悪魔と私
私の隣にはいつも悪魔がいる。
名前は聞いたけど答えてくれず――ううん、何を聞いたところで答えなんて返っちゃこない。それを知っているけれど、聞いてしまう私も私だ。
「明日、行かなくてもいいよね」
夜、なかなか寝付けずにカーテンの隙間から空を眺めたときもそうだった。
雨よ降れ降れ、なんて念じつつ悪魔に聞く。友人と久々に遊ぼうと約束していた、だが、気分は何故か最悪だ。
友人が恋人が出来たって言っていたからかな……それとも先輩に怒られたからかな? 誰かに酷くしたいなんて最低のことを思い、誰かに酷く責められたいと脳裏を過る。
時々やってくる、どうしようもない考え。それを私は悪魔に聞くんだ。彼なら…いや彼女かもしれないけれど、「やってしまえよ」と背を押してくれるんじゃないかって――
私は何がしたいんだろう。
悪魔に縋って友人と険悪になろうとしている。もしかしたら、人の良い友人のことだ、しょうがないなと笑ってゆるしてくれるかもしれない。
だけど、考えれば考えるほど、友人の笑顔を星空に描けばムズムズと胸の辺りが訴えてくる。
「私は友達だ、私は友達なんだよね」
友人の声が木霊する。
悪魔はきっとニヤリとしている。
私の隣にはいつも悪魔がいる。
不安にばかりさせる悪魔が。
でも、ただ悪魔のせいにしたいだけかもしれない。