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花色亭に行って、また一泊頼み、部屋に入ると防具を外し一息ついた。
やはり防具はめんどくさい。
夕飯の時間。
今日は兎肉らしく、あっさり系の料理を食べていた。酒はもちろん注文した。
だか、温いエールを何とかしたいと考えたユキトは、半分飲んだ所で実験してみることにした。
イメージ、マナを液体に行き渡らせて凍らせないよう冷やす。
「コールド」
木のコップだから、解らなかったが、エールを口に入れると確かに冷えている。
酒も旨くなるし、魔法制御の訓練にもなる。
それを見ていたティアが、私のも少しだけ冷やせ!と言い出したので、木のコップの方に、コールドを使い冷えぎない程度に冷たくした。
そして、今日も終わる。
皮の鎧60000F、宿代酒代10000F。
残金45000F。
朝起きると、やはり疲れが溜まっているのか、調子が今一つ。
昨日と同じ様に、朝食はメイン兎肉の串焼きをアイテムボックスへ。パンとスープだけだ。
ティアも昨日と同じ。
そして、チェックアウトすると、街を出て森に向かった。
ユキトは、森へ向かいながらティアとディスカッション。
昨日の失敗を踏まえ、
ソロの冒険者はあまり居ない事。
ユキトは人間嫌いだからソロが良い。
そしたらティアは、召喚魔法って手が在る、と提案。
それは名案だ、とユキトは森に少し入った所で、召喚魔法を試みることにした。
イメージ、召喚獣。強そうな虎。がおー。
よし、おいでませ!
「サモン」
魔方陣が展開され、眩しく光る。
光か収まるとそこには…
子猫?いや子虎が居た。
………
「小さいな」
「小さいねー」
「可愛いな」
「可愛いねー」
「ティアさんよ。見た目は可愛いけど、凄く強力なスキル使えます、とかそんな感じなのかな?」
「まさか。見たまんまだよー。ユキトくんが、育てるのさー。そんな訳で、早く名前を決めて契約してねー」
「召喚獣なら即戦力だろ!プギャーふじこふじこ!~~~!?!?」
「うぎゃー、ユキトくんが壊れたー」
5分後。
「ユキトくん落ち着いた?」
「何とかな…この世界に来て、一番の衝撃だった」
「昨日大怪我したのに?これが!?」
ティアも衝撃を受けたらしい。
ユキトは、冷静さを取り戻し、召喚獣を見た。小虎の色は白がベースなので、ホワイトタイガーなのか?
「うむ、名前はシロだな」
ユキトがそう宣言すると、
「安直な名前過ぎ!!」
と、ティア2度目の衝撃。だが、その名前を気に入ったのか契約が完了し、ユキトはMPをごっそり持っていかれた。(貧血に近い)
「今日は、もう帰った方が良いかもねー」
ユキトは、ティアが言う事を否定できなそうだ。少し休んで街に帰ろうと思った。
「じゃあ、休憩中に召喚獣の説明をするよー」
召喚獣は、召喚獣の世界に居て召喚者と契約する事で、この世界の実体を得る。
帰還しても契約はそのままで成長する。
この世界で実体が死ぬと、契約が失われ同じ個体は呼び出せなくなる。
契約時には、多量のMPが必要。
基本、飲食は必要無い。
召喚者のレベルが上がると、他の召喚獣を呼び出せる様になる。
等、ティアからの説明を受けつつ、シロを観察。やはり猫とは違い足が大きい。顔も剽悍な感じだし。だが、じゃれつく動きは猫だな。少し楽しませて戴こう。しばらく堪能し、シロを帰還して街に帰った。
花色亭に着くと、食事無しで宿を取った。
ティアが、ぶーぶー言っていたが神ポッケ(アイテムボックス)に、ワインと肉を保存してそうなので、それを食べてくれと伝え、明るい内から寝た。
宿代7000F。
残金38000F。
ユキトは、気持ち良い朝を迎えた。
飯も食わずに寝ていたので、空腹感はあるが体調は戻った。
ティアは、ご機嫌斜めだが朝食を食べれば気も変わると思う。チェックアウト後、パン屋に行き1000F分買い、外で食べた。
ティアは、神ポッケからワインを出し、朝から飲んでいる。駄女神だ!
