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ギルドへ行き、親父さんに聞いてみた。
「キラーアントが沢山あるのですが、幾つ位買い取れますか?」
「何体持ってきたんだ?」」
「171体です」
「お前のアイテムボックスは、どんだけ入るんだ!
あ~、1日50体。それくらいなら何とかなる」
それを聞いて、キラーアントを出していく。
親父さんが、確認を終えて戻ってきたので、カードを渡した。
「全て問題はない。数が多いのに、綺麗に倒したもんだな」
「いや、苦労しましたよ」
「普通は、苦労じゃすまないと思うがな。
一体3000F、50あるから150000Fだ」
金貨1枚、大銀貨5枚とカードを受け取り、ダンクの宿に行く。部屋を取ると、酒と食事を頼む。今日の夕食は、ビッグホーンのビーフシチュー。さすがにフォンとか、本格的ではないかもしれないし、味に深みがないのは仕方がない。肉煮込みビーフシチュー風味といったところか。
だが、普段は焼き物が多いので嬉しくなる。
シロ56、フウ55、アズ54、ロウ41にレベルアップ。
残金781600F
25日目
蟻の巣近くに来たユキトは、しばらく悩んでいた。
「ユキトくん、何を考えているの?」
「レベルが上がったから、新たな召喚獣を呼ぼうと思ったけど、巣に突入する事を考えると無理じゃないかと…」
「大丈夫じゃないかなー。危なくなったら、帰還させれば良いしねー」
ティアの言は善し。早速召喚する。
イメージ、猛禽類に逞しい体。くけー。
「サモン」
光と供に現れたのは、体はライオン、鷲の頭と翼を持つグリフォン、ミニサイズ。
「名前は、グリだ」
契約完了。ティアは、ど真ん中の直球きたー、と騒いでいた。
シロ達も召喚し、グリを抱えると巣穴に向かう。
巣穴は、人が作るトンネルとは違い、直径3メートル弱の楕円形に見える。この形では、シロ達が並んでの戦闘は不可能だろう。
隊列を決める。シロが先頭。続いてロウ。ユキトと、抱えられたグリとティア。殿に、アズとその上に乗ったフウ。その隊列で巣に突入。
中は暗いので、ライトの魔法を使い、明かりを確保した。
「夜目が無いのは、俺とグリくらい?ティアは明かりが無くても平気なのかね?」
「私は、見えているよー」
そう聞くと、ナイトビジョンの魔法でも良かったかもしれないと思ったが、そのまま進んだ。
少し歩くと、道は下る。そこへ、キラーアントが出てきた。蟻だけあって壁を普通に歩いて襲ってきた。
「サンダースピア2連」
まずは、壁を歩いている二匹を落とす。シロは下を歩いているのと戦っているが、狭い巣穴内なので、機動力を活かせず、正面からぶつかるしかない。思ったよりも厄介だ。しかも、後続はまだまだいる。
ユキトは、片手を上にあげ、シロを誤射しないように、高い位置からライトニング2連を放つ。稲妻が二本走ると、後ろの蟻は倒れていった。
シロは生き残りを倒している。ユキトも、蟻を回収しつつ前に進み、新手に魔法を打ち込む。
蟻は、途切れること無く現れ、倒された。
30分位戦っていると、蟻が途切れたので休憩。
「グリくんレベルアップ」
グリを下ろすと、発光し成長した。大きさは中型犬位か。思ったより大きくならなかったが、そんなものだろうと気持ちを切り替えた。それから、シロを見ると少し傷ついていたので、魔法で怪我を治した。
グリは、歩けるようになったので、ユキトの後ろを歩いてもらい、巣穴を進む。
二股に別れた場所があったので、まずは右に向かう。途中、2匹3匹の少数の蟻や、10匹以上の団体さん等を蹴散らしながら、迷路のような蟻の巣を進んでいく。バックアタックも、何度かあったがアズとフウの活躍で事なきを得る。
その際、アズはシロよりも大きいし、フウも少数の相手なら突撃していったので、誤射しない様にするには、天井まで浮かび、魔法を使用し迎撃した。
部屋は、幾つも見つけたが、ゴミ部屋や食料部屋ばかりだ。臭いがきつい。
通路に魔法で岩壁を出し、安全を確保すると、昼休みにした。
シロとアズの怪我も忘れずに治療しておく。
