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 体験あるいは見聞きした出来事が混乱してくると非現実が歩み寄って来ることがある。

 執念深い人間というのはいるもので、だから死者は眠れないのだが、その原因の一部が自分にあると知るのは余り気持ちの良いことではないだろう。

 正直いえば、まったく忘れていたかつての不倫相手が長い文書を送ってきたのだ。妻の不倫及びそれと相前後する恋愛関係について論じる詳細な調査資料だ。知り合いの名前を大勢見る。何人もの不倫の相手の氏名と当時それを知っていた関係者の氏名、当事者たちの更なる不倫や恋愛相関図がページの多くを埋め尽くす。

 そして、その多くが現在死者だ。

 理由などわからない。

 すべてを確認する気力もない。

 かつて妻とそういう話をしたこともない。

 だが当時、妻はわたしに『それを知られたかったのかもしれない』とふと思う。

 何故なら、資料を信じる限り、妻の不倫は腹いせだったと思われるからだ。妻は夫の不倫を知っていたわけだ。一見無秩序な妻の放蕩は時間的にそれ以降に始まってている。夫の不倫はわずか三月ほどで終わったが、妻の行為はその後死ぬまで続く。

 どちらにしても僅かな期間か。

 現在妻は『それらを知られたくなくなった』のかもしれない。

 そう解釈することもできる。

『だから何らかの方法で』と考えるのは、あまりにも馬鹿げた思考なのかどうか。

 どちらにしても一つの事実が明らかになったわけだ。それが真実かどうかは生きている人間が決める問題だ。

 気乗りしなかったがEメールの返信を元不倫相手に送る。長い書面の最後にメアドが記載されていたからだ。

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