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一瞬だが、ちょっとぎょっとしたような表情を彼女は浮かべたようだ。遠目では年子の妹と瓜二つ。弾かれるように互いに目礼したとき、彼女の側から無言の問いかけが走る。
(あなたともう一度お目にかかれるとは考えもしませんでした)
穏やかだが、確固とした視線でそう告げる。
あるいは、
(あなたが、あの人だったのですね)
……だったかもしれない。
彼女は明らかにわたしのことを知っているようだ。
もし、そうだとしたら。
その後、すぐに始まった坊主の経を聞きながら頭の先から足の爪先まで寒さに凍える。
妻の死をはじめて知ったときと同じような環境/体調/心理状態だったかもしれない。




