1話 転生先
読んで頂きありがたや。
気がついた先は何もないただただ真っ白な空間だった。
『やあ、ようこそ【オケアノス】へ、君の名前を教えてもらえるかな?』
そこに一つの声が響く・・・が久しぶりに聴いたような気がした『人間の言葉』はどこか機械的で、男とも女とも判断がつかないような言葉だった。
ついでに言うとどこから聞こえて来るのかすら分からない。
オートバイに清々しいくらいに見事に轢かれちまう、そんな情けない記憶が俺の生前最後の記憶だ。
どう間違ってもこんなソーシャルゲームでチュートリアルの後によく聞かれる質問を投げ掛けられる立場には立っていない。
簡単に言うなら『どう考えても「場違い」だ。』
そんなことを思っていると、
『【場違い】か、ハハハ、全く君からすればそのとおりだね、スオー。ゴメン、まずは状況を説明するべきだったね。』
次に発された言葉は、さっきとは打って変わって心底面白そうに笑う子供のような雰囲気を帯びていた・・・が相変わらずどこから聞こえて来るのか分からない。
そうそう、そこから頼む。 ってか俺の名前知ってんじゃねーかよ! なんでわざわざ聞いたりすんの? ってかお前は誰だよ? 正直、今の俺の頭の中での最大の脅威はお前だぞ。 怪しいしな。
ついつい言葉が荒っぽくなってしまう。
『僕? 僕はね・・・【龍】だよ。 一応君のパートナーに当たるのかな? 気軽にリュウって読んでね。』
分かった。 じゃあリュウ、ここって一体どこなんだ? 俺ってどうなった? あと【オケアノス】って一体何だ?
『う~んと、正確に答えることは難しい事柄もあるけど、今言える範囲で言えることを言うね。 まず【ここはどこ?】っていう質問なんだけど、今は【狭間】と言うしかないね。 君たちの世界と僕達の世界の狭間、ここはそんな2つの世界の狭間なんだよ。 そして次に君自身のことだけど、もしかしたらもう想像ついてるんじゃ無いかな?』
ソレってもしかしてアレか?
俗に言う【転生】ってやつか?
まさか自分がその体験を受けるとは思わなかったな・・・
『もしかしなくても君はこの【オケアノス】に転生したんだよ。 というか・・・・言うなんてね。 やっぱり・・・・・・ということかな。』
何だよ。 ところどころ聞こえねぇじゃねぇか。
あと確認なんだけど【オケアノス】ってのは『この世界の名前みたいなもの』って認識でOKか?
『そうそう、OKだよ。』
良かった。純粋にそう思う。何が良かったって意外にもリュウがフレンドリーだったからだ。まぁ、俺自身前世では紳士の嗜みとしてそれなりにファンタジー系の小説を読んだが、その中には転生した途端からダークな感じのものもあった。そういう意味でも良かった。
大輔はそう安堵する・・・が安堵したのも束の間リュウはこんなことを言い出した。
『スオー、ここからは少しばかり君に謝らなくちゃいけないんだけどさ。 しっかりと聞いてね。 あのね、実は僕の上司からの命令でゴニョゴニョ』
リュウは神妙な雰囲気を帯びた声でさっきまでのどの時よりも緊張感に満ちた言葉を発する。
・・・・・マジか!
全然想像つかなかったぞ。今まで読んだ小説の中にもそんな設定なかったし。 確かにコレはきつい、というよりリュウの上司ヒドイ。
まぁ、本来なら俺は死んでるわけだし文句は言えないどころか感謝しなくちゃいけないんんだけどね。 はぁ、マジか・・・
思わず重い溜息が漏れる。
どうしてかって? なぜならな・・・・・
ヤバい。不安だ。俺をこんな状況にしたリュウの上司曰く『世の中の底辺の暮らし』について知っておくことも必要ならしい。
確かにそうなんだけどさ・・・他に方法ってないのかな。
はぁ憂鬱だが精一杯生きるとしよう。
改めて言うぞ。
俺、スラムの孤児(10歳)に転生した(させられた)。
ヤバいんです!
何がヤバイってこっちのほうが筆が進んでしまうんです。
設定がありきたり(すっとぼけ)だからでしょうか。
質問、感想などぜひ宜しくお願いしますm(_ _)m