午後からは、隊列を変更。今まで出番が無かったロウを殿に、その前にシロを、そしてティア、グリが並び、ユキトと肩に留まるフウの前で、アズは先頭に立ってもらい、蟻を蹴散らしながら、探索を進める。
蟻の巣だけあって、坂道どころか、縦穴の道なんかもあり、落下制御の魔法で降りたり、戻る時は、浮遊の魔法で上がったりしたが、シロとロウは、少しの縦穴なら、壁を駆け上がる器用さを見せた。
「グリくんレベルアップ」
団体さんを倒し終わったところで、ティアのインフォだ。
グリが発光。大型犬位に成長。
「ティア、グリがあまり大きくならないけど、この世界のグリフォンって小さいのか?」
「魔獣などは、成長が遅いんだよねー。次の成長で、また大きくなるよー。それから、もう属性が付いたから、火魔法が使えるよー」
成長のしかたが違うのか。それを聞くと納得した。
「ユキトくん、そろそろ日が暮れる時間だけど、今日はここでお泊まりするの?」
「いや、帰るよ。便利な魔法があるのだから、ここに泊まる必要はなかろう。ってか、お泊まりセットなど持ってないわ」
テントなどのお泊まりセット等も、買った方が良いのか考えつつも、急いで蟻をしまい、アズとロウをを治療して、ゲートを開けると、カモフラージュを使い、シロ達を帰還させて、街に戻った。
ギルドでキラーアントを50匹売って、ダンクの宿へ行く。
部屋を取り、酒と夕食を頼む。料理はコボルトの煮込み。癖はあるが酒に合う。そして、盛りが多い。コボルトは買い取りが安かったから、肉の値段もそれなりなんだろう。中々減らない煮込みをやっつけながら、今日も終わる。
シロ59、フウ58、アズ57、ロウ49、グリ28にレベルアップ。
残金920600F
26日目
街を出ると、カモフラージュを使い、ゲートを開け慎重に潜る。幸いにも、蟻は居なかったのでシロ達を召喚。
隊列はアズを先頭に、ユキトとフウ、グリとティア、ロウ、殿にシロだ。
昨日の続きを始める。
今日は蟻に襲われることが少ない。残る蟻はあまり居ないのかもしれない。そんな事を考えながら、探索を進めていく。
戦闘回数が少ないので、探索が捗る。良い感じで進んでいたが、ここでティアのランチタイム。
午後からも、順調に進んでいたが、また蟻が多くなってきた。ユキトの魔法とアズが、蟻を倒しながら更に進む。
「この先にクイーンアントが居そうだねー」
ティアがそう言った。今までとは違い、広い部屋に突入する。
「デカっ」
ユキトが呟く。そこには、トラック並の大きさの腹を持つ蟻がいた。クイーンアントだろう。シロ達は、広い所へ出たからか、今までの鬱憤を晴らすかの如く、縦横無尽に駆け巡り、キラーアントを倒していく。
「サンダースパーク」
クイーンアントに向かった光球が弾け、雷が降り注ぐ。その攻撃でクイーンは動きを止めた。
ユキトも、シロ逹に交ざり、残りのキラーアントを掃討する。
「ロウくん、レベルアップ」
ティアの声と同時に、ロウが発光した。
「ロウも魔法を使えるようになった?」
「ロウくんは土魔法だよー」
「それにしても、デカイのに呆気なかったな」
「クイーンアントは、戦闘向きじゃないからねー」
「このデカイの、売れるのかな?」
「お腹の部分は売れないけど、上半身はキラーアントと同じに売れるよー。魔石は良いのが入っているはずだしねー」
「幼虫とか、卵は?」
「売れないかなー」
ティアに礼を言うと、風の刃の魔法で、胸と腹の間をザクザクと切り離した。蟻を全て、アイテムボックスにしまう。
部屋から出ると、ティアとシロ逹を下がらせた。
イメージ、爆発的燃焼。
「フラッシュオーバー」
部屋に炎が広がっていくのを確認し、ストーンウォールの魔法で壁を作る。
「これで中のは始末できたかな」
「大丈夫そうだねー。あと、入り口も潰しておいた方が良いかなー」
ゲートで外に出たいのだが、街に帰る為のゲートを開く事を考えると、残りMPが心許ない。ロウを先頭に、巣の入り口まで歩いて戻る。外に出ると薄暗くなっていた。爆発の魔法を穴に打ち込み、天井を崩して、周囲も爆破した。
処理も終わったので、街に帰り、キラーアントを50体売り、宿で休んだ。
シロ61、フウ60、アズ59、ロウ51、グリ36にレベルアップ。
残金1059600F。