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そして、今は森の中。
本日2回目の転移。
「もう、お家に帰る!」
ユキトが叫ぶ。
「もう遅いからー」
別の声が聞こえた。声のする方を見ると、ティア?が居た。
ただ、羽が有り、浮いている。体長10センチメートル強の体、顔はティアだ。フェアリーみたいな感じ。
「ティアなのか?」
「もちろん、ティアさんだよー。では、この世界の事とユキトくんについての復習だー。」
「いや、何でティアが居るん?それに小さくなってるぞ」
ユキトが疑問に思った事を尋ねる。
「それは、ナビゲーター兼お目付け役さー。
ユキトくん、何だかほっとけなさそうだからねー。それと、この体はこの世界に降りた時の為に予め作ったおいたのさー」
「・・・はあ」
良く解らんがうなずくユキト。
「まずはこの世界。地球と同じく1日24時間で7日で1週間、30日で1ヶ月12ヶ月で1年360日と地球に似た感じだよー。
この場所は、アダナクラスの森、各地に有る魔の森の一つ。
ここは、端の方だから比較的安全だけどね。
そして、近くにあるがコミティスの街。
それで、ユキトくんは体に違和感とか無いかな?
17歳の体にしたけど?」
必要な事を並べ、説明するティア。
外観は昔の俺がベースになっているらしいし、体が軽くなった位で、不自由はない。
流石に永遠の17歳は無理との事。
まあ、それは神の領域だよー。
と言われれば諦めるしかない。
「では、ユキトくんのステータスオープン」
ユキト
レベル 1
HP 80
MP 200
筋力 20
敏捷力 40
体力 30
魔力 20
スキル
異世界語
アイテムボックス
魔法
剣術
基本的には某国民的RPGと同じだけど、
先ずは
HP、 これは命の源
(無くなると死んでしまうから気を付けて!)
MP、 魔法が使える量
(多ければ多いほど魔法が沢山使えるよ)
筋力 物理攻撃が上昇する
(腹筋割れちゃうよ)
敏捷力 命中率、回避率が上昇する
(素早く動けるよ)
体力 持続力、物理耐久力が上昇する
(しぶとくなれるよ)
魔力 魔法の精度、威力が上昇する
(神秘の力だね)
「この世界は個人のレベルはあるけど、ステータスの数字化は無いからね。
ユキトくんに解りやすくしただけだから。
ちなみに、今の能力は魔法抜きだと、ちょっと弱いから要注意。レベルが上がれば無双出来るからがんはろー!」
ふむ、ツッコミ所は多々あるが、まだ雑魚って事か・・・
「さてと、次はスキルだね」
異世界語
異世界の読み書きが出来る
アイテムボックス
インベントリとも言う便利な収納庫。中の物は時間が停止する。生物は入らない。
(熱々のお料理も冷えたお酒もお任せ)
魔法
全ての魔法が使える。
(もちろんMPが足りないと何も出来ないよ)
剣術
剣の扱いが上手くなる
(剣道とは違うけどサービスだね)
スキルレベルは無いよ。でも、見えないけど熟練度はあるから、使えば使う程扱いが上手になるの。
剣術は、中学の三年間頑張ったから、ご褒美だー
では、最初の授業いくよー」
ティアは眼鏡が似合うキャラになりつつある。
「魔法の訓練だから、しっかり聴いてね。
まず、火を指先に灯すイメージしてみて。
そう、マナが集まってきたでしょ。そこでイメージ。
まっがーれ」
ユキトの表情は冷たい。絶対零度だ。
「・・・信じた俺がバカだった」
「ちょっとしたオチャメな冗談だよ。
「あっ、マナを散らさないで。イメージは、火種を起こす感じ。少しだけ火が出る様に考えて。大丈夫?」
「・・・あぁ、こんな感じか?」
ユキトが、マッチやライターのイメージを考え、
「ファイア」
と唱えると指先に火が灯った。
