの例を挙げよう。まず一つ目。

 フェアファックス旅団所属多脚砲兵第11空挺大隊の報告書によると、半年前にあたるソル1480から1510において、旅団管轄内(居留地近郊)にて出現した火危生の数は大小種合わせて21体であったが、先月の出現数は大型種のみでも36体に及び、小型種を加えれば50を優に越している。

  このことからわかることは、一ヶ月に出現する火危生の数がおよそ2、3倍に増加しているということだ。

  二つ目。

  衛星戦艦弾道観測隊の報告書は、いくつかの対地表観測衛星のカメラが20から30…多い時には50体以上の群れをなして移動する火危生の存在を捉えていた、ということを伝えている。

  この事例も先の居留地出現体数と同様に、ここ半年間で回数が漸増していることがグラフから判明している。


 [グラフ添付へのアクセスコード:2289XXXAAA]


  以上に提示した事例は全体のほんの一握りである。 以上の事例以外にも、同じような趣旨の報告は後を絶たない。


  これらの情報は、『火危生は群を作らない』『火危生は居留地にさほど出現しない』という従来の常識を覆すに足りうものである。

  従来の火危生は群れを作らなかった。そこまで居留地に出現することもなかった。

  だが、彼らに何かしらの変化が訪れている。


  我々火危生研究所はその要因の仮説として、『「火危生を統制する存在」の存在』を提唱したい。


  『火危生を統制する存在』の有無については、以下の理由からその存在が考えられる。

  一つ。火星全土に微弱に広がっている電磁波──火星超高周波電磁波(以下M波と呼称す)は、『火星開拓最初期から確認されていた謎の電磁波』として関係者の間で認識されているが、このM波はおよそ一年前から増加傾向にあり、それは火危生の異常行動の増加と比例する。

  二つ。火危生の体表は、分析の結果、アーレス・メタルに類似した特殊な物質にて覆われており、照射された電磁波を知覚の一つとして認識できることが判明している。

(この結果は、同時に、火星全土にかけて莫大な鉱床を持ち、数多くの火星兵器に使用されている万能金属──アーレス・メタルの起源の謎に迫る内容とも言えるが、それについては別途記載の『アーレスメタルの起源思案書』を参照されたし)


[図解表示へのアクセスコード:2290XXBBB]


  以上の判明事案から、M波は火危生の動きを統制する、または活発化させる効果のある電磁波と考えることができる。

  だが、当然、『なにがM波を発生させているのか?』という疑問が生じるだろう。

  その『M波発生源』が『火危生を統制する存在』である、というのが、我々火危生研究機構の最終見解である。


 ────────────


  その『M波発生源』『火危生を統制する存在』が、一体どのようなものかは、我々も判別としない。

  だが研究所内での意見としては、既知の火危生とは一線を画する究極の火星危険生命体である、という意見が大勢を占めている。

  火危生は謎に包まれている正体不明の存在であり、なぜ火星で生息できているのか?生態系はどのようになっているのか?どのような進化を遂げたのか?いつから火星にいるのか?等々…。謎の部分を上げればきりがない。そのような存在が、火星危険生命体である。

  未知の個体…我々人類には計り知れない能力を持った個体…火危生を全て統率する女王アリのような個体…。いずれも存在を否定しきれるものではない。

  彼らは地球生命の尺度で測ってはならない存在だろう。ただ単に、火星開拓を妨げる凶暴生物として片付けては、相当の無理がある。


  火星生命の尺度で勘案した場合、究極の火危生が存在する可能性は十二分にあるのだ。


  しかりて、我々はそれに備えなけれならない。どこかで手ぐすね引いて時期を待っている『火危生を統制する存在』が活動を開始する『天災』まで、準備を整えなければならない。

  我々はその存在の呼称を"アスラ"と決定した。



  これは火危生研究機構および所属スーパーコンピュータ:KA-24改が出した確かな結論である。火星開拓局はこの報告書を元に、特別認定個体“アスラ”に対し。適切な対策を講じることを期待する。


 ─────────────


 〔No.1 1 7〕










 AD2079.2.18追記

 ※現在、軍事運用部・開拓部にて計画中の“対『M波発生源』決戦兵器”の企画概要事案書は別途記載する予定。

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