2話 誕生?
じゃあ、話せる時間ももう残り少ないし、サッサと決めなきゃいけないことを決めようか。
リュウの声が聞こえる。
「ん? まだやるべきことって何かあんの?」
ん〜そうだねぇ。
やっぱり君たちの世界と僕達の世界の違いを考えるときに出てくる技能のことなんだけどね。
君は多少なりともこっちの責任で転生するハメになったわけだし、選択できるんだよね。
主に技能の成長について。
「へぇ~。そういうのって元々決まってるもんだと思ってたわ。 【技能の成長について】って言ったけど具体的には何から選べるんだ?」
コレは当たり前の質問だと思う。
だってさ、さっきまで地球にいた俺に突然【技能】だぜ?
ココがこんな現実離れした空間じゃなきゃ信じらんないっしょ!?
どうやら、すべての生物の成長の仕方というのは決まっているらしい(自分のことを棚に上げて言うのはなんだが)。
「うん、じゃあ手短に説明するね。
成長についての選択肢は2つ。
まず1つ目の成長過程は『急速成長』、これはスキルの数がドンドン増えて戦闘でも生活でもバランスよく基本的になんでも出来るんだよね。
ただ、難点があって1つは数が増えすぎて処理しきれない、つまり使いこなせないことなんだよね。イメージ湧きづらいかなぁ。」
要はあれか。
まんまラーニング系主人公だな。 難点は使いこなせない、ということか・・・・
正直経験あるんだよなぁ、前世でも。
あ、別に俺が厨ニ患者だったわけじゃないよ!(汗)
ただ、ラーニング系主人公の小説読んだりした時には中盤で設定に溺れたからな〜(遠くを見る目)
「なんか、変にトリップしてるけど大丈夫?
まぁ、イメージが湧くならそれに越したことは無いからいいん出けどさ。
じゃあ、2つ目の説明なんだけど、2つ目の成長過程は突発的変異って言ってね、殆ど向こうの世界にもいないんだ。
コッチは余程のことがない限り技能を得られない代わりに得た技能からの派生を枝分かれに獲得できるんだよね。
例えば【剣術】スキルを得たとして、ソレを使い続けることによって【居合術】や【投剣術】なんかに派生させることができるんだ。
まぁ、こっちの難点は急速成長に比べてスキルが一点特化すぎることぐらいかな。」
ま~大体わかったかな。
感覚的に時間ももう少ないだろうし、チャチャッと決めようか。 ん〜、とは言ったものの正直悩む。
結論から言って【質か量か】の問題なんだよね。
・・・おし! 決めた。
突発的変異にしよう。
少し考えて生き残るためのプランも少し練ったしな!
まぁ、こればっかりは転生先のスラムの状況にもよるしなぁ〜。
つー訳で俺は成長過程を突発的変異にするわ。
了解だよ、スオー。
一応これでお別れになると思うんだけど、次に逢えるのは多分君が産まれてから少し経つのかもなぁ。
まぁ、元気で頑張ってね。 何よりもまず【生き残るんだよ】
リュウの言葉から真剣さが伝わってくる。
あぁ、そうだな。 じゃあ、一応ココに宣言しとこう。
ここから先は『オケアノス』、第二の人生・・・・全力で【生き残る】!!!
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再び目を開けた時、俺の前に見えるのは日本には無いような天井を背景にした燃え滾る炎の様な赤い色の髪を纏った女性。
その光景を見た瞬間、ココが『オケアノス』であり、この女性が俺の母親であるのだと、本能が理解した。
聞こえてくるのは慈愛にあふれた母親の声。そして周りからも次々と声が生まれる。
『ああ、ライオス、私の騎士様。 コレからスクスク育ってね。 私は何時でも貴方と共にあります。』
「リア奥様、おめでとうございます。」
「奥様、カワイイ男の子ですね。」
言語に関してだが、なんとか理解できると言った具合だ。
まだまだ俺の脳内の公用語は日本語なだけに苦しい物があるが、ここはもう慣れるしかないだろう。
でもさ、今聞こえた中に【奥様】って単語が聞こえたんだよね。
気のせいとか今更言われても困るけど、コレってスラムからのスタート回避!?
もしそうだとしたらこんなに嬉しいことはない。
俺、もしかしたら貴族かも!?