11
昼休みも切り上げ、狩りの続き。
奥に進んでいくと、フウが魔物を発見したらしい。 サーチを使うと、魔物の反応が数えられない程多い。
「ティア、魔物の数がハンパ無いんだけど」
「何かの巣に当たったんじゃないかなー」
「やれると思う?」
「先ずは、近付いて様子を見ようよー」
ユキト達は慎重に進み、何が居るのかを調べてみた。
そこに居るのは、大量のゴブリン。
「広範囲魔法で、一網打尽だな」
「ちょっと待ったー。その前に、人が居ないか探してみてー」
こんな所に、人なんか居るのか、そう思いながら、サーチ(人間)を掛け、人は居ない事を確認した。
「居ないみたいだぞ」
「滅多にないけど、捕まっている人が居たりするのよー。そんな人を、魔法に巻き込むのは、善くないからねー」
そう言われれば納得するしかない。
「他に注意することは?」
「ないよー。派手にやってねー」
では、遠慮なく。
イメージ。炎の竜巻。
「フレイムトルネード」
火がゴブリンが居る中心に発生し、風が渦を巻き始め、それが急激に膨れ上がる。炎を纏った竜巻が、空高く昇る。
あまりの威力に、ユキトはシールドを展開し、事なきを得る。
魔法が消えると、ゴブリン達は、ほぼ全滅。端に居たのが逃げていくのが見えた。
「ユキトくん、レベルアップ」
HP 230(+40)
MP 700(+170)
筋力 54 (+11)
敏捷力 84 (+17)
体力 71 (+12)
魔力 170(+40)
「レベルアップは良いが、
ちと、やり過ぎたか。
取り敢えず、消火しないと山火事になる」
イメージ。局地的な雨。
「ローカリティレイン」
雲がないのに、雨が降り始めた。フレイムトルネードが発生したより広範囲だ。ユキト達は、雨を逃れる為少し移動し、火が消えるのを待った。
「今まで、敢えて使わなかった火の魔法だが、やはり危険だな。俺が原因で災害が起こるとか、勘弁してほしいわ」
「殴り合いだけじゃなく、魔法の使い方も考えてねー。今のユキトくんなら、魔法を使うだけで、街や城なら消し飛ぶ威力があるんだよー」
「大袈裟な。
まあ、それに近い事は出来そうだが。
それよりも、ゴブリンの魔石を取るのに、骨が折れそうだ」
100匹を越える死体が転がっているのだ。
ユキトは、ため息を一つつくと、魔石を抜き始める。
日が暮れる頃、漸く魔石を取る作業が終わると、直ぐに街に帰った。
遅くなったので、ギルドには寄らず、宿に向かう。 女将さんに尋ねると、空きはあったので部屋を取り、直ぐに夕食を頼んだ。
「今日は、酷い目に遭った」
「おつー。最後まで回収しきったね。途中で諦めるかと思ったよー」
「金が唸る程あるなら放置するが、生憎貧乏でな」
「明日は、朝からギルドに行って換金するの?」
「いや、明日の狩りが終わったら、一緒に出すよ」
食事を終え、部屋に戻りクリーンを掛けて、ベッドに入ったところで、シロ達のレベルを確認した。
シロ49、フウ47、アズ44と、大幅にレベルアップ。ゴブリンでも、あれだけの数を倒したのだから納得。
だが、大量レベルアップを羨ましく思う気持ちが消えないユキト。
残金273600F
18日目
今日も森へ。
ゴブリン村があった所から、少し離れた場所にゲートで来た。
ゴブリンが沢山転がっていて、それに釣られた魔物などが、居る可能性があるからだ。
ユキトはサーチの魔法を使う。
「んー。あまり魔物は居ないみたいだな。
だが、あの場所は迂回して行こう」
その前に、新たな召喚獣を増やす。
イメージ、森を素早く動く狩人。わおーん。
「サモン」
発光と共に現れたのは狼。
「名前はロウだ」
契約が完了し、MPを確認すると、かなり消費されている。ゲートと契約、重い魔法の連発は堪えたか。だが、狩りが出来ない程でもない。
きゃんきゃん鳴いているロウを抱えると、フウを飛ばし探索を始めた。
そして直ぐ、ゴブリンが一匹ふらふらしているのを見つけた。昨日逃げた奴かもしれない。
シロが瞬殺すると、ティアからロウのレベルアップのインフォ。少し大きくなった。
レベル6なので、次で大いに成長するだろう。
ロウを抱え直し、狩りを再開。
しばらくすると、インテンスボーアが居た。あれは高値で売れると嬉しそう。
「ライトニング」
直撃したが、仕留めていない。
シロとアズが攻撃を加える。インテンスボーアの体当たりは巧く避け、また攻撃。
ユキトは、後ろからマジックブレットでシロ達を援護。無事倒した。
「シロくん、ロウくんレベルアップ」
シロのインフォ?
