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 会話が途切れる。

 数十分後、

「もしかしてリストはあなたが」

「存じません。わたしも当時のことは忘れました」

「あのとき現れたのも、あなただったのでしょう」

「さあ、どちらだか」

「あなたは『安らかに眠れ』の文字を見ましたか」

「はい、今あなたの瞳の中に……」

 瞬時、飲みかけたまま暫くそのままにしておいたバーボンを彼女に浴びせかけようとして思い留まる。数分前に一度テーブルを離れたとき、彼女が薬剤をグラスに入れるのを盗み見たからだ。

 そのまま立ち上がり、数歩歩いてショットバーを出る。ついで店が埋まる長い石の階段を登り、外に出る。旋風がヒュウと鳴り、コートの裾を捲くる。

  足が自然と事故現場に向かう。


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