ユキトは生活魔法の水で我慢。
そして、街を出て森へ着くと、まずは魔法の実験。
イメージ、飛ぶ。
「フライ」
体が浮いていく、コントロールも可能だ。
空戦をやれる程では無いが、なんとかなりそうだ。
「シロ」
呼び掛けると、魔方陣の上にシロが現れた。
やはり小さい、2キログラム位だから、生まれてすぐな感じ。これでは狩り処ではなく歩くのさえ儘ならなそう。仕方がないので抱き上げた。
「ティア、取り敢えずはパワーレベリングって事なのかな?」
びゃぁうびゃうと鳴く、シロを見ながら尋ねると肯定した。
お金も稼ぎたいし、シロも居るので森の境目を北に歩き出した。
最初に現れたのはゴブリン。ウインドブレイドで舜殺。
「シロくんレベルアップ」
途端、ティアのインフォが入った。
早っ、シロのステータスを見るとレベルが7に上がっていた。
「一瞬でレベル抜かれた」
膝から崩れ落ちシロを地面に下ろしorz
その直後、シロが発光し大きくなった。
「なんじゃこりゃー!」
大きくなったといっても、小型犬より少し大きいくらい。歩く事は出来ても、何だか、よたよたしてて頼り無い。
「今更だよー。驚く所が間違っているかなー」
のほほんと、ティアは言うが異世界歴が短いし、自分の事で、あっぷあっぷしているユキトには難しい話だ。
「レベルを上げれば、直ぐに成長するん?」
ユキトが聞くと、もちろんさー、と心強い返事。
「はよ、大きくなってな」
シロを一撫ですると、魔石を回収した。そして、かなり重くなったシロを抱え、次の獲物を探した。
発見したのは豚のつがい、餌を探しているのか、土を掘っていた。
2頭が斜線に入っているのでライトニング。稲妻が2頭を貫通し倒れる。
「(低い声で)豚子愛していた。君に出会えた事を感謝する。(高い声で)私もあなたと一緒に居られて幸せでした。(素の声で)ってスルーは止めようよー」
ティアがお得意のを噛ましていたので、ユキトは無言のままラージピッグを回収していると、ティアが泣きに入った。
ユキトは、続きが気になってな。と言い訳しながら涼しい顔だ。
ティアさんプリプリしながら、シロくんレベルアップ!との事。
ユキトがシロのステータスを見ると、レベル11迄上昇。また少し大きくなった気がする。
しばらくティアの食事休憩をして、引き返しながら森の中を探索。
シロは、普通に歩ける様になったので、ユキトの回りを歩かせる事にした。
いざとなったら、帰還すれば良いだろう。
ゴブリン3匹を発見し、ウインドブレードで舜殺。シロは、倒れたゴブリンに猫パンチをテテテテシと咬ましている。
そんなシロはレベル13にアップ。また少し成長したかな?ユキトは魔石を回収して、シロを帰還し街に帰った。いつも通りギルドのおっちゃんに声を描ける。
「今日は、ラージピッグ2頭と魔石4つです」
「おう、昨日は来なかったな。ラージピッグはそこに乗るか?」
大丈夫そうです。と言いながら横の台に乗せ、魔石を渡した。
「相変わらず状態がいいな。これなら、43000Fでどうだ?」
否は無い。
ユキトが頷くと、おっちゃんは魔石を判定器に乗せた。
「ゴブリンの魔石4つか。4000Fだな。おっ、ランクが上がってるな。新入り、これでFランクだぞ」
「いやー。ランクとかどうでも良いんですよ。狩人なんで」
「そうか?インテンスボーアを、ソロで狩れるのなら、冒険者としても優秀だと思うがな。まあいい。合わせて47000F、大銀貨4枚と銀貨7枚だ。確認しろ。」
お金を受けとり、いつもの様に花色亭に行き、宿を取る。今日の夕飯は煮豚だ。焼酎が欲しくなる味。エールをちびちび飲みながら食べた。ティアは今日もワイン。
朝食1000F
宿代+酒代10000F
残金72000F