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少し遅れて葬式会場に行くと昔の知り合いがけっこういる。
全部が全部、死んだわけではなかったのだ。
彼女の名前で送付された不倫リストは実は『ガセだった』のではないかと、そのとき思う。彼女が死を選ぶほどのノイローゼ状態だったとしたら、その作者はやはり彼女ではないのだろう。
「ご愁傷様です」
かつての痩身の面影もなく、でっぷりと太った夫君に弔辞を述べる。すると不意に彼女のリストについて知っていたのかどうか問い質したい衝動に駆られる。
もちろん実際に訊きはしない。
その程度の分別は、わたしにもある。
その後、段々といたたまれなくなり、夫君から目を背ける。すると噂には聞いていたが、目にするのは初めての彼女の姉上と視線が合う。




