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それが幸いしたのか、厄したのかはわからない。
異国の朋友の死の報せは、そんな頃に届く。
細君からだ。
日用品買い出しの最中、暴徒に襲われた事故だという。忙しさにかまけて気づけなかったが、テレビでも報道されていたようだ。
それと連動するかのように元不倫相手が服毒自殺する。彼女と親しい共通の知り合いから直接聞いた事実だ。会ったときには気づかなかったが、ここ数年、彼女はノイローゼ気味だったらしい。遺書が見つからなかったので衝動的な自殺と判断されたようだ。
二人とも死の直前に『安らかに眠れ』の文字を見みたのかだろうか。
異国の友には弔電を打つ。
そして元不倫相手の葬儀には意を決して出かけることする。




