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「ホーンラビットは、15000F、インテンスボーアは、この大きさなら32000Fでどうだ?」
ティアを見ると頷いてる。
カードを渡し、それで良い、と言うと、
「ゴブリンの魔石を合わせて、大銀貨4枚銀貨8枚だ。確認しろ」
おぅ、多少の余裕は出来てきたのか。カードとお金を受け取り、また宜しくお願いします。
と言い、ギルドを出た。
帰りに雑貨屋にて、替えの中古服、小さい木のテーブル、椅子、お皿、コップ等19000Fの雑貨を買った。
やはり服が高い…
ユキトは、武器を買いたかったらしいが、財布に酷しそうなので、もう少し稼がないと駄目みたいだ。
花色亭行きに、女将さんに、また一泊頼んで、部屋に入った。
「ティアの服は神の力とかで変えられるのか?」
そうたずねると、変えられるけど、着替えることも出来るよー、と答えた。
だがティアさんよ。小さくて済むのはありがたいが、オーダーメイドとか無理だ。かなりお高いからな。
飯を食べて、早く寝よう。明日も稼がねばならないからな。今日も豚のステーキだが、ガーリック風味。
エールに合う。ティアはワイン。
買い物と宿代、夕食時の酒代、29000Fの出費。
残金32000F。
次の日、朝食のメインの豚肉炒めをアイテムボックスに避難させ、パンとスープを食べ、
宿をチェックアウト。
ギルドはスルーして、街の外に出た。
どうせGランクの依頼なんて、録なの無いし。
今日は森までの道中、獲物には出会わなかった。
森の中で最初に見つけたのはゴブリン2匹。ハズレなのでがっかり感ぱねぇ。
イメージ、風の刃
「ウィンドブレード2連」
目には見づらいが、風の刃がゴブリン2匹を切りつけた。
レベルが上がったからか、魔法の一撃でゴブリン2匹は息絶える。
魔石を回収しなから、ゴブリンに合うと損した気分になるな、と言うと、
ティアから、皆そう言うと思うよ、と有り難い言葉をもらう。
少し早いが休憩。テーブルと椅子を出し、まったり。
何か、場違いな感じがする。隣にナイフとフォークを使って、食事をしている妖精?が居るし。
まあ、なるべく気にしない様にした。
さて、休憩後に発見したのもゴブリン3匹。ウィンドブレード3連で問答無用に倒す。
「レベルアップだよー」
「レベルが上がったか」
魔石を回収し、移動しながらスターテスを見る。
レベル3
HP125(+25)
MP320(+70)
筋力28(+5)
敏捷力54(+8)
体力41(+6)
魔力65(+25)
「ゴブリンばかりたけど、レベルが上がると、やっぱり嬉しいな」
「ユキトくんも強くなってきたよね。この辺なら一確だよ」
「だと良いのだが…
それと、次は食える奴が良いな」
「それは、ゴブリンを呼ぶフラグだね!」
ビシっと親指を立てるティアさん、眩しい笑顔だ。
次こそは、食べられるのを…
そんな事をユキトが考えていると、ティアが珍しく真剣な声で言った。
「ウルフに囲まれそう!」
ユキトは、回りを見るがウルフなど見当たらない。また、ティアの弄りか?
そう思うのだが、ティアの声色がいつもとは違うので、マナを集めつつ、様子をみる。こちらに迫ってきたのか、数多くの気配を感じた。
誰だ、一匹狼なんて言葉を作った奴。狼は群れで狩るのだよ。孤独とか孤高なんて言っている場合ではない。一匹狼?むしろウェルカムだ!
