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今日は食べられる獲物が見つかります様に。ユキトは本気で祈っていた。
だかしかし、続ゴブリンの日。3匹のゴブリンを発見、魔法で舜殺すると、アズが発光して大型犬くらいに成長しレベル10に。なのにシロと同じくらいの大きさ。成長は嬉しいけど、たくましくなり過ぎなので、少し寂しい。
その後、ゴフリン4匹を見つけ、シロ、フウ、アズに1匹ずつまかせて、
ユキトは、ウインドブレードで首を飛ばす。
アズを見ると、クマパンチ一発でゴフリンを転がしていた。念の為ユキトはマジックブレットで留目を刺し、シロとフウが遊んでいる2匹も仕留める。
今日の狩りでシロはレベル33フウはレベル28アズはレベル15になった。
街に戻りつつ、今日は赤字だと、がっかりするユキト。悔しいからギルドのおねいさんに泣きつこうと思ったが、列が長いので不貞腐れながら、おっさんに魔石を売却。
花色亭にて、ティアに収入の物足りなさを愚痴りながら食事と酒を楽しんだ。
残金215000F
次の日、疲れが溜まってきているので、狩りには行かず、のんびり過ごす事にした。
ティアと、取り留めのない話をしたり、ゴロゴロしているだけだった。
残金205000F
更に次の日、今日も森まで来た。
「最近稼ぎが悪いから、奥まで行こうと思うのだが。ゲートを使用してもよかと?」
ゲートは、転移の門を開ける魔法だ。自分が行った所なら門を使用し、瞬時に移動出来る優れた魔法である。
ただ、消費MPが重いのがネック。かなりのMPを消費してしまうが、頼れる召喚獣が居る今、問題なく使用することが出来る。
ティアに断り、先ずはカモフラージュの魔法で自分達を隠し、ゲートで森の奥まで移動した。
そして、シロ、フウ、アズを呼び出し、更に奥に向かいつつ狩りを始める。
少し奥に来た為か、インテンスボーアが、のっしのっしと歩いていた。先制のチャンスなので、氷の投げ槍アイススピアを頭にぶちこんだ。かなり効いたみたいでまだその場で頭を振っている。
「ライトニング2倍」
いつもの2倍のMPを注ぎ込んだ稲妻が、インテンスボーアを通過し、その大きな体が倒れた。
「オーバーキルだったか?」
インテンスボーアの体毛の表面からバチバチと静電気の様な感じの音が聞こえる。
ティアは、そんな事はないよ。インテンスボーアはしぶといからねー、と言っていた。
獲物を仕舞いながら、インテンスボーアが群れで襲いかかってきたら?想像しただけで恐くなってきた。
イメージ。検索。
「サーチ」
この辺りには大きな群れはなさそうだ。少し安心だ。
そして、シロは34フウ30アズ19とレベルアップ。
しばらく歩いていると、フウが何かを見つけたらしい。そちらに向かうと、木の上に鳥の巣があり、白いもこもこが居た。
「ティア、あれは何だ?」
そうユキトが尋ねる。もふりたいと思っている感じだ。
「あれはクレストチキンだね。少し飛べる鶏だと思ってくれれば良いよー」
なるほど、言われてみれば鶏冠みたいなのがある。 とりあえず、フウに行ってもらう事にした。
フウが巣を襲いかかる。クレストチキンがギャーギャー騒ぎ出したので、こちらに戻る様指示。一羽釣れたのでフウとアズに頑張ってもらう。シロは巣の下に移動。
ユキトは、フライの魔法を使い巣まで飛ぶ。杖を取り出し、もう一羽を突き落とす。すかさずシロがクレストチキンを確保。ふと、巣の中を見ると、卵が5個あったので、ありがたくいただいた。そうしている内に、2羽のクレストチキンは仕留められていた。
アズが20にレベルアップし発光。シロよりも大きくなった。2段成長したから、ウルフに集られても平気だろう。しかし、シロとフウのレベルアップは無し。
しばらくすると、ゴブリン7匹を見つけたので、召喚獣たちは自由に狩らせ、ユキトは杖を取り出すと、ストレス解消とばかりに、ゴブリンを突き払い、魔法を使って仕留めていく。
召喚獣達も大暴れし、すぐに狩りは終わった。
シロは35、フウは31、アズは22にレベルアップ。
時間は少し早いが、帰る事にし、カモフラージュとゲートを使い、街の近くへ出て召喚獣を帰還。
街に入り、ギルドの解体カウンターへ直行。
おっちゃんではなく、兄ちゃんだったが、インテンスボーアが32000F、クレストチキンが13000F、ゴブリンの魔石7000Fになった。
