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ギルドを出てから、受付のおっさんに聞いた、飯の旨い且つ安い宿に行った。名前は花色亭。ファンシー漂う名前だが嫌いではない。
中に入ると、食堂兼宿屋のファンタジーに有りがちな店だ。
「女将さん、一泊お願いしたいのですが。
そう言えば、ティアは部屋は別の方が良いのか?その前に、テイムモンスター扱いだから馬小屋か?」
「私を馬小屋に泊めるとか酷くない?」
「いや、金も心許ないし、宿屋のルールとか知らんし」
「女将さーん」
あっ、ティアが女将に泣きついた。
「お客さん、テイマーかい。こんなに可愛い子を馬小屋とか、あんまりだよ。2人部屋で良いかい?うちには馬小屋はないしね。」
と、フォローしてくれた。
「ティアは同じ部屋で良いのか?」
ディアが頷いたので、2人部屋を一泊頼んだ。
ティアさんよ。馬小屋でもMPは回復するのだよ。
この世界はどうかしらんが。
「2人部屋で、一泊7000F、夕食朝食付きで9000Fだよ。どうする?」
「飯が旨いと聞いているので、食事付きでお願いします。」
大銀貨を一枚払い、銀貨一枚をお釣りで貰い、鍵を受け取った。
部屋は、2階の一番奥らしい。
部屋に入ると、ベッドが2つあるだけとシンプルだ。
「ティア、普通に食事頼んだけど食えるの?」
「普通に食べるよ。逆に、この姿だと食べないと飢えて泣き出します」
「泣きますか…」
「うん、泣く」
「では、しっかり食べないとな…
話は変わるが、アイテムボックスの中に武器が入っていないぞ」
「ユキトくんは、魔法特化のステータスにしたから、要らないと思うけど」
「まあ、そうだが、杖とか魔法使いっぽい装備があってもおかしくないよね。服もこちらの世界仕様になっているんだからさ」
「ユキトくんの場合、杖とか発動体は、必要ないからね」
などと話していると、夕食の時間になったので、下に降りて夕飯を頼んだ。
客の入りは良い。味は期待できそうだ。
少し待つと、ステーキとパンが運ばれてきた。
肉は何かと聞くと、ラージピッグだと。酒は、ユキトがエール、ティアはワインを頼んだ。
「ティアも酒飲むのか?」
見た目との違和感に訪ねると、もちろん飲むさー!と元気に答えた。
さて、ステーキのお味はっと。
中々のお手前。
シンプルな味付けだが、肉が旨い。こってりしていて噛みごたえもある。
そこにエールとワインが到着。木の素材のジョッキとコップ。良い雰囲気だ。お値段、共に500F。
銀貨一枚を支払う。
ティアは自分サイズのナイフとフォーク、グラス!を何処からともなく取り出し、ワインをグラスに酌むと、自分と同じ位の大きさの肉と格闘を始めた。
少しほっこりする。
ユキトが食べ終わり、エールを飲み干し、ティアを見ると、ステーキ皿が空だった。
全部食べたのかと聞くと、そんな訳ない、ステーキとワインの残りは仕舞ったらしい。
まあ、謎パワーで全部食べたと言われても違和感がないが…
それにしても、長い一日になった、そう思わずにはいられないユキトだった。
あっ、寝る前に生活魔法のクリーンを掛けなくては…
夜が明け、
ユキトはティアに起こされた。
昨夜は、夕飯を食べた後直ぐに寝てしまったので、かなりの時間寝た。
少しのんびりしてから、朝食を食べて、チェックアウト。
ちなみに、朝食は薄切り肉の炒め物、パンとスープ。朝からかなり濃い食事だ。食べ物を残すなんて出来ないユキトは、頑張って食べていた。
ティアは普通に食べている。見事な完食?
