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転生勇者クリエス  作者: いかる
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01Transformは想いと共に

勇気ある行動によって死んだ正樹大翔は神に死に様を讃えられ、新たな生を授かる。その世界でヒーローになることを望んだ彼は力を受け取り生まれ変わるが、その世界で謎のコウモリ剣士に倒されてしまう…

ここは伊勢貝町。海に面し、人口の多い賑わった都市である。そこで飲食店「来来亭」を営む初老の男性、真中優作は、趣味の釣りをしようと海まで来ていた。釣りを始めようとすると、何かが流れ着いているのを見つけた。

「なんだあ?ありゃあ」

近づいてみると、なんとそれは人ではないか。優作は驚いてその人を引き上げた。まだ息はある。

「おい、大丈夫か」

揺り動かすと男はゆっくり目を開けた。

「お、俺は…?」

「おお、よかった」

安堵する優作。彼は男を連れて帰ることにした。


「お前さん大翔っていうのか。いやよかったよ無事みたいで」

「はい、ありがとうございます」

目覚めた後、大翔は自分が崖下に落ちたことを話した。生まれ変わりやコウモリ剣士のことは話していない。変なことを言えば怪しまれかねない。もう頭はすっきりしている。風呂場も貸してもらった。

「で、お前さん家はどこなんだ?」

そういえばそうだった。この世界には自分の家がない。どう説明するか。

「それが…よくわかんないです。」

「うん?それはもしかして記憶喪失ってやつか?」

上手い解釈をしてくれた。これなら都合がいい。優作は少し考えてから言った。

「よし、じゃあお前さんをうちで引き取ってやる。」

大翔は驚いた。

「いいんですか、そんないきなり」

「なに、ただとは言わん。うちの店で働いてもらう」

それだけでいいのだろうか。しかしこれを逃さない手はない。

「わかりました」

優作はよしよしと満足そうに頷く。いい人に出会えた。

「そういえば、優作さんはご家族とかいらっしゃるんですか?」

「ああ、お前と同じくらいの娘が一人と、年の離れた息子が一人いる。今上で寝てるよ」

そうなのか。奥さんはもういないのだろうか。

「そういやもうだいぶ遅いな。店のことは明日説明するからもう寝とけ。ここの隣の部屋に布団を敷いてやる」

言われてみるとだいぶ眠くなってきた。今日はもう寝よう。布団に入るとすぐに寝てしまった。


「ほれ、起きろ」

体を揺すられ、眠りが妨げられた。朝日が眩しい。

「飯、作っといたぞ。冷めねえうちに食っときな。」

昨日の部屋に行くと朝食をとる女性と男の子がいた。

「照吉、忍、この人が今日からうちで働く大翔だ」

お互い挨拶を交わす。照吉は快活そうな印象を受ける小学校高学年くらいの少年、忍はそれに対して控えめな印象の女性。見た感じは大学生くらいで大翔と年齢が近いく、そしてなにより美人だ。つくづく運が良いと思う。