ユキトが不思議に思うと、シロが発光した。
しかし、大きさは変わらない。
「ティア。シロが光ったけど、なにか変わったのか?」
「レベル50になったから、魔法を使える様になったよー。シロくんは、雷魔法だねー」
「魔法を使えるのか?それは凄いな」
シロを一撫でし、ロウを地面に降ろすと発光し、ロウが成長。レベルは13
ロウは、もう一人で歩けるみたいだ。
そして、ほくほく顔でアイテムボックスに仕舞う。
ここで一旦昼休憩にした。
ティアが昼食を食べ終わり、まったりしていると、シロ達が警戒し始めた。
テーブルなど出した物を仕舞っていたら、ウルフ襲来。その数4。
「サンダースピア4連」
3匹にヒットし倒れた。魔法が外れた、もう1匹はアズと戦い始める。
そこへ、後ろと左右から1匹ずつ、追加で3匹が襲いかかってきた。
左のはシロが向かい、右のはユキトがライトニングを放ち仕留める。後ろから来ていたのは、フウが牽制し足を止めていた。
チャンスとばかりに、サンダースピアを使用。命中し倒した。ロウは、その場で待機。
アズは、クマパンチで倒していて、シロは首に噛みついている。勝負ありだ。
「ちと、油断したな…
やはり、奇襲は怖い」
「危なかったねー。でも、無事で良かったよ」
ティアと話をしながら、ウルフを仕舞っていく。サーチの魔法で、近くには魔物がいない事は、確認済みだ。
休みが、バタバタした感じで終わってしまったが、狩りを再開する。
獲物を見つけたが、ゴブリン2匹。ウインドブレード2連で倒し、魔石を回収する。
更に奥へ向かい、探索したのだが、どうした事か、獲物が見当たらない。
少し早いが、街へ帰った。
ギルドに入り、おっちゃんに話しかける。
「今日は、かなり多いのですが」
と、インテンスボーアを台の上に乗せ、オーク6体とウルフ7体を床に並べた。
「あと、ゴブリンの魔石が大量にあるのですが、何か入れるものはありますかね」
「大漁だな。魔石は幾つくらいあるんだ?」
「170個です」
「じゃあ、この中に入れてくれ。ゴブリンの巣でも見つけたのか?」
おっちゃんが、かごを出してきたので、ザラザラと魔石を入れ、そんな所です、と返答した。
「魔石の数が多いから、少し時間がかかるぞ」
そう言われたので、待つことにした。久しぶりに依頼を眺めたが、相変わらずの感じだ。
ティアと話をしていると、おっちゃんから査定が終わったと呼ばれた。
「インテンスボーアが32000F、オーク6体で48000F、ウルフ7体が91000F、ゴブリンの魔石が168個、ホブゴブリンの魔石が2個、全部合わせて、343000Fになるが良いか?」
ホブゴブリンが混ざっていたのかと、少し驚く。
それでとカードを渡したら、ランクがEに上がっていた。流石に、ゴブリンポイントで、ランクが上がるのは、ここまでだと、おっちゃん。
カードと、金貨3枚、大銀貨4枚、銀貨3枚を受け取り、ギルドを出て花色亭に向かう。一泊頼んで、すぐに夕飯だ。
「倒した中に、ホブゴブリンがいたとは、気が付かなかった」
「ユキトくん、疲れてたしねー。仕方がないよー」
「いい金にはなったが、二度とやりたくないな、あれは。
今日は、追加の料理と酒を頼むが、ティアも付き合うか?」
「私は、ユキトくんのを少し貰えればいいよ」
女将さんに、酒とツマミを頼み、ティアにお裾分け。2杯目の酒を楽しんだ。
シロ50、フウ49、アズ46、ロウ19にレベルアップ。
残金605600F