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「今更いったい何の用があるんです?」
久しぶりに会った元不倫相手は開口一番、そう告げる。
私鉄が何本も集結するターミナル駅の待合室で、こちらを視認してすぐのことだ。
彼女のその後は風の便りで聞いている。別れて何年も経ってからだが、共通の友人が彼女の結婚を報せて来たのだ。それまでのわたしと彼女との関係を彼が知っているとは思えない。現在では子供もひとりいるらしい。幸せそうな顔で家族が写った写真も見たことがある。
今現在は人目を憚る人妻といった風情だが……。
顔はあの頃と余り変わっていない。ただ皺だけが増えている……ような気がする。