「よかったな、とーちゃん店員増えて」

照吉にそう言われて嬉しそうに笑う

「おう、これでお客さん増えるかもな」

「それはないと思うけど…」

ばっさりと言われて肩を落とした。どうやらここはそこまで儲かってないらしい。優作は気をとりなおして大翔に話しかける。

「聞いての通り客はあんま来ねえかもしれんがある昼から仕事だからな。生活費の分給料減るからあんま期待すんなよ」

朝食を済ませて着替える。ベルトを巻こうとしたら部屋に忍が入ってきた。

「何ですか」

「ちょっとお話しがしたくて。お昼までまだ時間もあるし…」

そう言ったところでベルトに気がついた。

「それは?」

「貰ったんです」

そうとしか言えない。これが何なのか、まだわかっていない。

「そう、綺麗ね、それ」

たしかにこの宝石は色がはっきりしない不思議なものだが美しくもある。

「忍さんも…」

言いかけたところで忍が訂正する。

「忍、でいいよ。敬語も使わなくて大丈夫」

「じゃあ、忍もここで働いてるの?」

「うん、でも大学を出たらやめちゃう」

「ふーん。夢でもあるの?」

「うん、小物を作ってるんだ。でもやめちゃうとお父さんが大変になりそうだった。そこに大翔君が来たから安心してやめられる」

その後もいろいろ話していたら優作に呼ばれた。

「もう店開くぞ」

一時間ほど経ったが店にはほとんど客が来なかった。高齢の夫婦と若い男性が一人。とにかく暇だった。

「またよろしくね〜」

若い男性が店を出てから少し経った後、店の前を逃げるように走る人を見た。そして、パトカーのサイレンの音と、銃声。

「何だ何だ。一体どうしたんだ」

大翔には思い当たる節がある。

「まさか、あのコウモリ剣士が…」

居ても立って居られなくなってすぐに店を飛び出した。

「おい、どこ行くんだ!」

優作が後ろから叫ぶ。

「ごめんなさい!すぐに戻りますから!」

人が逃げて来た方へ行くと銃声がはっきりと聴こえてきた。

「これは…」

そこではなんとトカゲの姿をした男が警察のような人達と戦っていた。周りを見ると何人かの人が倒れて動かなくなっている。

「くそ、効いてないのか」

警察風の男が銃を撃っているが、トカゲ男の傷口はたちまちに治っていく。このままではあの人はやられてしまうがこの距離ではどうしても届かない。

「俺の足がもっと速ければあの人を助けられるのに。くそ、俺は…あの人を守りたい!」

そう言いながら走っていると、突然ベルトの宝石が強い光を放った。

「う、うわぁ!」

目前までトカゲ男が迫り、男は目を閉じる。しかしトカゲ男は一向に襲いかかって来なかった。目を開けると、そこには緑色の鎧を纏った何者かが居た。

-クリエス イーグルスタイル-

気がつくと大翔はトカゲ男と警察風の男との間に立っていた。ありえないスピードで走っていたのだ。そして謎の言葉が頭に浮かんできた。

「クリエス?」

自分の身体を見るとそれはさっきまで着ていた服ではなく、緑色の鎧だった。そう、大翔はついに変身したのだ。翼を模した二本角と深緑の複眼。ところどころに銅色の装飾が施された緑の鎧は美しい流線を描いており、ベルトの宝石はエメラルド色に輝いている。

「な、なんだ。貴様は」

「俺は…」

(もしかしてさっきのがこれの名前か)

トカゲ男に向かって即興の決めポーズをとりながら名乗る。

「俺は世界の平和の為神に遣わされた正義の戦士、クリエス!」

「か、神だと?」

何か思い当たる節がありそうな様子である。

「悪の怪人よ、これ以上人を襲うと言うならば、俺は貴様を倒す!」

「ほざけ!所詮はこけおどしよ」

トカゲ男が襲いかかってくる。鉤爪の攻撃をクリエスはステップでかわし、背中に拳を叩き込む。トカゲ男は怯んで前かがみになるが、すぐにこちらに向き直った。全く効いていない。

「気をつけろ。奴は小さい傷なら一瞬で元に戻してしまうぞ」

警察風の男は突然現れた二体目の未確認生物に呆然としていたが、二体目が味方だと察したようだ。

「だったらもっと強い攻撃をぶつけてやる」

相手の攻撃をかわし、今度はキックをする。

「ぐおぉ」

トカゲ男は大きく吹き飛んだ。すぐに立ち上がるが、体に足跡が残っている。ある程度の傷はすぐには治らないらしい。

「な、なんだこの力は。貴様はここで倒す!」

トカゲ男は何もないところから剣を取り出した。相手のリーチが大きく伸びるが、クリエスはその間合いを完全に見切っている。間合いギリギリの位置を常にキープし、隙ができた瞬間蹴りを入れる。完全にこちらのペースである。

「くそ、この俺がこんなところで…」

「一気に決めてやる」

クリエスは渾身の力を込めて跳び上がり、空の彼方へと舞い上がった。そして相手に狙いを定めると、一気に急降下した。

「オッシャアアアアア!」

気合の掛け声と共に音速の飛び蹴りがトカゲ男の胴を貫く。

「ぎゃあああっ!」

断末魔の叫びと共にトカゲ男の身体は轟音を立てながら爆発四散した。クリエスは息を切らして膝をつく。

「か、勝った。あの人を守れた」

気がつくと周りに何人か人が集まっていた。カメラを構えている者もいる。これはあまり良くない。クリエスはすぐさまどこかへ跳び去った。


「おお、帰ってきたか」

大翔は人のいない路地裏で変身を解いてから来来亭に帰った。

「えらい汗だくだがなんだったんだ?」

しかしそれに答える気力がない。

「ごめんなさい。ちょっと、寝ます」

部屋に入ると布団も敷かずに横になり、すぐに寝てしまった。後から心配した忍が入ってきて布団をかける。彼女が覗き込んだ寝顔は穏やかでだらしのないものであった。その持ち主が命をかけて怪人と戦ったことを知る者は、まだいない。日は沈み、この伊勢貝町に夜が訪れる。それはとても静かで、一見平和な世界である。

クリエス イーグルスタイル

基本スペック

身長 :188センチメートル

体重 :60キログラム

パンチ力 :2.0トン

キック力 :14トン

走力 :2.0秒(100メートル)

ジャンプ力:70メートル(一跳び)

※上記は基本スペックであり、変身者の状態によって値が変動する。

風の力を持つクリエスの基本形態。正確無比な動きと桁外れの視力、脚力を持つ。肩部の翔空甲ステラーズウィングは風の力を操り、急加速、急上昇、急降下、急旋回、滑空などを可能にする。しかしその力は長続きせず、空中に留まり続けることはできない。


リザードスピーサー ビヅァーロ

謎の怪人スピーサーの一種。凄まじい再生能力を持ち、どんなに大きな傷でも一晩で完全に治してしまう。武器の曲剣ブルータンには猛毒が塗られてあり、かすり傷だけで相手を死に至らしめることができる。

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