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とある獣使いは神になる(予定)  作者: 死神の右腕
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4話 夕食のひととき

少年と魔物たちのご飯は続く。


「はい、フェル。 今日もお疲れ様、こっちは食べてもいい奴だよ。」


「クゥーン、クン、ガウ、ガゥール。(かたじけない、マスターよ。 我がもう少し強ければこんな動物など爪のひと振りで仕留められるものなのだがな・・・。)」


「気にしないでいいよ、それとももしかしてフェルは僕といるのが嫌なのかな・・・・?」


 少年は無邪気な顔を寂しそうに俯ける。 もしこの光景を第三者が見、尚かつフェル言葉を理解することができたなら、ココに居る狼が只の魔物ではないと直感するだろう。




 















 名前:フェル

 種族名:リトルフェンリル(小星狼)

 称号:最強の遺伝子、迷子、食いしん坊、心配性

 状態:従魔テイム

 






少年のそんな顔を見て、狼は、否、フェルは慌ててこう続ける。



「ガル!? ガ、ガルルル、ガウ。 ガー、ガウ、ガルルルル。(嫌!? そ、そんな訳がないであろうマスターよ。 只、我はもっと強くなりたいと、そう思っただけだ。)」


「そっか、それなら良かったんだ。 ハイこれ、巨角鹿ジャイアントディアーの右脚の肉だよ。 これ食べて、強くなってね、フェル。」


少年はそう言いながらフェルを左手で撫でつつ、カリカリに焼き上げられた肉を差し出す。


















ホンワカとした温かな光景、しかし、ココにはそんな光景を良しとしない魔物が2体いた。 言わずもがな、先程までのフェルとのやり取りでその場の空気と化していた【鋼綱蜘蛛アイロープスパイダー】のクモリン、クモルンの2体である。


「「シャー、シャジャ、シャッシュ。」」


少年とフェルとの温かな雰囲気に入り込んだ自己主張の鳴き声、その声を聞いて少年は苦笑を浮かべつつクモリン、クモルンの方へと向き直る。


11歳の少年より二周り程大きなフェルとは違い、クモリン、クモルンは少年より二周り程小さい。 日本の単位、というより地球の単位で言うならばフェルは体高が1.5m、鋼綱蜘蛛たちアイロープスパイダーズは精々1mほどだろう。


・・・もっとも、1m超えの蜘蛛がいる辺り流石は異世界オケアノス、といったところであろうか。


「ゴメンね、クモリンにクモルン。 今日の罠もしっかり作動してたし、鞄も絶好調だよ。 毎日ありがとうね。 ハイ、小さく切り分けておいた、内臓の部分だよ。」


巨角鹿ジャイアントディアーの【人間にとって】の可食部位に内蔵は含まれないが、食す相手が蜘蛛ともなれば話は別だ。むしろこの鋼綱蜘蛛たちアイロープスパイダーズにとって生き物の内蔵とは、最高のご馳走である・・・らしい(本蜘蛛談)


「「シャー、シャッシャシュ!」」


鋼綱蜘蛛たちアイロープスパイダーズはまたも揃って返事を返す。息ピッタリである。


「『そんなの当然』、だって? フフ、うん、そうだね。 安心したよ。」


「「シャシャーシュ!!」」

























・・・さて、気付いただろうか。 今の会話の中に今日の狩りの核心とも言える情報が含まれていたことに。



『今日の罠もしっかり作動してたし、鞄も絶好調だよ。』



この言葉にある【罠】とは今日少年が巨角鹿ジャイアントディアーを仕留めることができた、その事実の為の最大の功労者と言ってもいいものだ。




仕組みは簡単、

まず、落とし穴を円のような形になるように配置し、鋼綱蜘蛛たちアイロープスパイダーズが出した粘着性の糸をその落とし穴の地表面に取り付ける。 


次に、獲物が掛かったことを知らせるために、これまた鋼綱蜘蛛たちアイロープスパイダーズが出した鋼糸(ワイヤーみたいなもの)を落とし穴に繋ぎ、その先端を円の中心に集める。


最後に、セーフハウスの呼び鈴の鈴の部分を置いて鋼糸が振動すれば音が鳴るように調整する。









・・・とまぁ、こんなところだ。 驚くべきは便利な糸を作れる蜘蛛の方であろうか、もしくはたった11歳で狩人顔負けの策を思いつく少年の方であろうか。




蛇足になるが罠の穴掘り担当はフェルである。




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