「これが魔法か・・・」
「うん。良く出来ました。これは、生活魔法って言って火や水を少し出したり、、微風を起こし、地に小さな穴を空けたりする事が出来るし、クリーンなんかは体の浄化(お風呂替わり)にも使える上、使用MPも1以下だから安心して使えるよ」
「便利そうだな」
「更に便利なのがアイテムボックスー。
じゃじゃん。
使い方は、これまた簡単。
念じるだけでOK!。
物が出し入れできるよ。
解体用に、ナイフを一本と日用品を入れといたから、試してみて」
「何て言うか、手応えがなくて不思議だな」
ユキトはナイフを何度か出し入れしながら呟いた。
「中の物を忘れても、表示できる親切設計」
ほうほう、と言いながら、目の前の表示を弄っていると、手を出さなくても操作出来るとの事。
確かに、端から見たら不審者だ。ありがたい仕様だな。
「魔法って、この世界には当たり前にあるけど、生活魔法意外は、使える人が少ないよー」
「何故に?」
「目に見える力の方が確実だし、そんな余裕も無いから、あまり成り手が居ないのよー」
「魔法も普通に見えるが?」
「ユキトくんには、スキルがあるし、ゲーム?の魔法のイメージなんかを想像して簡単に出来るけど、普通は難しいのよー。後はMPの量とかもあるし、殴った方が早いし」
「俺のMPは多いのか?」
「凄く多いよ。レベル1にしてみればねー」
と、有り難い言葉を貰ったユキト。
それから、流れ者や食い積めた者は、大概冒険者になるので、ユキトも冒険者登録がお薦めらしい。
そして、ティアがはりきって言った。
「それでは、ファーストミッション!
魔物を退治してみよう。ほら、そこまで来てるよ。」
ユキトが視線を上げると、自分よりも背が低い(120センチメートルくらい)二足で立つ明らかに人とは思えない何かが居た。
手には木の枝?棒を持ち、今にも襲いかかってきそうだ。
「何か、エキサイトしている奴がいるのだが」
「ほら、ユキトくん。 魔法で、よいしゃこらーだよ!」
ティアはそう言うが、ユキトはテンパっていた。
「ファンタジーのお約束、ゴブリンくんだよ。遠慮は要らないから、
やっておしまい!」
古すぎるフレーズを聞いたような気がするが・・・
「くそ、いきなりかよ!
ったく、魔法、イメージ・・・」
マナを目の前に集中しつつ、イメージは魔法の弾丸。
「マジックブレット!」
その瞬間、ゴブリンの顔目掛けマナの塊が飛ぶ。
目で追えない程高速だ。
そして、着弾と同時にゴブリンはよろめいた。
ユキトは、その隙を逃さず喧嘩キック(前蹴り)をゴブリンの顎にぶち噛ます。
木にぶつかり、倒れるゴブリンへ馬乗りになり、
殴る殴る殴る殴る殴る殴殴る殴る殴る殴る殴る殴る!
「ユキトくん、もう終わったよー」
その言葉を聞くと、手を止めて立ち上がり、ティアへ詰め寄った。
「いきなり何さらすねん、もう少し呼吸を合わせんといかん違うか自分?」
ああん!と言わんばかりの態度にも関わらず、
ゴメンね(てへぺろ)で澄ますティア。
「ユキトくん、言葉使いが西に流れてるよー。
初っ端からキャラ崩壊しそうだから落ち着いて落ち着いて。
て言うかさ。何故に魔法でトドメを刺さなかったの?」
「あのなぁ・・・
いきなり化け物が出てきたら、すげービビるわ!
まあ、手足が出た事については、後悔も反省もしてない」
「そんな事は良いから、早く逃げるよ。
その前に、ゴブリンのばらして、魔石を回収してからだけどね。心臓の辺りに有るから。
早くしないと、血の臭いで、ウルフの群れが来るかもよ」
と、ティアに急かされつつゴブリンの胸を開き、魔石を抜き出して、生活魔法で手と魔石を洗いナイフを拭うとアイテムボックスに入れ、ティアのナビに従い街へと歩き始めた。