ユキトは、毒づきながら、
イメージ、盾。ガ〇ダムのビームシールドの様なもの。
「シールド」
シールドは、左手に展開。今更ながら、ユキトは左利きだ。非力な打撃より防御を選択した。
左前から来るの狼に稲妻、ライトニングを放つ。当たったのを確認し、背後から飛び掛かってくる狼を、斜めに構えた左手の盾で跳ね上げ、まだ迫ってくる3体に3連ライトニングを放つ。
稲妻は2匹に命中、1匹は当たりが浅いが稲妻の麻痺効果で動きを止めた。
だが、その時、見落としていた個体に左足の脛を噛みつかれた。
倒れながら、狼に右踵を首辺りに落としたが、どれ程効いているものか。
噛まれている左足を無視して、シールドで弾き飛ばした奴を見ると、俺の頭の直ぐ前だ。ライトニングで牽制。幸いにも、ヒットし倒せた。直ぐに、左足脛に噛みついている奴へ至近距離からの魔法の弾丸、マジックブレットをぶちかまし、こちらに向かってきたもう一体は雷の投げ槍、サンダースビアで片付けた。
見渡しても普通に動けるのは居なそう。後は留目を刺すだけだ。
左足の痛みに、のたうちながら、少しでも動いている奴にマジックブレットを叩き込んでいく。
動く奴が居なくなると、直ぐ左足にヒールを掛ける。結構かじられて、痛くて仕方がない。
手が震える。今までロングレンジで戦ってきたので、何処かに甘えがあったのかもしれない。
ステータスを見ると、HPは2割り程しか減ってない。一撃で半数以上持っていかれたら、ショックで気を失うのでは?
と、ここまで来て、ユキトはティアの事を思い出した。
だが、声を掛ける間も無く目の前に現れた。
「心配させた?」
ユキトは素に戻ると、神なら死なんだろ、と憎まれ口。
「それより、ユキトくんの方が心配だよ。痛いと思うから、早く回復した方が良いよ」
「言われなくても回復中だ」
「それ位の怪我なら、治るから安心してー。」
優しく思えるのは痛みのせいなのか。それとも何か、企んでいるのだろうか…
左足の痛みは引いたがまだ違和感がある。もう一度ヒールを掛ければ大丈夫そうだ。
「元の世界なら、案件物だがな」
「もう、平気?
じゃあ、治療が終わったら、ズボンにクリーンだね。流石に破れた所は塞がらないけどね。
そして、ウルフを回収して帰ろー!」
ウルフを6匹仕舞い、街に帰る事にした。
歩きながら、反省会をした。
ウルフは強いわけではなく一匹ならなんて事はないが、スピードと数で驚異になるそう。
それから、ティアは飛んでるし、俺も魔法で飛べば、上から楽に倒せたんじゃね?とか、
土魔法を上手く使えば、囲まれても、平気そうだとか。
今思えば、戦い方は幾らでもある。
結論は、まず場数が足りない。それに、もっと魔法を臨機応変に使用しないと駄目だという事。
ユキトは、まだまだ楽に暮らせそうになさそうだ、とため息をついた。
そして幸い、魔物に出合う事無く街に着き、ギルドのおっちゃんの所へ行く。
「どうも、今日はウルフが6匹と多いのですが、どうしますか?」
「ウルフ6匹か…
そうだな、いつもの台に乗せるだけ乗せて、残りは奥にそのまま出してくれ」
俺は狼4匹を台に乗せ、その奥の床に2匹出し、魔石5つとカードを渡した。
「ウルフは全て状態が良いから1匹13000Fでどうだ?」
いつもの様にティアを見ると頷いてる。
この人は、ぼったくる事は無さそうかな。ギルド員だし。俺も、おっちゃんに頷く。
「魔石はゴブリンで5個だから5000F、狼6匹で78000F、合わせて83000F。大銀貨8枚と銀貨3枚だ。確認しろ」
お金とカードを受けとると、おっちゃんに挨拶してギルドを出た。
「武器よりも防具を買った方が良いのかな?戦いに馴れる前にくたばったら意味ないし」
ティアに相談すると、
そうかもねー。と気の無い返事。
取り敢えず、店を覗いてみる。
革製品の店だ。初心者に使いやすい革防具が欲しい。
そう言うと、ソフトレザーアーマーとガントレット、グリーブとブーツ一式を薦められた。値段60000F。
流石にお高いが、身の安全の為に購入し、調整して貰った。
昔のゲームで言えば、かわのよろいを装備した。
防御力が3上がった。
そんな感じだろう。
ユキトは少しだけ安心できる様な気がした。