クレストチキンのもう1羽は解体だけしてもらって、肉を貰う事にした。解体費用は、羽を売る事で相殺出来る様だ。明日の朝に来れば、解体が終わっているそうなので、忘れずに取りに行く。鳥だけに。と、ティアに言ったらスゴい微妙な顔をしていた。
卵は売らずにとっておく。
花色亭に行き、いつもの部屋をとり、食事と酒を楽しんでいるとティアに聴かれた。
「クレストチキンはユキトくんが料理に使うの?」
「いや、召喚獣のご褒美に使いたいな」
「それは良いかも。卵は?」
「逆に聞きたいが、生で食べられるのか?」
「死にはしないけど、お腹を壊すかもねー」
「ぐぬぬ…TKGはこの世界に無いのか。まあ、米もまだ見てないが…」
「米はこの辺では作られていないからねー。東の方に行けば作っている国があるよー」
「面倒だし、旅する金もないからな」
「森の奥に行くようになったから、少しは蓄えが潤うと思うよ」
「まあ、なんにしても稼げるようになってからだな。卵はここで料理して貰うのもありだと思うから、食べたくなったら言ってくれ」
等と話ながら、今日の日も暮れていった。
残金247000F
翌日、ギルドへ行き、解体し終わったクレストチキンを回収。ついでに依頼を見たのだが、良さげなのはない。依頼を受けずに街の外へ。ゲートをくぐり森に入ると3匹を召喚。狩りの時間だ。
更に森の奥に進んでいくと、上空に飛ばしていたフウが降りてきた。何かが居るみたい。
サーチを使用すると団体さんだ。その数16。
何が群れているのかと思いきやコブリンだ。
「ん?何か、背が少し高くマッシブなのが居るのだが、あれはキングか?」
俺がティアにそう尋ねると、笑いながら否定した。
「あれは、ホブゴブリンだね。ゴブリンに毛が生えたようなものだよー。」
なら殺るか。いや、狩ろうか。
イメージ、雷の嵐。
「サンダーストーム」
ゴブリンの群れに稲妻が渦を巻いて走り、ホブゴブリン以外が倒れる。辛うじて立っているホブゴブリンに、シロ達をけしかけた。 直ちに蹂躙されるホブゴブリン。
「圧倒的ではないか、我が軍は」
すまん。言いたかったんだ。そう思いながら、ティアに尋ねた。
「ホブゴブリンって、素材になるのか?」
「特に使えるのはないかなー。魔石だけ。しかもお値段2000Fー」
「わお、それはお買い得だね!
って、ゴブリンはホブになっても変わらないのか。あわれよのう」
そんな事を言いながら、魔石を回収していく。
胸を裂いて、ぐにゅぐゅと魔石を取り出す作業にもなれたものだ。ホブゴブリンの魔石はゴブリンの魔石より少し大きい気がする。微妙にだ。
数は多かったので、経験値的に稼げたみたいで、シロは38、フウは34、アズは28にレベルアップ。
さて、次に行こう。見つけたのは熊一匹。アズくんと同類対決。まあ、サシでは戦わせないが。
とりま、ライトニングを一発咬ましたが、まだまだ元気そう。アズが体当たりで転がした所に、シロが首筋に噛み付き、フウが顔を抉るように攻撃。ユキトも杖を突き込む。
あっさりと熊は沈んだ。ティアいわくフォレストベアという名前らしい。
「これは食えるだろ。しかし、熊の掌料理とかは無いんだろうな…。俺は作り方知らないしな。ティアさんは知らんかね。」
「んー。多分食べてないよ。お肉は簡単に手に入るからねー。野菜穀物の方が価値があるのさー」
まあ、この世界では豚足とかも、食べられてはいなそうだしな。と、地球の事を思い出しつつお昼休憩。
暫くは、召喚獣の発光成長は無いらしいので、レベルの確認は、帰る時にする事にした。
午後の狩りは、ゴブリン3匹。シロとアズに1匹ずつ任せ、ユキトとフウでタッグを組み、魔法を使わず倒した。
「無理をするつもりは無いが、ゴブリンだと物足りないな…」
「そんな事を言ってると、森の奥に行った時に泣く事になるぞー」
「今回のゴブリン戦で、目突きとか咬ましたが、俺も食らう可能性が有るって事だろ?」
「そうそう。HPなんて見える様にしただけで、急所に良いのを貰ったら、一発でお亡くなりだよー」
解ってる。とユキト。
更に、ゴブリン5匹を片付けて、今日の狩りは終了した。シロは40、フウ36、アズ31にレベルアップ。
街に帰り、おっちゃんに換金を頼むと、52000Fになった。フォレストベアに良い値が付いたらしい。それに、ゴブリンも19匹狩れば、お金になる。
花色亭で宿をとり、今日の無事を祝った。
残金289000F