ユキトは、金に余裕が出来たら、皿やコップを買おうと思いながら、ギルドに向かった。
ギルドに入ると、ティアが居る為か、視線が飛んでくるが知らん。
「うーん、録な依頼が無いな。Gランクだと仕方がないのかね。」
「ユキトくん、どうするの?」
「残り13000Fしか無いからなー。
取り合えず、普通に狩りにでも行くかな」
という事で、街の外に向かう。
「ユキトくんは、もしかしたら引きこもるかもって思ったけど。」
「引きこもれるなら、そうしたかったけど、金が無い。それと、言っておくが、俺は生きているのが、かったるいだけで、痛いのや苦しいのは嫌いなんだ。それに死にたがりな訳ではないからな」
「こっちなら、生きながらに食われるって選択しもあるよ」
「なお悪いわ!」
そんな事を笑顔で言うなや。
そして、門で門番さんにカードを通してもらって街の外に出た。
太陽の位置を見ると、
多分、西門になるのだろう。
森は北西の方角だ。森の方に歩きつつ、ティアに尋ねた。
「森の方に向かうが、出てきそうな魔物とか居るのか?」
「ホーンラビットとか、出るみたいよ。ただ、逃げ足が早いから、仕留めるには大変みたいだけどね」
「俺は魔法チートだから、サーチ&デストロイでいく感じかな。
とりあえず、ガッツリ狩って稼がねば。お金大事!」
「ユキトくんもヤル気が出て来たみたいだし、さくさく行っちゃおー」
森が近くなってきた頃、ホーンラビット発見。
(小声で)「ティアさんよ。ウサギにしちゃデカ過ぎねーか?」
(同じく小声で)「まあ、ホーンラビットが向かってきたら、ルーキーとかだと大ケガしたりするしね」
体長1メートル以上ありそうだし、その分食い出があるんだろ。距離は15メートルくらいか?
イメージは稲妻。
「ライトニング!」
稲妻が走り、直撃すると、ホーンラビットそのまま動かなくなった。
ライトニングは貫通属性ついているかも。
その時ティアが叫び始めた。
「ギャー。何も悪い事してないのに」
「ティアさん、変なアフレコやめましょうか」
とホーンラビットに近依り、収納しようとしたら出来なかった。
「麻痺っているだけで、まだ終わってないよー」
そうだったのか…
ならば、
イメージ、雷の矢。
サンダーアロー
雷の矢を顔にぶちかますと、お亡くなりになった。
「この恨み…」
「だからティアさん、ものっそい気分が悪くなるので、マジて勘弁願います」
「はーい」
ティアは、反省してなさそうな返事…
ここでは、MP12使用。
そして、ホーンラビットを仕舞った。
そして、かなり重要な事。ユキトは昼飯抜きだが、ティアは食べられないと泣くので、しばらく休憩を。椅子もあった方が良いのかな?そんな事をぼんやりと考えつつ、ティアの食事が終わるのを待つ。
休憩が終わると、次の獲物をさがした。
森近く迄行くと、ゴブリンが一匹森から出てきた。
ハズレだが、放置も出来ないので殺るか。
イメージ、氷の矢
「アイスアロー」
氷の矢がゴブリンに突き刺さるが、まだ倒れない。
もう一度アイスアローを突き刺すとゴブリンは倒れた。
「やったね、た〇ちゃん。レベルが上がるよ」
「やめろ」
ティアが酷い事を言った。
それは置いといて、レベルアップは嬉しい。
スターテスを確認した。
レベル2
HP 100(+20)
MP 250(+50)
筋力 23(+3)
敏捷力 46(+6)
体力 35(+5)
魔力 40(+20)
「MPと魔力の上がりが良いな」
「ユキトくんは、魔法使いになりたいって希望だったからね。魔法関連は、どんどん上がっていくよ」
「解りやすくて良いよな、なんか楽しくなってきたかも」
MPは10減っていた。基本的に、がっつりMPが減ることはなさそうかな?
ゴブリンの魔石を回収し、次の獲物を探した。
出て来たのは猪。
デカイ、全長三メートルはある。
とりま、
「ライトニング」
稲妻が走り、猪を貫通したが、多少怯んだ程度に見える。
イメージ、雷の投げ槍。
「サンダースピア」
頭を狙い、雷を突き刺す。
が、ものともせず、こっちに突進してきた。
イメージ、土の壁。ガッチガチや。
「アースウォール」
高さ2メートル幅4メートル厚み1メートル位の壁が出来た。
猪が土壁に突き刺さったのでので、土壁を解除。
棒立ちのところを、サンダースピアを追加で撃ったところで、猪は倒れた。
「インテンスボーアげっとー。今更だけど、初心者が狩るには厳しい魔物だよ」
「今更過ぎんだろ!」
ユキト絶叫。
ユキトくんなら平気だよ。と、当たり前の様にティアは、のたまった。
レベルが上がってなかったら、ユキトが美味しく喰われたぞ。多分。
まあ、結構良い値で売れると言うので、今日の狩りは終わりにして、街へ帰った。
雷系3発と土系1発でMP28使用。
さて、 ギルドのおっちゃんのところだ。
「どうも、今日もよろしくです」
「新入りか。今日は何を持ってきた?」
「ホーンラビットと、インテンスボーアを一頭ずつです。あと魔石を一つ」
「ほう、ボーアを狩れるとは、やるもんだな。
そこに出してみろ」
昨日と同じ様に、横に回りホーンラビットとインテンスボーア、魔石をだした。