プロローグ(死ぬまで)
始めさせて頂きます。
俺の名前は周防 大輔、
今年で21歳になる。
大学は国立のK大学、まぁ世間一般で言うところの『エリート』だ。
地方の高校から都会のK大学まで上京してきて、もうはや3年、未だに彼女はいない。
「年齢=彼女いない歴」が、思いっきり適応されてしまう、哀れなエリート大学生というわけだ。
こんな哀れなエリート大学生が何故今自分の身の上話をしているのか、疑問に思う人もいるだろう。
というかその内の一人は僕自身だ。どうしてこうなった。
俺はしがない大学生Aだったはずなのに、
〜〜〜〜閑話休題〜〜〜〜
さて、話を戻そう。
どうしてこうなった!?というのも今日は別に4月1日ではない。
今日は12月26日だ・・・・・ったはずだ。俺は、借りてる家賃2万円のボロアパートから近年稀に見る豪雪を相手にやっとのことで抜け出し、駅に向かって歩いていた。
『故郷の家はもっと雪すごいんだろうな。』そんなことを頭に浮かべながら少しばかり凍結した路面を厚底のブーツで歩く、
ここまでは『日常』だ。
だが、今日はこの後が少し違った。
ブオオオオン、ブルルン、ブルルン
重低音が響く。
「オラオラオラ、どきやがれ!!! 殺されてぇか!?」
歩道を爆走するオートバイ。
乗っているライダースーツの男の口調は少なくとも正常ではない。
何だか、薬か酒でも飲んだみたいだ。
「邪魔なんだよ!! 死にたくなきゃさっさとどきやがれ!!!」
運転手の少し篭もった声がメット越しに聴こえる。
サーッ、あえて表現するならそんな感じだろうか。
歩道を歩いている通行人が両サイドに寄って幅2mほどの歩道の真ん中に道が開く。
勿論俺もだ。敢えて突っ込むような馬鹿ではない。
俺自身都会に住んでいるから、こんな感じの事件に巻き込まれたのは、今回が初めてじゃない。
もう数分もすれば警察がパトカーに乗ってやってくる。 そう思っていた時期が僕にもありました。
「あれー? ここはどこかいな? 駅まで辿り着けんかもしれんのー。」
オートバイの進路である歩道の真ん中に【障害物】、否、一人の【ご老人】が立っている。
このままじゃマズい! 轢かれちまう!
そう思った時俺は既に動いていた、否、動いて『しまって』いた。
「おばあさん! 危ない! 速くコッチへ!」
そう言いながら駆け寄る。
「おー。 ありがたや。 良ければ駅まで道を・・・」
「速くしろ、コッチへ来い!」
そう言って引き寄せる・・・が、振り向いた時にはもう遅かった。
おばあさんを掴んでいる左手とは別の方、つまり右手側が『もってかれた』。
要するに俺は猛スピードのオートバイによって轢かれたのだ。
俺の体重を3倍しても足りないであろう鉄の塊が、もの凄いスピードでぶつかる。
まあ、もの凄いエネルギーな訳だ。
当然のこと俺は吹っ飛ぶ。
意識は段々薄れていくが、女の人の甲高い悲鳴と、黒と白が混じったアスファルトが見える。
おばあさん大丈夫かな?
柄にもなくそんなことを思っていると当然重力が仕事を始め、体はアスファルトに叩き付けられるが不思議と痛みはない。
多分、バイクの衝撃で全部ぶっ壊れたんだろうな。
灰色の空が見える、
この事実が俺は今仰向けになっているということを伝えてくれる。
オートバイの音は段々遠のいていく。
俺の死が近いのか、この場から離れていくのか、どっちなのかは分からない。
ピーポーピーポーピーポー
甲高いサイレンの音が薄っすらと聴こえる。
もう、うるさいな。静かに逝かせてくれよ。
そんな事を思ったのが最後なのだろうか。
俺の意識は闇に微睡んだ。
あらすじとプロローグを両方書くのが辛い。
気分で投稿します。メインは没落勇者の方なので・・・
読んで頂きありがたや。